78.石けんを売るぞ3
75.にルイとライのイメージイラスト追加しました…
「リオ、ギルドカードだ」
あ、ヘルフのことを忘れてた。
「おう、ありがとな!」
「しかし、その石けんはまたなめらかなんだな」
「ん?そうか…作りたくなってな」
「買ってもいいか?」
「もちろんだ!香り付きもあるぞ」
「さっきのだな?」
「あぁ」
「ジャスミン、ラベンダー、ホワイトウッド、ローズマリーだ」
ヘルフもじいじも少し考えて
「「各5個」」
顔を見合わせた。シンクロしてるな?流行りか?
各5個出した。
ノアはすでに計算していて
「銀貨60枚」
と言った。
うん、成長著しいぞ!
完全におかん目線だなとミーシャは思った。
お金をもらって品物を渡す。
じいじが
「リオ、頼みがある」
「なんだ?」
「薬草を売ってくれんか?」
「いいぞ!何がいる?」
「何がある?」
「前と違うものだと…あれ、だ」
(ミーシャ、あの…黄色い)
(道化師の憂いか?)
(それだ!貴重なやつか?)
(サラサ草よりは、な。天使の微笑みと近いだろ)
「道化師の憂い、とか…」
「なんと!ぜひ欲しい。天使の微笑みやサラサ草もあれば欲しいぞ」
俺はノアを見る。天使の微笑みならノアが売ればいい。たくさん持ってるからな。
「あるが、いいのか?」
「売ればいいぞ」
「ノワールも持ってるのか?」
頷くとカバンから10束ほど出した。
「また状態の良い物を」
普通だろ、なんたって主の箱庭産だからな。
俺はサラサ草と道化師の憂いを出す。こっちはまだまだあるからな。
ドンッ
じいじは目を丸くしていたが、もちろん売れるぞ?
「まとめて買うぞ!」
天使の微笑み ノア 30束 金貨150枚
道化師の憂い リオ 30束 金貨150枚
サラサ草 リオ 500束 金貨50枚
となった。
「リオ、申し訳ないが。後で衛兵本部に来てくれないか?剣は商業ギルドの買上げだが、こちらは衛兵本部なんだ。渡すにもな、大金すぎて」
それもそうか。
「お昼ご飯もご馳走するぞ!そちらのノワールと従魔も連れて食べに来い」
マジか?ラッキー!
ノアを見ると頷く。
「昼過ぎに行くぞ!」
「薬草もその時に受け取る」
「持って行っていいぞ。誤魔化さないだろ?」
ヘルフもじいじも何故か驚いている。その程度の薬草なら別に痛くも痒くも無い。
それに、ヘルフなら信用出来るからな。
「いや、有難いがそれは流石に…」
「急ぐんだろ?」
ヘルフとじいじはまた驚いてから破顔した。
「くすっリオには敵わない。なら貰って行くぞ!」
「おう、昼飯に期待してるからな!」
「任せろじゃ!ではまたな」
帰って行った。
よし、大金ゲットだ!
「リオ、流石にその…お金は受け取れない」
「何でだ?あったら困らないだろ?」
「しかし、あれはルシアーノ殿の…」
「牛が食べるかノアが摂るかの違いだ!気にするな」
「…分かったよ、ありがとう」
「それは主に言え。それに、な。後でまた沢山売れるからな!」
ちゃっかりしているエリーだった。
その後は宿の女将さんが通りかかり、石けんを見て目を丸くした。そして50個も買った。
そんなに使うのか?
「無くなる前に買いだめさ!」
まだまだあるけどな?
その後も石けんが爆売れした。ついでに指輪とかバングルなんかも売れた。
昼前にジルがヘルフと一緒にやって来た。
「やぁ、リオ!」
「おう、ジルか。何しに来た?」
何かを買いにだろ?とミーシャは思った。
「短剣を買いに。剣はもう無いよな?」
「5本ならあるぞ!」
「短剣はどれくらいある?」
「30本だな」
「じゃあ短剣30本と剣を5本、あと石けんも…20個くれ。あ、指輪も2つ、いや…7つ。石が外にはまってるのと中のとそれぞれ、だ」
「毎度ー」
短剣30本 金貨30枚
剣5本 金貨50枚
石けん 20 個 銅貨80枚
指輪 大7個 銀貨49枚
指輪 小7個 銀貨35枚
「それにしても、王の石が付いててこの値段か…」
ノワールはチラッとジルを見る。
ジルベルト・アルバサルク。この国の第3王子じゃ無いか…。いや、俺は何も知らないぞ!
