47.粛清
ギルドに入るとノアが女性職員と話をしていた。
「いいじゃない?受けてくれないと困るのよ」
ノアに迫るように乳のデカいババアがノアに近寄る。避けるノア。アイツだな。
ノアが俺に気がつき焦る。
「いやよ?誰を見てるの?」
ババアが振り返った。顔の造りとかじゃ無くブサイクだな、コイツ。
「リオ、これはその…」
「臭えババアの臭いが付くだろ?離れろ」
ノアは速攻で俺の横まで退避した。
「あらやだ、可愛い〜ねぇ坊や。コイツの事知ってるの?」
「ノワールなら知ってるがコイツは知らねーな。ホルスタインババアは臭えから寄るな。嫌がってるだろ。弁えろ!」
きょとんとするババア。そして顔を真っ赤にすると
「はぁ?誰がババアでホルスタインよ?」
「お前しかいねぇだろ?能無し乳でか女なんてよ」
「脳なし、乳でかですって?!」
本性を表したな、コイツ。
「探索者をコイツ呼ばわりして無理やり依頼を受けさせようとしただろ?聞いてたぞ!」
「だからなによ?悪い!」
「それでノワールが死にかけたの知ってて言ってるのか、ババア」
「え…」
「お前がでか乳で依頼を男に押し付けてる間にノワールは死にかけたんだ。その後も傷が癒える前にまた依頼を押し付けやがったな」
「そ、それは…」
「ギルド憲章第一節 第12条項 ギルドの職員は公正かつ安全に配慮して職務を遂行すること。依頼の押し付けはあってはならない。探索者の安全と利益を最優先に依頼を斡旋すること。間違いないよな?マロウ」
「リオの言う通りだ。そこの職員、ブタメールは再三に渡り不正な斡旋を行った事が明らかになっている。懲罰の対象となった」
「そんな、みんなやってるわ!」
「お前は周りが人殺ししてたら自分もやっていいって思うんだな?」
「人殺しとはちがうわ」
「同じだろ?あと少し、何かが違ったらノワールは死んでた」
「あんたが何で知ってるのよ?黙ってるように言ったのよ」
シーンとするギルド内。
「俺が傷を治したからだ。傷の記憶を見て治癒をする。モグリじゃなければな。その記憶を見た。全部言うか?オークジュエネラルがいた群れを、ただのオークの群れといって討伐に向かわせたとか。殺人アリの巣に隣接するゴブリンの集落の討伐を依頼したとか、砂地獄の発見が報告されていた場所での薬草採取を依頼したとか、マーダーグリズリーの発見報告があった場所での討伐を依頼したとか…これでもほんの一部だな。で、マーダーグリズリーの爪で背中からお尻まで、内臓にも達する大けがをした。それを依頼不達成で処理しただろ?」
「「「…」」」
周りはそのあまりにも酷い所業に言葉が出なかった。しかも黙ってるよう隠蔽してたとは悪質だ。
「その大けがで死にかけたのに、2日後に野宿していたノワールを探し出してギルドまで引きずって依頼を受けさせたな?なんだったか、魔鳥の卵の採取10個だったか?」
魔鳥は卵があると気が立っていてその毒のある爪で引っ掻かれると大変な事になるのだ。
「俺と会った時も、まだ毒が体に残ってたな。魔力で体を強化していたからなんとか生きてたがな?お前はノワールを何回殺したら気が済む?」
「それなら断れば良かったじゃない!」
「受けないと付き纏われるから…気持ち悪くて」
ほらな、ノアがあんなババア好きな訳無いんだ。
「なんですって?私が好きなんじゃないの?」
「そんな股の緩い女が(人間界では)人気があるとは知らなかったな」
「まさか!気持ち悪いだけだ…」
だよな?ノアは意外と潔癖だ。
「さっきの依頼、ゴブリン100体の討伐か?お前が裸で森に入ればいくらでも集まるぞ?で、繋がってる間に殺せばいい。お前でも出来るな!」
「な、な、な…」
「リオら流石にそれは…」
「ノア、この街を出てもいいぞ?ここでなきゃいけない理由はないからな」
「リオ…」
「待て、いや持ってくれ…リオ。それは困る」
「俺は困らない」
「野蛮なことは野蛮なヤツがやればいいのよ!」
目を細めるリオノール。シルバが牙を剥いて威嚇する。
「ひっ…」
「ぐわぁぅ、ぐるぅぅぅ…」
前脚をかいている。助走だ。
「いやぁぁぁ…」
逃げて行ったホルスタインババア。くだらない。
「おい、お前ギルマスだろ?何してた?しかもアイツだけじゃないだろ」
冷気が漂う。ぶるり…
「リ、リオ…それはその。申し訳ない」
「謝って済む話じゃないだろ?しかも謝る相手が違う。ひとまずアイツら全員をゴブリンの集落に放り込むか」
「それは…」
「何か問題か?手段を選ばなくていいんだろ?この街では?」
マロウは答えられなかった。
ふわりとノワールがリオノールを腕に抱きしめる。
「リオ、もういい。もういいから」
リオノールはその大きな目でノワールを見る。
「何がだ?ノアが良くても、また誰かが犠牲になるだけだ。何人か死んでるからな、既に」
「「!」」
「Dランクの若者が続けて死んだだろ?調べてみろよ」
もう誰も何も言わない。ただ、カウンターの女性職員が青ざめただけだ。
「野蛮人が死んでも、また湧いてくるからいいわよねーってか?」
リオノールは治癒の時にの記憶の魔法で見ていた。確かにそう言って笑っていた女性たちがいたのだ。
「ギルマスもクソだな」
そう静かに言ってリオノールは掲示板の依頼を見始めた。
まるでもう話は終わったとばかりに。もう興味もないという風に。
リオノールにとっては人の死も対して重要ではない。ただ、規律を守らせる側の不正はおかしいと思っただけだ。ノワールが関わっていなければ、気にもしなかっただろう。
ノワールも何事もなかったようにリオノールに寄り添う。
「これとかどうだ?」
リオノールの余りにも普通の声がギルドに響いていた。
俺はギルド検証も暗記してるんだぜ?
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