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長生き魔法使いは暇を持て余す  作者: 綾瀬 律
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6.街へ

 早めに起きて出発の準備をする。

 アベルが樹海の際にある店に行くと言うので、そこまで一緒に行くことにした。


 朝食と昼食のお弁当まで作ってもらった。

 有り難い。

 そしてアベルの家族に見送られて集落を出発した。

 出がけに乾燥させた薬草や魔獣の素材をたくさん持たされる。

 彼らの生活に必要なものなので断ったが、ルシアーノに渡して欲しいと言われればそれ以上は断れない。

 ならばと貰うことにした。


 こうしてアベルと連れ立って樹海を出るべく進んで行く。少し進むとまたアイアンリザードを見つけた。そしてまたサクッと狩った。そのまま収納してまた歩く。

 少し行くとアベルが

「ちょうど初春で筍や山菜が採れる。店にもおろせるし、家族にも持って帰りたい。寄っていいか?」

 と聞いて来たので、快諾する。

 それも街で売れそうだ。


 道を逸れて進むと山菜が点在している。タラの芽にふきのとう、三つ葉にぜんまい。アク抜きは必要だが天ぷらにしたりおひたしにしたりと色々使える。

 そして筍もポコポコと頭を出している。

 それらを適度に採取してアベルにも渡す。

「さすがルシアーノ様の魔法ですね、使いこなしているエリスリオノールも凄いぞ」

 褒められた。伊達に長生きはしていない。ちょっと嬉しかったのは内緒だ。


 そして元の道に戻って樹海の外を目指す。

 樹海は一歩入ると危険地帯だが、その手前はそこまで危険では無い。

 しかも貴重な薬草などは周辺にも生えている。それを目当てに店を構えるものがいる。

 森人から買取をしたり、ここまで足を運んで薬草を求めるものに売ったり。

 この辺りで薬草などを採取する人向けの日用品や食料品も売っている。


 アベルは樹海で手に入らない衣服や食料をその店に定期的に買いに行き、薬草や魔獣の素材を売っているのだ。

 程なく樹海を出て目当ての店に着く。

 もっとも俺はその店に用事が無いから、アベルとはそこで別れた。

「気を付けて!」

 笑顔のアベルに見送られて、人が踏み固めた道を歩いて行く。


 途中で寄り道をしたが、お昼前に樹海を出られた。

 樹海にはルシアーノの結界が施されている。中から外に出られるのは人だけだ。もっとも聖獣は人ではないが、出られる。しかし、目立たないようにミーシャとシルバは樹海の外で合流することになっている。

 だから1人で進んで行った。


 そろそろお昼でも食べるかと道ばたに座ってお弁当を広げた所でミーシャとシルバが合流した。

 狙ってたか?狙ってたのか…?お弁当を。

「「うまそうな弁当だな」」

 ハモりやがった。

「俺のだがな」

 ふふんっと鼻で笑うとぐぬっと言って

「「肩を揉んでやろうか?」」

 無駄にいい声でそう言う。

 そう来たか。

「夜に足でも揉んで貰うかな?」

 ニヤリとして言えば

「「承知した!」」


 …どれだけ食べたいんだよ。


「「承知した!」」

 またしても無駄にいい声で2度目の返事があった。

 いや、お前たち…食べなくても大丈夫だろ?


 そう、聖なる獣や虫は魔力を糧とするので、食事は必要がない。でも食べることは出来る。生きる為というより娯楽に近いのだ。

 ルシアーノは聖人だが人なので、食事は必要だ。もっとも魔力で補充出来るので普通の人ほど食べなくても大丈夫だ。なのでルシアーノの体を動かしているリオノールも食べなくても問題ない。

 とはいえ、やはり食事から取る栄養は必要だし、やはり美味しい食べ物を食べたい。


 なのでリオノールもお弁当を楽しみにしていたのだ。

 でも2人ならぬ2獣が食べたいなら仕方ない。

 お弁当を分けて彼らの前に置く。ミーシャは体ごと食べ物にダイブし、シルバは尻尾を振りながら食べ始める。それを見てリオノールも食べ始めた。


 2人は早々に食べ終わってまったりしている。ミーシャは頭の上で、シルバはアゴを俺の膝に乗せて。

 リオノールも食べ終えたので、出発することにした。

 ここから街までは何もなければ4時間くらいか…。

 あまりのんびりしていられない。まずは樹海の外に広がる森を抜けないと。


 獣道を順調に進んで1時間くらいで森を出た。ここから迷宮のある街シェイパーへと続く街道を進む。

 馬車も通れる舗装された道だ。

 でもリオノールは街道の脇、森の境目を歩いて行く。その方が目立たないし早く進めるのだ。

 足で歩かず魔法で浮いてるから人に見られたく無いのもある。

 街道に出てからはフードも被っている。これで巻き込まれることなく進めるはず。


 しかし当然ながらそんなに上手くはいかない。街道の少し先で何やら起きているようだ。

 木に隠れながら様子を伺うとどうやら誰かが魔鳥の群れに襲われているようだ。

 さて、どうしよう。


 1.無視して通り過ぎる

 2.助ける


 もちろん1だな。面倒なのは嫌だし。そのまま街道脇の森の中をなんてことなさそうに進んで行く。

 横目で見ると商人の馬車が襲撃されているようだ。

 ん?この魔鳥…野生じゃ無いな?

 良く見ればリオノールの進む先に怪しげなローブの男がいる。

 また面倒な所に…

 仕方ないな、コイツも無視しよう。


 そして怪しいローブの男の前をまるでいないかなように歩いていくリオノール。

 フードの男が呆気にとられ、思わず

「おい!」

 と声を上げた。


 リオノールは思った。コイツはバカなのか?と。


 多分、隠れていた筈だ。そして襲われている商人の護衛は魔鳥が飼い慣らされてると分かって、その首謀者を探していたのだ。

 なのに声を出した。

 バカなんだな、やっぱり。

 案の定、その男に気がついた護衛がその男に向かって来て、呆気なく捉えられていた。


 俺は通りすがりの旅人なのに、なぜかあの男に声をかけられたせいで俺まで捕まった。

 なんでこうなる…?




ミーシャとグレイが合流したぞ…

で、なんで俺まで捕まるんだよー(怒)


※読んでくださる皆さんにお願い※


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