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長生き魔法使いは暇を持て余す  作者: 綾瀬 律


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80/101

80.箱庭から

 俺は午後2時に店を閉め、ノアと宿に戻った。

「用事があるから箱庭に行く。ノアはここにいろ。シルバとミーシャも行く」

 そう伝えて箱庭に入った。今、ノアには来てほしく無い。

 箱庭はどんよりと暗かった。だろうな…。

 家の中に入って1番奥の突き当たり。

 そこの扉を開ける。懐かしいな…まだそんなに経ってない。箱庭の先は樹海の塔に繋がっている。


 塔の中ほどにある部屋を開ける。

 やっぱりか…。

「ルシー?」

 声を掛けるが起きない。やれやれ、俺はリオノールの姿のままで精神体のルシーと同化した。

 疲れてるな、これは。ルシーの体の中でルシーを抱きしめる。

 立ち上がってベットに横になると、シルバとミーシャも来た。


 癒してやれ…無理しすぎだろ。

 全くな…しばらく暇してたから張り切ったな。そんな所は昔から変わらない。

 ルシーの魂を抱きしめる。しばらくそうしていると、ロイグリフがやって来た。

 チッ苦手な奴だ。しかし、そのもふ毛はなかなかだ。

 ニャーと声なく鳴く姿は愛らしい。

 クソッ見かけは可愛いんだ、コツイは。


 おい、お前も寄り添え!

 にゃーだってさ、全く。ルシーの腹に顎を乗せて、しっぽの先だけゆーらゆらさせる。

 可愛いだろ、普通に。もふいし、暖かいし。喉までゴロゴロ鳴らしてる。

 思わずその腹を撫でると仰向けになった。おい、股は開かなくていいぞ!

 可愛い鈴さんがお見えしてるじゃ無いか。


 もふもふもふもふ…柔らかいな。喉のゴロゴロが凄い。くねくねも可愛いぞ?

 おっルシーが気が付いたな。


(ルシー、大丈夫か?無理しすぎだ)

(エリーふふっ大丈夫だよ。抱きしめてくれたんだな)

(倒れてたからな)

(そう?ふふっやっぱり来てくれたね)

(当たり前だ!全く)

(分かってるだろ?)


 そう、今回の魔獣の暴走の一端はルシーが関係している。周期的なそれは偶発的に起こるので、本当に偶然だ。しかし、磁場の歪みや魔力素の動きは、世界一の魔術師であるルシーの魔力が影響した。

 本当に偶然、ルシーがリオノールとして外に出たタイミングで魔獣の暴走の予兆とかちあってしまったのだ。


 ルシーはそれに責任を感じている。

 全く責任なんて感じる必要はないのに、やっぱりルシーは聖人となっても人なのだ。

 だから理りに触れないギリギリで出来ることをしたかったのだろう。


 にしたってだ、体から抜けて精神体になってる時点で魔力を使いにくくなっている。

 それなのに、だ。2日で仕上げる予定の剣を1人で仕上げてしまった。

 半分くらいは俺も作るつもりだったのに。


 それが分かったからここに来た。  

 そしてルシーは俺がそれを、ルシーの罪悪感に気が付いていることに、気が付いている。

 それもあって無理をしたんだろう。 


 そもそも俺にどうしたい?と聞いたのは、俺がノアに聞くと分かって聞いた。

 そして、ノアが守って欲しいと言うことまで見越して聞いたのだ。

 干渉出来ないから。それが精一杯だったのだろう。本人が関わるよりはマシだから。


 世界の均衡を保つために俗世から隔絶して世界を俯瞰する存在…それが、聖人であるルシーの役割。

 関わり方には気をつけなければならない。



(ルシー?もうだいぶいいか?なら体に戻れ!俺はうさぎになるから)

(そう、だね…そろそろ準備しようか)


 こうしてルシーはそのまま体に残って、俺はそこから出てうさぎに…なる前に捕獲された。魂ごと抱きしめられる。

 やっと解放されたら、今度はうさぎで捕まった。

 離せー!

 ロイグリフが割り込んできた、良くやったぞ!


 いや、だから離せー!


