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長生き魔法使いは暇を持て余す  作者: 綾瀬 律


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40/101

40.依頼達成の報告

 ノアと手を繋いで門に辿り着いた。衛兵は見覚えがある。俺を見た途端に深々と頭を下げた。

「号外は出たんだろ?頭を上げていい」

「その節は申し訳ありませんでした」

「…」

「隊長から聞きました。色々とご尽力頂いたと。今後は気を付けます」

「まぁ、俺以外は街に出てこないがな」

 そこでギルドカードを取り出して渡し、門を通過する。


「リオ?」

「ん?あぁ、街に来る途中で馬車を襲ってた奴の仲間だと決めつけられてな、縄で縛られて歩かされて。ここに着いてからも尋問?されてな。大変だった」

 驚いたらしいノアは

「ケガは?大丈夫だったのか?」

「手首が縄で赤くなって少し痛かったな」

「それは酷いな」

「ヘルフが来てちゃんと対応してくれたからな。何とかなった」

「そうか、リオも苦労したんだな」

 ノアほどじゃないけどな、と思ったリオノールだった。


 歩いてギルドに着いた。人はそれなりにいるか。依頼達成の窓口は相変わらずオッサンの所が空いている。

 サッサとそこに並ぶとノアが驚いている。

「何?女のが良かったか?」

 さらに驚いて

「いや、それは無い。リオそこ女が良くはないか?」

「ないな。基本、奴らは臭いしな。オッサン臭の方がマシだ」

 女はなんかやたらと粉臭いのが多い。無理だ。シルバなんてあからさまに鼻にシワが寄る。


 やがて順番が来た。

「依頼達成だ」

 ノアがそう言って2人分のギルドカードを見せる。成果品の納品は不要だ。カードに討伐は記録されている。それを見てオッサンが固まった。

「はっ、えっ…はぁ?」

 なんだ?ノアを見る。なんか諦めたような顔だ。

「ちょっと待ってろ」

 バタバタといなくなった。


「なんだ?ありゃ」

 するとノアが返事するより前に後ろから

「ふん、不吉な野郎とガキかよ。何したんだ?失敗か?ふはっ、予想通りだなぁ。そんなポンコツパーティーはよ」

 声がした方を見るとニヤついた男がいた。4人パーティーだ。1番後ろの男はオドオドしてるが、他の奴らはニヤニヤしていた。

「わざわざ依頼達成に4人で並ぶのは迷惑だろ?ムサイぞ!」


 他から失笑が漏れた。

 全力で空気を読まないリオノールだ。

「だいたい、文句言うくらいなら他に並べよ。それともオッサンラブか?」

 さらにくすくすと笑い声が聞こえる。

 男は顔を赤くして

「んだとごるらぁ!」

「禿げてるからゆでダコみたいだな。不味そうだが」

 追い打ちをかけるリオノール。隣でノアがついに声を出して笑った。


「禿げてるのは仕方ないだろ。言ってやるな」

 フォローしてるようで貶しているノアだった。

「いや、絡んできたのは禿げの方だからな?不気味とかガキとか」

 そこにダミ声が響いた。

「お前ら何やってる!」

 振り向くとマロウがいた。

「絡まれたんだよ、禿げたゆでダコに」

 それを聞いたマロウが吹き出した。


「ぶわっはっは…禿げタコって…」

 言ってねーよ、禿げゆでダコだ。

「違いねぇ。お前、本気出すなよ?」

 俺に向かっていう。

「出さねーよ、ちゃんと弁えている」

 下手すると殺してしまうからな。

「なんだ、弱いって分かってるのか?」

 またニヤついて言う禿げ。

「ジダ、少し黙ってろ。お前ら、俺の部屋に来い。

 おう、みんなよく聞け!カルア山付近は近寄るな。異変の兆候がある」


 ギルド全体に響く大声で言うと俺たちを見て奥に向かった。ノアと俺はそれに続く。

 おかわりのことか?異変は。

 マロウの部屋に入るとソファを勧められて腰掛ける。シルバは足元に踞った。

「猪の群れとオークの群れか…」

「猪の群れの討伐依頼だ」

 ノアが応える。

「始めは50ほど」

「50だと?なぜ逃げなかった?Cランクパーティーでしかも2人では無理だろ」

 ノアは俺を見る。

「従魔もいるしな、それに樹海なら群れは少なくとも500だ。普通は1000単位だ。そのつもりだったから」

「樹海とはまた恐ろしい所だな」

「特に凶悪な魔物ばかり押し込めてるからな。凶暴だし個体が強い。しかもでかい。猪は1mほどで小さかったからな」

「ちなみに樹海に猪は?」

「いないぞ。生きられないからな。オークはキング以上しかいない」


「「…」」

 樹海やべーと思ったマロウとノアだった。

「そうか、それなら確かに問題ないと判断しても…」

 少し考えてからマロウが

「カードに記録された討伐数がとんでもなかったが?」

「従魔が張り切ってな?」

 足元のモフモフなシルバを見る。マロウは息を吐いて

「何にせよ、その数の群れがこの街を襲う可能性はあった。助かったぞ、ノワールにリオノール」

 俺は軽く頷いた。


「依頼達成と、後はギルドから少ないが褒賞も出る。後な、ランクだが、リオノールはあと少しでCに上がるぞ」

「ん?Dになったばかりだ」

「お前な、Bランクのノワールよりも活躍しててDとかあり得ないんだよ。とは言ってもな、採取、討伐、護衛の各依頼をこなす必要はあるんだ。良さそうな護衛依頼が入ったら連絡する」

「護衛依頼か…女は却下だ」

「何故だ?」

「ノアを不気味とか不吉とか言うだろ?それに臭いしな」

「お前、臭いって…。まぁ確かにノワールはな、見た目が怖いからな」

「俺だって見た目はコワモテだぞ!」

 胸を張って言うリオノール。


「「…」」

 小さくて可愛いだけだろ、とマロウもノワールも思った。


「まぁ、一応女性は無しにしとくからな」

「頼んだぞ」

「でな、たくさん猪とオークが取れたならギルドで買取がしたいのだが」

 俺はノアを見る。頷くので

「構わない。どれくらいいる?」

「そうだな、猪は50とオークは10欲しい。オークキングも欲しいな」

「俺は構わない。どこで出す?」

「解体場に、一緒に行くぞ。あ、討伐依頼の報酬が小金貨3枚、ギルドからの褒章が小金貨7枚だ。素材の買取価格はまた後日だな」


 そこでマロウは口を閉じてノアを見た。

「ノワール、ギルド外でかなり悪質な嫌がらせがあったと調べて分かった。依頼の横取りもだが、まさか何度も襲撃されてるとは。申し訳ない。改めて、周知する。少数ではあるがノワールに限らず襲う奴がいるんだ」

「他の奴が襲われようが死のうがどうでもいい。ただ、ノアに手を出したら容赦しないぞ。仲間だからな」

 マロウはリオノールの感情が読み取れない大きな目を見る。何故だか背中が寒くなった。

「通達としては違法行為を周知する。それとノワール、依頼の件も申し訳なかったな。強制するつもりは無くても、結果的にお前に無理をさせていたようだ」

「あぁ、それもな。やってた職員は誰だ?俺が3発殴ってやる。ノアがしたケガの分には到底足りないがな」


 マロウは苦笑し

「女性職員のようだ」

 その瞬間、部屋の温度が下がった気がする。何だこれは…明らかにリオノールから発せられる冷気。いや、これは怒りか。





絡まれるのは定石…



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