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長生き魔法使いは暇を持て余す  作者: 綾瀬 律


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59.新しい依頼

 掲示板を見に行った。

「そこの薬草採取とかどうだ?討伐は少しお腹いっぱいだろ?」

「そうだな…」

「ん、でもこれは受けよう」

 なんて事なさそうな、ジャイアントトードの討伐だ。


(主、何かあるのか?)

(…少し気になるから)


「ノア、頼んだ」

 頷いて受注窓口に行く。やっぱりおっさんの所だ。まぁあんだけ女たちに押し付けられたら嫌にもなるか。



 こうして俺たちは薬草採取とジャイアントトードの討伐依頼を受けた。


「ジャイアントトードは北門から出て1時間の所だな。森の中みたいだ」

 ノアが場所を伝えると主は

「ならシルバに乗ればすぐだね」

 ノアが微妙な顔をする。

『主よ、ノアはあまり早いとキツイぞ』

「ん?そうか…なら転移する」

 それならノアでも大丈夫だな。


 ノアが顔を横に向けて俺に話しかける。

「転移ってあの…伝説の?」

 ん?伝説が何かは知らないが。

『一瞬で移動するアレだな』

「行った事があるのか?」

 主を見るが首を傾げている。


「行ったことがなくても、座標が分かれば移動できる」

 ノアはリオノールこと主を見て

「…伝説の転移は、知らない所に行けない筈」

 あーあれか、確か一時期流行ったあの…転移の劣化版で名前は

『空間移動…』

 無駄にいい声でミーシャが言う。

『『あーあれか!』』

「そんなのあったな…なんちゃって転移だろ?意外と不便だからって廃れた」


「なんちゃって…廃れた…」

 ノアが遠い目をした。俺は前脚でノアの頬をテシテシする。

『主の転移は座標さえ指定できれば問題ない。座標は頭の中にある地図データに置き換えるからそれも問題ない』

 俺はノアに解説する。

「リオも出来る?」

『俺にも出来るが、触れていないとダメだ。主なら指定範囲を全て移せる』

「…凄い」


 あんまり凄そうではなく言った。まだ警戒してるらしい。

『主は空気を読まないし、加減も下手だし、面倒くさがりで寂しがりだけど、基本はいい奴だ!』


 微妙に褒めてそうで貶しているエリーだった。


「そうか…リオがそう言うなら」 


 そして、やっぱりエリーにだけ懐いているノアだった。


 話をしていたら北門に着いた。

 外に出て街道に向かう。主が門を出た所で転移しようとしたのでエリーが止めたのだ。

『人の居るところで使っちゃダメだろ!劣化版ですら伝説なんだぞ!』

「そうだったね?えへっ」


 主が照れても普段なら可愛くないが、確かに目尻の跳ね上がった大きな目は魅力的かもしれない、とエリーは思った。


 門からも適度に離れて周りに人が居ないことをコウモリの探索で確認してから主が転移した。

 そこは森の中だった。


 うわっこれはまた凄えな…うじゃうじゃ居るぞ。

『なんだこれ…』

「やっぱりね…ここは魔力素が樹海の外縁並みに濃い」


 樹海の外縁はその名の通り、境界だ。外に向かうほど魔力素は弱くなる。と言ってもそこは腐っても樹海。

 普通の場所と比べたらかなりの濃度だ。


 ここがそれほど魔力素が濃いなら、やはりあの前兆だな。

 そもそもイナゴの魔獣が大発生するのは地脈の流れによると言われている。

 魔力素はその地脈と密接に関わっていて、地脈…大地の鼓動が魔力素を放出するのだ。

 樹海はその地脈の吹き出し口が至る所にある。だから魔力素が濃い。

 魔力素が濃いから魔獣が凶暴化する。


 大きな、そして常に吹き出している場所は樹海にしかない。しかし地脈は動く。その動いたもの同士が稀に重なる。するとより強く大地が鼓動して、魔力素が濃くなり、その魔力素を感じ取ったイナゴが大量に繁殖し飛来するのだ。


 その前兆は常なら小型魔獣の増加。

 今回はジャイアントトードだから()()()()()()

