表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
長生き魔法使いは暇を持て余す  作者: 綾瀬 律


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/101

58.ガイルの憂い3

 俺は帰路についた。


 そして、20分ほど歩いた所で俺を囮にしたパーティーの奴らが魔蜘蛛に襲われていた。

 遠目から見て分かったから迂回する。助けてやる義理は無いからな。


 迂回してしばらく歩いていると、3人が走って追いついて来た。もちろん、魔蜘蛛を引き連れて。

 チッ

 仕方なく背後の魔蜘蛛は仕留めた。子蜘蛛でも糸袋があって、それは売れる。

 沢山あった群れの方は無事なのだけを見繕って回収していた。

 こっちのも回収する。


 討伐は自動でギルドカードに記録される。コイツらが俺を囮にしたことはすぐに分かるだろう。

 噛まれて痺れたのか、踞っている。が、やはり助ける義理はない。

 囮にされただけじゃ無く、押し付けられたのだ。明確なルール違反だ。


「ガイル、た、助けてくれ…」

 余程痺れが酷いのか、ここまでなんとか走ったがもう立ち上がることも出来ていない。

「何故助ける必要がある?囮に押し付け…剣にヒビがあったのもおかしい。俺を殺す気だったんだろ?囮にしたとバレないように、剣を使い物にならなくして」

「そ、それは…」


「あの剣は迷宮産だ。普通ならヒビなど入らない。魔法的な何かをしたとしても、おかしいんだ。何をした?」

「ぐっ、それは…」

「黒魔術か…」


 黒魔術とはいわゆる禁忌だ。黒魔法とも言われるが、要するに呪術のような、使うこと自体を禁止されている魔法だ。

 少し前にやはり臨時のパーティーで討伐依頼をやった時か…?

