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長生き魔法使いは暇を持て余す  作者: 綾瀬 律
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7.誤解だ

 なんでこうなる…?


「俺は通りすがりの旅人だ」

 俺を捕られた護衛も困惑している。明らかに怪しい男と明らかにただの旅人の俺。

「なら何故ここにいた?」

「歩いてたら魔鳥に襲撃されていたから避けただけだ。そのルート上にその男がいただけで俺は関係ない」

 護衛はさらに困惑する。

「しかしだな…」

「ひ弱な俺が面倒ごとを避けるのが悪いのか?」

 逆に聞いた。

 流石に護衛も黙ってしまう。


 すると怪しい男が

「お前、俺の前を堂々と横切っていったな!このグラナス様の前を!」 

 とのたまわった。

 誰だグラナスって?


 しかし俺と違って護衛は顔を引き締め

「お前がグラナスか!この黒魔術師め、衛兵に突き出してやる!」

 知ってるのか…?

 そして俺を見ると

「お前もだ!グラナスの弟子が知らないが、通りすがりなんて嘘だろ。来い!」


 えぇ…面倒くせぇ…。


 こうして俺は怪しい男と一緒にドナドナ(捕縛)されて街へと進んで行ったのだった。

 いつのまにかミーシャもシルバも消えてるし…アイツら覚えとけよ!


 両手を縄で縛られて馬車の後ろを歩かされる。もっとも見えないように風魔法で体を浮かしてるから本当に歩いている訳ではないが。


 こうして一度も休むことなく歩かされ、夕方に目的であるシェイパーの街に着いた。

 手を縛られて。

 最悪だ。


 俺はそのまま門の所にある衛兵の詰め所に連行された。

 あー面倒くせぇ。


 護衛の男は馬車が襲撃されたこと、怪しい男のこと、そして近くに俺がいた事を話して居なくなった。

 俺はグラナスのおっさんとは別の部屋で縄をされたまま凄まれている。


「お前、名は?」

「リオノール」

「グラナスとの関係は?弟子か?」

「知らねーよ、あのおっさんのことは。護衛のヤツにも言ったが通りすがりの旅人だ」

「嘘を言うな!お前のような子供がそんなに上等な装備を身に付けているなどおかしいだろう。盗んだのか?白状しろ」


 上等な装備ってこのアイアンリザードが?雑魚とは言わないが簡単に討伐出来るぞ。

 コウモリの俺でさえ瞬殺なのに、何言ってんだコイツは?


「あぁ?アイアンリザードが上等?寝言は寝てから言えよ!上等ってのはな、ブラックドラゴン級のヤツだぞ。雑魚クラスの皮で上等もクソもあるか!」

 いい加減イラっとしたので言ってやった。今すぐ街ごと切り刻まれたいのか、コイツらは。


 すると奥から別の人が出て来た。そして無言で縄を解いて俺を見る。

「すまなかったね、誤解があったようだ。あの護衛と商人にも伝えておくよ」

 俺はむすっとして応えない。勝手に誤解して縄で縛って、怒鳴られて…。今さら謝られたって、俺は怒ってるんだ。いくらコウモリだからって何をされても平気なわけじゃない。主が活動するときの妨げになる可能性があるのなら…全力で抗議だ。




 少し前のことだ。

 商人が襲われて指名手配されていた黒魔術師のグラナスを捕まえたと言う連絡が門の詰所からもたらされた。

 俺は本部からすぐにその詰所に向かう。

 近づくにつれ、とてつもない悪寒がして来た。なんだこれは…何が起きてる…?何がいる?


 詰所に入る頃には背中に汗をかいていた。やべーヤツがいる。この詰所の中に。

 話を聞けばグラナスとそばにいた少年を捕らえたと言う。少年は弟子か何かでしょう。盗品を身につけています。そう報告された。


 本当に?


 俺は焦ってとんでもない気配のする部屋へと入ろうとした。すると中から怒鳴り声が聞こえた。

 ヤバい、ヤバいぞ。

 急いで中に入ると姿がボヤけるほどの濃厚な魔力をまとった少年がキレていた。

 アイアンリザードが上等とは何のことだ、と。

 コイツだ、これはまずい。非常にマズイ。


 無言で近寄って縄を解く。必死に誤解だったと伝えて。

 でも少年は答えない。

 改めて少年を見る。彼はアッシュグレーの髪と目の幼さの残る顔の少年だ。歳の頃は13才くらいか。

 アッシュグレーは樹海に住む森人の色。これは、本物だ。


「君は森人だね?樹海からはいつ出て来たんだ?」

 するとむすっとしながらようやく答えてくれる。

「今日の朝」


 怒鳴っていた兵士は唖然としている。

「森人?樹海…?」

 その顔色は青くなっていた。

「習っただろう?忘れたのか!アッシュグレーは森人の色だ。くれぐれも丁重に扱えと、教えられただろう」

 俺はため息を吐く。

「申し訳ない。君がグラナスの弟子であるはずがない」


 少年は黙ってこちらを睨むばかりだ。また背中を汗がつたっていく。

「どうしてくれるんだよ、縄で縛られて連れてこられたんだぞ?この街で商売しようと思ってたのに。犯罪者として見せ物みたいに…」


 マズイマズイ、マズイぞ。森人からもたらされる魔獣の素材や薬草はどれも貴重だ。

 しかも見てすぐ分かる特徴的な色。言い訳も出来ない。

 すぐに例の商人と護衛を呼び戻すべく部屋を出る。指示を出し終えるとまた少年の元に戻り

「本当に申し訳ない。すぐに商人と護衛を呼び戻して謝罪させる」


 そう言うのが精一杯だった。




オコなんだぞ!俺は…

全ては主の為…やっぱりルシアーノが大切なエリスリオノールだった



※読んでくださる皆さんにお願い※


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