46.お揃い?
「出来たぞ。隠したいのか?」
年頃の男子の気持ちなど全くわからないのだ。
「見えたら恥ずかしいから…」
そうなのか?チョーカー買ったガイルとか実はすごく残念なやつだったのか。
失礼なことを考えたリオノールだった。
「そう言えばな、なんか師匠?が来たぞ。ベルトの色は紫指定だったな。禍々しくて似合っていた」
それは似合ってるいいのか?と双子とノワールは思ったが口にはしなかった。
「付与が凄いって」
「まぁな、お前たちは明らかに物理弱々だからな…防御を増したんだ」
「物理…」
「弱々…」
「俺もだぞ?」
「「そうだね…」」
「魔力はな、封じられることがある。だから物理防御は捨てられない。同じく、物理が封じられたら魔力を必要とする。どちらもほどほどに必要だ」
「…物理弱いんだよな?」
「魔法に比べたら、だぞ。オークキングくらいなら一発で殺れる」
本当はマーダーグリズリーやアイアンリザードもいけるが、人に合わせて下方修正しておいたのだ。
それでも人と比較したら充分過ぎるほど強いのだが。
「「…」」
シルバとミーシャもなぜかドヤ顔だ。シルバは魔法が苦手だが、それでも双子くらいなら風魔法で瞬殺だ。ミーシャは物理も魔法もほどほどだ。俺は魔法特化だが、人と比較したら物理もそこそこだ。
実際はそこそこどころかSランクも真っ青なのだが。
「「付与に期待する」」
「それが無難だな。どうやっても物理が強くなる未来はない」
誰にでも容赦のないリオノールだった。
双子はお金を払って帰って行った。ノワールは少しだけ同情した。
「そういえば、ノアは魔力がかなり多いが使わないのか?」
「上手く使えない」
「なんで?」
「制御が…」
「…確かに、ダダ漏れだな。そりゃ警戒もされるだろ」
魔力が漏れ出していると自然と圧力が増す。見た目もあって怖く思えるのだ。威圧感だな。
「俺といる間に訓練だな。暴走しても抑え込めるから」
「いや、リオにケガをさせたら…」
「そんなへなちょこ魔法で俺がケガする事はあり得ない」
へなちょこ…言い方!と思ったミーシャだった。
「それなら頼む」
「任せろ!」
リオノールに任せると迷宮を瞬殺出来るレベルで魔法が使えるようになるのだが、ノワールはもちろん知らない。
ノアに手を出す。ノアは条件反射で俺の手を握る。
「魔力を流してみろ」
頷くと目を瞑って何やら難しい顔をする。しばらくして魔力がドカンときた。
「おい、少しは制御しろ。だだ漏れだぞ」
「どうやって」
「蛇口の水を細くするように、少しずつ絞るんだ」
「蛇口、絞る…絞る…」
うん、少しだけ流れが収まったがまだまだだな。
「止めていいぞ」
目を開けてふうと息を吐く。
「ダメダメだな、酷すぎる」
容赦のないリオノールだ。
握ったままの手を解いて自分の手の上にノアの手を軽くのせる。
「俺が魔力を流すから、まずはそれを感じろ」
「分かった」
俺はゆっくりと細く絞った魔力をノアに渡していく。一定の流れで絶え間なく。ノアは目を開く。
「これが…」
正しい使い方を知らないと時間がかかる。まずは正解から教え込む。
「なんと温かくて緩やかな…」
制御出来ない魔力は暴風みたいなものだ。俺のはさしずめそよ風だな。うん、いい事言った。
「流れが感じられるだろ?」
「あぁとても緩やかだ」
「その魔力に自分の魔力を載せて動かせ」
「載せる?」
「あぁ、手を繋いで歩いてるのと同じだ。俺の魔力と手を繋いで歩くんだ」
「手を繋いで、リオと…一緒に、一緒…」
おっ、動いたな。そう、そんな感じだ。緩やかに俺の魔力と寄り添うようにノアの魔力が動く。
ふと、ノアの魔力が途切れた。
「どうした?」
「いや、ちょっと集中力が…」
「慣れないと疲れるからな。少しずつ時間がある時に試すぞ」
ノワールはリオの魔力が消えてほんの少し寂しさを覚えた。
「もう、店仕舞いだ!ノア、依頼を探しに行くぞ」
「分かった」
2人で幕を下ろして市場を出て探索者ギルドに向かう。中途半端な時間だから、ギルドは空いていた。
中に入ろうとしたらシルバが立ち止まって後ろを振り返る。
「ノア、先に行ってくれ」
ノアがギルドに入ったのを見届けて
『シルバ、どうした?』
『ロイグリフがいた』
『マジか…主か?』
『多分な』
『人型で?』
シルバが顔を顰めて頷く。マジで勘弁してくれ。関わりたくない。
『よし、シルバにミーシャ。全無視で行くぞ?』
『『おう』』
長くなったので分割…
※読んでくださる皆さんにお願い※
面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価をよろしくお願いします♪