 これは主が気にしてるのも納得だ。なぜならジャイアントトードは約1.5Mほどもあるから。

 小型とは凡そ50cmほどの魔獣を指す。だからこそ異常で…だからこそ主が出張ったのだろう。



 これはまたなかなかだな。

 俺はため息を吐いた。



 そこからはまぁミーシャの子供たちが張り切ってな。主が本気でやれば範囲指定の超音波攻撃で瞬殺なんだろうが。俺でも主よりは狭いが、範囲指定で超音波を飛ばせる。だから俺は周りの撃ち漏らしを主に刈った。

 ノアはノアで端の方で地道に討伐をしている。背後とか死角の奴らは俺が対応だ。

 ノアを中心に超音波を出してるから、敵の位置は全て分かる。


 で、主はと言えば…おい。自分で作った短剣で遊んでやがる。魔法なら瞬殺なのにな、敢えて物理に挑戦か。まぁその横顔は無表情ながらも楽しそうで、それが1番だと眺めていた。


 ちなみにサーバルは1匹はノアのポケットで、2匹は俺の足元で寝ている。この状態で寝てるんだぞ?しかも仰向けで。野生の危機感どこ言ったよ。

 まぁな、絶対にケガなんてさせないけどな。


 こうして30分ほどでジャイアントトードが全滅。

「準備運動にもならないな…」

 主にとってはそうだろうな。シルバなんて寝てるからな!

 もっとも主だって相当数討伐してるはずだ。身体能力も高いからな。


 あ?やっぱりかよ…ノアと木の上に避難しよう。

「エリー、彼を避難させたら僕の肩においで!」

 これは仕方ないな。

『ノア、木の上で静かにしてろ!』

 ノアごと木の上に転移すると、跳んで主の肩に止まった。うさぎのままで大丈夫だろう。


 しかし

「同化して!」

 と言われたので、俺はうさぎの本体ごと主の体に入った。これが同化だ。主の体に入ってるのとは違う。俺の能力を主が使えるようになる。

 超音波を発生させるとかなり広範囲に散らばってるな。


(範囲指定で、ピンポイントに撲滅するよ!)

(何を使う?火はダメだぞ?)

(ダメなの?)

(森だからな!)

(風?)

(氷か雷だな)

(ノワールはどっちが嬉しいかな?)

 知らん!と言いたいが、こういう時の主はとことん絡んでくる。だから

(氷だな)

(よし!)



 バキバキッ



 森の至る所が凍りついた。かなり散らばってたな。

(だからエリーを呼んだんだよ!)

「ミーシャ、回収よろしく」

『分かった』

 子供たちが散っていく。そして、全方位から凍りついたオーガたちを回収した。

 オーガは食えないし、素材にもならないしハズレだろ。エリーはそう思った。



 実際にはそのツノや皮はそれなりに価値があるのだが、いかんせん、樹海の魔樹に比べると小粒なのだった。 



 エリーはまだ主に同化していた。あれ?なんか…ノアがいる木の上を見たら…青ざめて固まってる。どうしたんだ?

 主から出て本来の姿で飛んで行く。

 ノアの目の前でホバリングすると

『どうした、ノア?』

 大きく目を開いて

「白いコウモリ…?」

『これが本来の姿だな。主が俺の力を使うから…同化してたんだ』

 手を伸ばして俺をそっと捕まえると

「リオ…?」

『そうだぞ、ノア』


 コウモリは嫌われ者だからな、やっぱりノアに忌避感があるのか?

 とちょっぴり複雑なエリーだった。


「か、」

 か?

「可愛い…」

『…はっ?』

 ノアがそっと頬擦りして来た。

 うぜー!

 翼で顔を押し除けたぞ。全く、俺は愛玩動物じゃない。

 それでも目の前で嬉しそうに俺の頭をそっと撫でるノアを見て、まぁそれくらいは許してやるかと思った。

 俺は心が広いんだ!





転移魔法の劣化版…

言い方!と思ったノワールだった

俺の憧れの転移が…劣化版かぁ


「ノアにコウモリの姿が可愛いって言われてデレたな」

「デレたな」

ミーシャとシルバの会話

「だからエリーは抱き心地がいいって言ってるじゃん」

ルシアーノの独り言



※読んでくださる皆さんにお願いです※


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