 今度はロイグリフに捕まって全身舐め回された。だから嫌なんだ、猫はグルーミングが好きだから。

 会えば舐められる。俺の毛皮はうさぎでも手入れ要らずなんだ。


 そのまま主の肩に止まり、ロイグリフも猫として箱庭から宿に戻った。

 ノアの目がまん丸になっていた。

「リオ…?」

『あぁ、主が体に戻ったからな』


「にゃーん」

 くっロイグリフめ、可愛い声出しやがって。

「その猫は…バーマンみたいな」

「あぁ、彼には一度会ってるよ、市場の店で」

「えっ?」

『人の姿だったからな!』

「あ、あの?」


 そう、ノアはとても記憶力が良いんだ。

『ははっ、そうだ!僕も聖獣の猫だよ!』


 聖獣が使う火魔法は大抵が蒼炎だ。人の赤炎よりも遥かに高温。しかし、ロイグリフやミーシャ、俺が使う火魔法は紫炎だ。高温すぎて、触れたら大抵が蒸発する。

 鉄やガラスはバターのように溶ける。


 だから今回はロイグリフの出番だ。

 ヤツは火魔法と風魔法が得意で、口や手から、紫炎の火炎放射器の如く火を吹き出す。

 その様子は凄まじい。まさに歩く火炎放射器だ。

 しかも、制御が完璧で焼きたいものだけが焼ける。範囲指定で焼き尽くすことも出来る。


『奴はとても優秀な火魔法の使い手だ』

 ノアは真剣に頷く。

「リオ、俺に火魔法を教えてくれ!」

 そうだな、使えて困ることもないか。

『分かった。外に出よう!』

 ミーシャが

『俺も出るぞ!その前に探索者に登録する』

『なら人化して行くぞ』


 その場でミーシャが人化した。背が高くて細身の白い髪に青い目をしたイケメンだ。

 見た目はノアより少し年上、20ぐらいか。

「エリー、何才の設定がいい?」

『19とかか?ロイグリフは何才だ?』

 そこでロイグリフも人化する。

「22才だよ。うーんミーシャは19かな」


 こうしてロイグリフとミーシャと、そして俺も主の肩に乗ってノアと共に探索者ギルドに向かった。

 シルバは狼として認知されてるから狼のままだ。


 ギルドに着く。

 登録窓口は…あった、してるな!

 おっさんの窓口か、いや全おっさんだな。

「こいつの登録を」

 主の体を遠隔で操作する。

「おう、背の高い兄ちゃんだな!字は書けるか?」

「あぁ」

 見た目に反して無駄にいい声なんだよな。ミーシャは。


 サラサラと書いて黒板を返す。

「ん?魔術師か、得意なのはなんだ?」

「火魔法と土魔法と風魔法だな」

「火魔法か?それは…どれくらい使える?」

「上級程度は…」

 ほんとは特級の上の上だけどな!


「よし、即登録だ!この街にいるか?」

「俺の仲間だからな、一緒にいるぞ!」

「よし来た!頼むぞ、兄ちゃん」

「ミーシャだよ、おっさん」


 ミーシャもつれないのだった。

 さてと、これで役者は揃ったな。 


(ノア、街の外に出るぞ)

(分かった)


 不本意ながらもロイグリフも連れて街の外に出る。

「転移するよ」

 主が声が掛けるとすぐに森の近くに転移した。


「ここなら人が来ないから。ノワールは火魔法を使いたいのか?」

 ノアは主を見る。

「イナゴはよく燃えるから」

 ノアの記憶力は本物らしい。

 主は目を細めてノアを見る。

「そうだな、ロイグリフとミーシャだと高度すぎるから…シルバ、火を吹いて」


 シルバがノアの太ももをしっぽで叩くと

『がぉーーー!』

 口から火を吐いた。先端が紫になった蒼炎だ。チッ、カッコつけやがって。

 ノアは目を丸くしてからシルバを見た。

「凄い…」

 シルバのしっぽが機嫌良く揺れる。


「ノワールは口から吐かない方がいい。やっぱり手、かな。炎は灯せる?」

 ノアは首を振る。

「僕の真似をしてみて」

 主は簡単に指先に紫の炎を出す。ごく抑えた炎だ。

 ノアはそれを見て指先から()()炎を出そうとする。

 いや、無理だろ。


『ノア、紫じゃなくて赤い炎だ』

 ノアは頷く。そして指先に魔力を集め、ポッと赤い炎が灯った。

「うん、そう。それを風魔法で飛ばす」

 ふいっと主の指先の炎が揺らいだ。

『初めは揺らす練習からだな』

 ノアは素直に頷いて炎を揺らそうとする。出来ないな。


 俺は主の肩からノアの肩に移動する。

 頬を前脚でテシテシすると

『風魔法を忘れてるぞ!風で揺らすんだ』

 あっと言う顔をする。火魔法を揺らすのはノアには無理だ。

 ノアは力を抜くと俺の方を向く。その白い頬に俺のもふ毛が当たる。ほんの少しこちらにスリっとしてから前を向き、また指先に集中する。

 赤い炎が灯り、僅かに揺らいだ。うん、いいぞ。

 ゆらりゆらりとした炎は前に向かって飛んだ。へろへろと。


『ぶはっ…へろいな!でもいいぞ!!なかなかそこまで辿り着かないんだ。焦らずその感覚を覚えろ。飛ばせるようになれば、後は威力の問題だけだ』

 ノアは頬を染めて表情を緩める。

 そしてまた練習を始めた。


「くすっやっぱりエリーは教えるのが上手いな」

『主がへなちょこだった頃に散々教えたからな!』





エリーのルシー呼びは慌てている時に出る

倒れたルシアーノを見て焦っていた


ルシアーノも昔はへなちょこだったな…遠い目

エリー、いつのことだよ?

昔語りをするコウモリだった

いや、あの頃は可愛いかったなぁ…

だからいつの話だよ!



*読んでくださる皆さんにお願いです*


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