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携帯小説を持ってきたため一話一話が非常に短いです。
数話を一ページに入れているため、小題がぽつぽつ有ります。変なところで切れます。
気にしないでください。
1.日常生活
また課題が増えた。やってられねえええ!と心の中で雄たけびを上げる。
「冗談じゃないって、マジ死ぬ。これ以上増えたらマジ死ねる」
「こういうときはアレだ、作業分担。私今日の実験結果の考察とグラフやるからさ、臨床の栄養価計算任せた」
「いやいや待てや。明らかにそっちのほうが楽じゃないのよ」
「献立作成もつける」
う、うぅむ。
「ってだめじゃんさすがにそれは。メニューはポンポン考えられないと後で私が困る」
有効に見えて困る取引。頷きたかったがさすがに駄目だろう。仕方ないなぁと笑う友人に、栄養価計算半分こ、ということで妥協してもらう。
出席番号順に決められる実験班、くじで決められる実習班(その1)と同じくくじで決められる実習班(その2)。出席番号はともかくくじ二つで奇跡のドッキングをはたした私、小林美春と小宮絵里は仲良くならないわけがなかった。
実験結果も同じ、完成する料理も同じ、栄養価計算のための料理の分量も同じ、症例対象も同じ。むしろ策謀の一端を知る悪友のような気分になる。
「まぁ、実験の考察は自分でやるしかないね。図書室後でよる?」
「んー、今寄ろう。じゃないと本がなくなる可能盛大」
「あ、そっか。十分しかないけど急ぐか」
そんな風に、私の一日は過ぎていた。大学なのに空コマが全然なくて涙目で、ありえないくらいの課題に忙殺されて。けれど資格が欲しくて我武者羅に頑張って。高校の頃より忙しいなぁと思いながらも、毎日資料をめくりまくっていた。
「か、肩が外れるってこれ。相変わらずマジ重い」
厚さ三センチの参考書。座学ばっかりの日だとうちの大学は荷物が地獄のようになる。1限から5限まですべて必修座学。そしてすべてややこしい。予習復習しないとわけが分からなくなってしまうためロッカーに置き捨てるわけにもいかず。
「構造と機能が一冊ないだけで大分違うんだけどなぁ」
一番ぶ厚い解剖学の本。一回興味本位で電子量りに乗せたら、エラー。ちなみに電子ばかりは1000gを量る調理用で、要するに一キロ以上あるということだ。
まぁ、愚痴っても仕方がない。取りあえずは徒歩五分の駅につくまでの辛抱。無駄に長い下り坂を下りながら荷物を持ち直す。
サークルにも何も入っていない私は、何も考えずに駅にたどり着く、筈だった。
珍しく車も通ってない。二十分ほど調べ物をしていたから帰宅時間が被っている人もいない。無駄に静かな移動。ただ、それだけだったはずだったのに。