それでもリオが不敬罪に問われたら大変かも。
(リオ、聞こえるか?)
(おう、どうした?)
(彼はこの国の第3王子だ)
(そうか。だから?)
(いや、一応伝えておこうと)
(そうか、俺の主は1人だ!片手で潰せる程度の国に敬意は持た無いぞ!)
(…そうだな)
朗らかに言われた物騒な内容は聞かなかったことにしよう。
「ありがとうリオ。ここで食い止める」
「無理だな!」
またしても朗らかに応えた。内容は不穏だが。
「リオ、それは…」
「迷宮も影響を受ける。ここは最前線だ。カイラスも無傷ではいられないだろう」
「し、しかし方法が」
「国が喰らい尽くされるのは防げるだろうがな。被害が出ないなんて妄想も甚だしい。本来なら国ごと消えても不思議じゃ無い規模だ。街の一つや二つが壊滅的な被害を受けたって、しれてるだろ?残るものがいなければ、復興もままならない」
ノワールは驚いた。そんなに?
なのにリオは嬉しそうだ。そこで思い当たる。そうか、リオにとってはルシアーノ殿の楽しみが増えると、そう思っているのか?
いや、リオはコウモリだが非情ではない。だからそれも何だか違う気がする。
リオを見る。
「守りたいんだろ?ノアは」
頷く。
「被害はゼロにはならん。それはもう理りだ。減らすことならまぁ出来るだろう」
ジルはショックを受けた顔をしていた。でも俺の言葉を聞いて
「一緒に守ってくれるのか?」
「俺が守るのは守りたいものだけだ!」
宣言した。
ジルは頷くと
「もちろん、構わないさ。それで。君が守りたいものは必ず守るだろうから。リオ、君との出会いに心から感謝を」
胸に手を当てて軽く頭を下げた。
「おっ、その挨拶カッコいいな!」
王子が頭を下げることの意味をエリーは知らない。
知っていたとしても、気にしない。彼はコウモリなのだから。
ジルは
「昼食に行くんだろ?俺も参加する」
「おう、なら店を閉める」
幕を下ろして店の外に出る。横にはノアが、後ろにはシルバが付いて来た。
衛兵本部に行くと、ヘルフの執務室に入る。
「ソファに座ってくれ」
部屋の中にはじいじがいた。
「リオ、金じゃ」
「おう!確かに」
コウモリの超音波は優秀なのだ。
ノアに金貨30枚を渡し、残りは自分が取る。
「リオ、私にも薬草を売ってくれないか?」
「薬草でいいのか?」
「薬があるのか?」
「いや、無い。簡単なものなら作れるが?」
エリーの簡単は蘇生薬以外だ。
「もちろん、簡単な傷薬でも構わない」
「そこは構ってくれ。新しい欠損程度ならすぐだな!」
相変わらずバグってるエリーだった。
目を見張るジルとヘルフにじいじだ。
「「「はっ…?」」」
シンクロしたぞ。今日のトレンドだな。
「だからな、新しい欠損くらいならすぐ治る薬程度なら作れるぞ?」
フリーズから早く始動したのは付き合いの長いヘルフだった。
「た、頼む!」
「いくらで?」
ジルが考えて
「一瓶で金貨10枚なら出すぞ」
「いや、高いだろ?」
薬の瓶は小指ほどの大きさだ。
「それが相場だよ、リオ」
むむっ仕方ないか。
試しにサクッと机の上で作る。
普段お茶として飲んでるルリ草だ。成分を抽出して聖水を混ぜ、魔力を注ぐ。細く細くゆっくりと。
瓶3個分が出来た。
「出来たぞ!」
「「「…はっ?」」」
またシンクロしたな。
「なんと…リオ。ありがとう!」
ジルが素早くやって来て俺を抱き上げた。
「お、降ろせ!」
高い高いとか子供じゃ無いんだぞ。
「ははっ悪いな、つい」
降ろした後に今度は抱きつかれた。
「本当にありがとう…リオ」
人は弱くて脆いからな。全く仕方ない。
ジルの頭を撫でる。
子供はこれで落ち着くんだ!
よしよし、随分を気を張ってたみたいだな。守りたいものは守る。
ジルも頑張れよ。自分の国なんだろうからな。
相変わらずやり過ぎ聖獣ズだった…いや主にエリーか
高い高いなんて…う、嬉しく無いぞ!
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