 そうでもしなければ、おかしい。


 俺はため息を吐いた。全く…そこまでしてそのザマか。

 いや、もしリオと出会っていなければ…そして俺が欠かさず素振りをしていなければ。

 目論見通りになったかもしれない。


「俺は許せんな…一歩間違えれば俺は死んでいた、いや、お前らに殺されていた。だいたい他の2人はどうした?」

「それは…俺らも騙されたんだ!本当だ、信じてくれ…。他の2人は噛まれて、動けなくなった所で蜘蛛にたかられて…」

「見殺しにしたんだな」

「生き残るためには仕方なかった!」

「なら俺も生き残るためにここで見捨ててもいいよな」


 俺は3人に背中を向けて歩き出した。街道沿いとはいえ、魔獣がいない訳じゃ無い。

 野党だっている。弱いものは淘汰される、それがこの世界だ。

 人にしたことは自分に返ってくるんだ。


 そう思ってふと、リオならどうするだろうと思った。

 俺が見捨てるのは責められるような事ではない。しかし、今の俺なら助けられる。


 来た道を戻り、奴らのそばに立つ。

「助けて欲しいか?」

「た、頼む…あ、謝るから…だからどうか」

 近づいて肩を貸してやると、横から剣で斬りかかられた。



 バチッ



 斬りかかったヤツは吹っ飛んだ。魔法職の女だ。完全に意識を失っているようだ。

 肩をかそうとしたリーダーも遠くに吹っ飛ばされていた。何だこれは…。剣の辺りから光が。

 コイツらを放置するのは確定だな。


 帰ろう。今度こそ振り返らなかった。

 街について探索者ギルドに向かう。依頼達成の窓口で

「臨時のパーティーを組んだが、囮にされたり魔獣を押し付けられたり、剣で斬りかかられた」

「何?ほんとか、ガイル」

 顔見知りのおっさん職員は手を出す。そこにギルドカードを載せた。


 カードを操作すると

「酷いな…」

 だよな?俺もそう思う。

「奴らは?」

「魔蜘蛛に襲われてたぞ?俺は痺れて動けないやつに手を貸そうとしたら、剣で斬りかかられてな。吹っ飛ばして放置して来た」

「バカな奴らだ。ガイルは悪くない!生きて帰れるか分からんな」

「そうだな」

「依頼はなんと聞いてた?」

「魔蜘蛛の討伐」


 渋い顔をしたおっさんは

「蜘蛛糸の採取だな…」

 俺はカバンから糸を取り出す。

「採ったのか?」

「自力でな、奴らのはまだ自分たちで持ってるだろ」

「なら依頼達成だ。報酬はこれだな…」

「おう、ありがとよ!」

「奴らが死んだら、パーティーの口座とヤツラの口座からお前に見舞金として渡す」

「期待しないで待ってる」


「ところで、お前の目…治ったのか?」

「えっ?あ…」

 そういえばいつの間にか普通に視野が広がっている。塞がった目の方は視野が無く不便だったのに。

「あ、あぁ…やっと効果がな」

「そうか、よかったな!」

「おうよ!」


 おっさんは頷いたから、俺はギルドを出る。今は午後2時だ。昼を食べ損ねたし、市場に行こう。

 リオがまだ店をやってるといいが。

 この目だって色々と訪ねたが、王都の神殿で大金を積まないと治らないと言われていた。

 金貨100枚とかな、流石に無理だ。諦めていた、なのに…だ。

 リオに違いない。


 まずはリオの店に向かう。

 が、幕が降りていた。終わりか…。

 向かいの店の店主が

「あーそこの坊主は探索者だからな、午後は依頼を受けるから店は閉めてるぞ」

「そうなのか、ありがとよ」


 礼を言って店を離れる。串焼きを20本買って食べる。

 報酬は小金貨10枚、悪くはない稼ぎだが命を賭けるほどなのか?と思う。

 俺はリオを探そうかと思ったが、疲れもあって常宿に戻ることにした。


 部屋に入ると改めて折れた剣を見る。

 何故ヒビが入った…?魔法には詳しくないから分からんな。リオならば、何かを知ってそうだ。

 そのまま横になって少し眠った。



 ガイルがギルドに報告に来る少し前…

 リオは箱庭から戻って店を開き、2人ほどの客にアクセサリーを売ってから店を閉め、探索者ギルドに来ていた。

 オークと猪の群れの査定が出たらしいから。

 ノワールとルシアーノ、エリーはノワールの肩の上だ。

 一緒に入って職員に声を掛ける。すると奥に案内された。


 会議室のような場所で、じいじが待っていた。

「良く来たのじゃ、リオよ」

「おう、じいじ!査定だな?」

「そうじゃな。まずはオークキングは小金貨5枚、オーク10体で小金貨10枚、猪は50体で小金貨25枚だ。あわせて小金貨40枚だ」

 まずまずだな。

 討伐の報酬が小金貨10枚だったからな。ノワールには小金貨5枚を渡していた。


 パーティーの金として小金貨20枚残して、半分はノアに渡すか。俺の装備を買ってたからな。金はあっても困らんだろ。

「ノア、思ったより良い値段が付いた。小金貨10枚ずつ分配だ」

 頷いたからお金を渡す。

「パーティーにいくら残った?」

 ノアは一瞬固まってから、手を動かして

「小金貨20枚?」

 当たりだ!

「そうだぞ!良く出来たな…依頼でも探すか?」

「あぁ…」


 こうして掲示板を見に行った。

「そこの薬草採取とかどうだ?討伐は少しお腹いっぱいだろ?」

「そうだな…」

「ん、でもこれは受けよう」

 なんて事なさそうな、ジャイアントトードの討伐だ。


(主、何かあるのか?)

(…少し気になるから)


「ノア、頼んだ」

 頷いて受注窓口に行く。やっぱりおっさんの所だ。まぁあんだけ女たちに押し付けられたら嫌にもなるか。


 こうして俺たちは薬草採取とジャイアントトードの討伐依頼を受けた。




沢山稼いでな、エリー

チッ面倒だが仕方ないな…

主にはやっぱり甘いエリーだった


猪肉で今日こそボタン鍋だ!と思ったエリー



貨幣価値

銀貨1枚1000円

小金貨1枚1万円

金貨1枚10万円



※読んでくださる皆さんにお願いです※


面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価をよろしくお願いします♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