60新しい依頼2
オーガの回収が終わったので、周りで薬草採取をする。
主が言ったように魔力素が濃いからか、まぁまぁ使える薬草(エリー視点の薬草はかなり貴重な薬草)を採取する。
ノアが
「リンネル草だ…凄い」
ん?リンネル草って、どこかで聞いた事が。
(主が美味いからって乾燥させて何にでも振りかけて食べるアレだろ)
相変わらずいい声でミーシャが言う。
あ、あれか…人間の調味料だとパセリとかバジルくらい気安く使ってるよな。
「貴重なのか?」
主がノアに聞く。
「毒に良く効く。最高の解毒剤だ…確か即死以外なら全ての毒に効く筈」
聞いたくせに主は興味を無くした。それはそうだろう、息を吹き掛ければ毒なんて簡単に解毒出来るのだから。
でも、いつまでもノアのそばにはいないだろうし。
やっぱり薬は必要だろうな、人は弱いからな。
『高く売れるか?』
「あぁ、10束単位で小金貨1枚だ」
安いのか高いのか分からんな。でも沢山あるし、取っとくか。ノアから離れた場所に跳ぶ。
今は雪うさぎに戻ってるからな。その前脚で根から掘り起こす。
確か、根っこが大事なんだ。
ん?ノアは雑に抜いてるから根っこが切れてる。
『ノア、根っこが大事なんだ。丁寧に掘り返せ』
「えっ…付いてるぞ?」
『ヒゲ根だ!それが凄く重要なんだ』
そばに跳んで行って近くの草の根元を掘る。うさぎだからな、掘るのは本職だ。
そして前脚で草をそっと抜くと根っこから四方八方にヒゲ根が生えていた。
『ほら、これが完成系だ』
ノアは草を見て俺を見て草を見て
「凄い!」
そう言って俺を大切に抱えて頬擦りした。くっ、草を持ってるから油断した。片脚でノアの顔を押す。
『うぜー』
顔をけられてるのに何故か嬉しそうなノアだった。
こうして、俺が掘ってノアが取るを繰り返した。主は興味なさそうだったくせに土魔法で適度に採取している。
なんやかんやでノアを気に入ってるんだな。
沢山採れたら金になる。それ以上にノアに薬を使ってやれる。相変わらず不器用だ。
ミーシャとシルバも穴掘り(薬草採取)を楽しんでる。
おっついでにきのこと山芋、山菜も採っておこう。
山菜炊き込みご飯と山芋を焼いたのが主は好きだからな。ノアにも食わしてやろう。
「戻ろう!」
主が声を掛ける。
まだ陽は高いが、今日は早めに戻っても良さそうだ。それなりにの金にはなってるだろうし、一昨日の疲れもまだあるだろう。やっぱり主は不器用だ。
実際にはとんでもない数のジャイアントトードを討伐してるのだが、樹海の群れは1000単位だから感覚が相変わらずバグってるルシアーノと聖獣ズだった。
「ノワール、おいで!」
主が手を差し出すがノアは掴まることなく、少し離れた場所で止まった。
「おんなじ顔なのにね?」
『ノワールが懐いてるのはエリーだからな』
ミーシャの言葉に主は肩を竦めて俺を見る。これは…はぁ仕方ない。
『ノア、少し離れるぞ』
主の肩に跳んだ。拗ねてる、確実に拗ねてる顔だ。
拗ねてる段階でご機嫌を取らないと面倒なんだ、後が。
分かっている俺たちは主の周りに集まる。シルバはその体を主に擦り付けミーシャは頭に乗る。
心なしかご機嫌になって、転移した。
ノアが不安そうにこっちを見ている。猫も不安そうにうにゃうにゃう鳴いてる。
(ノア、聞こえるか?)
ノアがびっくりして俺を見る。そして、あぁと納得した。
(主がノアに少しな…嫉妬したから。後が面倒だからしばらくこっちにいる)
(き、聞こえるか、リオ?)
(聞こえるぞ)
(分かった…教えてくれて良かった)
複雑そうな顔してたからな。
『おい、エリー母さんは相変わらずモテモテだな』
『母さんだからな…』
おい、ミーシャにシルバ。聞こえてるぞ?
そんな会話をしながら門から街に入った。夕方よりは早いから探索者ギルドに向かった。
後でもいいが、今なら空いてるだろう。
探索者ギルドはやはり空いていた。依頼完了の窓口に向かう。主が嬉しそうにノアにくっついて行った。
人が少ないとはいえ、やっぱり変な目で見られている。それだけノアの存在は異質なんだろう。いや、主の方か?
「依頼達成だ」
「おう、カード出しな!」
ノアと主がカードを出す。おっさん職員は機械を操作すると
「あっなんだこれ!おい、マジかよ…ってまたお前らか!」
怒られたぞ。
「解体の奴らを殺す気かよ!一昨日の猪とオークでも大変なのによ…」
っつってもな?ちゃんとした討伐依頼だぞ?
「討伐依頼だから納品しなくてもいいよな?」
口を挟めば
「毒袋は常設の依頼が出てる。目玉も肉も、それなりの値段になるぞ?」
あーたしか、喉の奥に麻痺毒の毒袋があるんだったな。
何に使うんだ?
「毒袋は主に痛み止めとかだな。ケガなんかの緊急時に使ったり、薄めて頭痛とか神経痛にも使える。神殿や診療所からの依頼が常にあるんだ」
そんなもんか?主ほどじゃ無いが、聖魔法が使えるから痛みなんかはすぐに取れる。
やっぱり人は弱いんだな、と思ったエリーだった。
肉は欲しいが、空間拡張ポーチの中に仕舞えば勝手に解体するからな…。主を見ると
「確か、討伐数は200と少しだよね?たくさん過ぎたら大変なら依頼分の30だけ売るよ!」
「おう、それなら依頼も達成するししばらくもつな。悪いな!えっとで、今回の依頼はジャイアントトードの群れを討伐だな。計算するぞ」
何やら数字を書いている。
「よし、依頼は群れの討伐で最低30だ。依頼料は銀貨5枚で、1匹につき銀貨1枚の歩合分が足されるから…総討伐数が206ならば、銀貨211枚。で、素材の買取が1匹辺り銀貨5枚で全部で銀貨150枚、合わせて銀貨361枚だな。小金貨枚36と銀貨1枚だ。オーガは討伐依頼が無いが、こちらはギルドから特別報酬が出る。1体銀貨5枚だからえー討伐総数は48体か…全くとんでもないな!で、小金貨24枚だな。オーガのツノと牙に爪は買取が高い。落ち着いたら何体か売ってくれ!」
一気にしゃべって小金貨60枚と銀貨1枚を渡された。ルシアーノは俺の能力である超音波で数を瞬時に数えると頷いた。
ノアには依頼料の半分を渡さないとな。銀貨が211枚と240枚だから451枚。半分なら銀貨225枚、小金貨22枚で端数はパーティーの費用にするか、だな。
討伐は95%がリオノール(ルシアーノ)と聖獣ズだが、あくまでもパーティーだから半分だと思ってるエリーだった。
そしてルシアーノもエリーと同じく仲間だから、ノワールと半分だと思っていた。
ミーシャは子供達もいい運動になったと思っていた
シルバは良い昼寝が出来たと思っていた
ルシアーノはエリーは僕のものだって思っていた
エリーはカエル臭えって思っていた
実際にはパーティーで討伐しても完全に均等では無い
でもエリーもルシアーノも仲間とは均等に分けると思っている
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