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長生き魔法使いは暇を持て余す  作者: 綾瀬 律


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41.箱庭の夜

 リオノールは女だからノアが断れなかったのかと思ってムカついた。

 コウモリにとっては人のオスやメスの違いはどうでもいいのだ。ただ、一般的にはオスはメスに弱いという事は知っている。

 一度死なすか。ブワッと魔力が漏れた。

 横からノアに抱きしめられるまで無意識に力を少し開放していたようだ。

「リオ、俺なら大丈夫だから」

 大丈夫じゃないからあのケガなんだろ、と思ったがノアがそう言うなら()()引こう。

 体を力を抜くとノアが離れた。



 急にリオの姿が霞むくらいの圧倒的な魔力圧がかかり、部屋は急速に冷えた。それがリオの、自分を結果的に傷付けた者に対する怒りだと分かって慌ててその体を抱きしめる。

 すると力が抜けた。良かった。その体を離す。あどけない顔でこちらを見るリオ。その頭におでこを軽く当てて、俺は大丈夫だと言う。

 瞬きしてからリオは頷いた。どこまでも真っ直ぐなその目がとてもきれいだとノワールは思った。


「あー、本来はな。どの職員がやったとかは言わないんだわ。だがな、今回は複数人が関わっていてな。ケガをしていたと聞いたから。後で時間を儲けて謝罪させる」

「当たり前だな。吹っ飛ぶくらいは覚悟しとけ」

 俺はそれだけ言うと立ち上がった。もうギルドに用は無いからな。ブツだけ渡したら箱庭に帰るぞ!


 マロウに着いて解体場に行き、ボア50とオーク10にキングオークを出してギルドを後にした。

 また路地に入って行くとノアの手を握ってシルバの背に手を置いて箱庭に入った。

 シルバとミーシャはそれぞれ散っていく。ミーシャは木に、シルバは森に寝ぐらを作ったようだ。


 俺はノアと家に入る前にその辺りの雑草(薬草)を採った。ノアは驚きながらたくさん採っている。

「無くなったらいけないからほどほどがいいよな?」

 主の魔力が常に行き渡っているから、明日にはまた生える。

「いや、朝にはまた生えるからたくさん採っていいぞ?」

 ノアは驚いたようだが、せっせと屈んで採っていた。


 終わったので家に入る。さて、食事でも作るかな。

 今日は疲れただろうしやっぱ肉かな。でも偏ってはダメだから、ステーキと魚のソテーに野菜とスープとパンだな。

 明日の昼用にステーキサンドも作っておくか?保管用でもいいか。


 昨日と違って今日はおろしソースだ。魚はバジルソース。サッサと作ると、シルバとミーシャが来た。そんな事だろうとたくさん作った。カバンに入れておけばいいからな。


「ノア、出来たぞ?」

 ソファに寛いでいたノアをダイニングテーブルに呼んで食べ始める。

 もっしゃもっしゃと勢いよく食べるノア。シルバも豪快にスープに顔面からダイブしている。ミーシャはスープにつかってるのか?ま、いいかな。


 俺も野菜とスープ、魚と肉を食べる。最も量は少ない。娯楽だからな、たくさんはいらないのだ。

 ノアはもう食べ終わってお皿を見つめている。足りないか?

「ノア、おかわりあるぞ?」

 魔獣じゃないやつな!

 嬉しそうに顔を上げて皿を渡してくる。

 魚と肉とパンだな。すると足元でシルバがお皿を鼻でこちらに押す。


『魚と肉くれ』

『分かったぞ』

 それぞれにおかわりを出してやる。ノアは嬉しそうに食べている。あれ?表情が豊かになったか。作り物みたいな無表情だったのに。まぁどちらでもいいか。

 リオノールからすると、表情があろうがなかろうがその感情はだいたい分かるから問題ないのだ。


 ちなみにサーバルは魔力を食べる。箱庭(ここ)は常に主の魔力で溢れているから腹は減らない。

 今も大人しくクッション(リオノール作のふかふかクッション)で固まって寝ている。


 食べ終わって魔法で簡単に片付けを終わらせる。

 そして薬草茶を飲む。

「これ美味しいよな」

「あぁ、なんだっけか」

『ユラ草だな』

 いい声のミーシャが応える。

「ユラ草だ」

「はっえっ…ユラ草」


 ちなみに欠損まで治せる薬草だ。

「リ、リオ、それは流石に…」

 ん?森の方、牛の牧草地にわんさかはえてるぞ。

「牧草地にな、たくさんはえてる」

 ノワールはもうなんて反応していいか分からなかった。

「そうか…」

「生がはえすぎてもじゃまだからな、間引いてこうして飲んでる」

 商業ギルドの連中が知ったら卒倒するレベルだとノワールは思ったが、もう気にしない事にした。


「よし、風呂だ。ノア、入るぞ!」

 その手を握って脱衣所に入る。ささっと脱いで浴室に入ろうとし、ノアが脱いでないことに気がつく。

「早く脱げよ?」

 ノアはなぜか少し赤くなるとゆっくりと脱ぎ始めた。


 だから手伝ってやる。ベルトを外してズボンを脱がす。

「いや、ノアそれは自分で」

 下着も脱がそうとしたら断られた。

 脱ぎ終わったノアの体を見る。肩や腕、太ももやスネにもキズが複数ある。後ろに回るとやはり背中には大きなキズがあった。お尻やふくらはぎにもだ。これは群れにでも遭遇してかなりやられたか?


 ノアの手を引いて浴室に入る。シャワーを浴びて体を洗うのだが

「ノア、俺が洗ってやる」

 洗いながらキズを治そう。背中から順にお尻、太ももふくらはぎとキズを治しなら洗う。


 正面に回って肩から腕、太ももとスネもだ。

 よし、古傷も治ったぞ。

 シャワーで洗い流す。ノアはなぜかまた真っ赤になって固まっていた。何だ?

 自分の体もささっと洗って流す。ノアはまだ固まってて頭を洗っていない。

 仕方なく椅子に座らせて髪の毛を洗ってやる。


 リオノールは子育てをした事があるので、色々と慣れているのだ。もちろん、人はルシアーノしか育てたことがないのだが。

 ノアの髪を流すと自分の髪も洗う。流して終わりだ。湯につかるぞ。相変わらずなんだかぎこちないノアの手を引いて湯に入った。太陽の光はダメでもお風呂は問題ない筈だ。

 ノアは肩までつかっている。湯当たりして倒れるなよ?と思ったリオノールだった。




お風呂の世話も小さな聖獣たちで慣れているのだv


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