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長生き魔法使いは暇を持て余す  作者: 綾瀬 律


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34/101

34.ブラン

「剣?」

「ここには置いてない。注文が入ってから作ってる」

「それは気になるな」

 俺は昨日、見本に作った剣を取り出して見せる。

「これはオリ、ハルコン」

「いやミスリルだ!」

 即否定だ。


「いくらだ?」

「金貨10枚 ランダムに付与を付けてるぞ」

「欲しい、1本、いや2本」

「時間がかかるがいいか?」

「構わない。この剣なら何ヶ月でも待つぞ」

 何ヶ月も待たないぞ?

「くふっ」

 ノアの笑い声だ。ブランが驚いている。

「明日には出来る。何ヶ月も待つ剣なんて要らないだろ」


 人間とは感覚が違うリオノールにもそんなに長く待つのは無理なのだ。


「ならまた明日来る」

「おう、ありがとな!」


 順調だな。そこに黒いフードを被った見るからに怪しげな男?がやって来た。

「いらっしゃい」

 男は無言で短剣を見ている。

「これは…」

 しばらくじっと見ていると俺を見て

「手にとってもいいか?」

「どうぞ」

 そっと手にとっても刃をじっくりと眺める。

「素晴らしいな…この付与は」

 普通だけどな。

「昨日、ライとルイに探検を売っただろ?」

「双子か?魔術塔にいるって言ってた」

「そうだ、私の弟子だ」


 へーお師匠さんか。


 ノワールはピクッとした。魔術塔の双子と師匠と言えば当代随一の魔術師と名高いラウロア老師とルイとライと言う侯爵家の双子だろう。またなんて大物だよ。


 リオノールは全く分かっていない。分かっているのはルシアーノや自分たち聖獣と比べればまだまだな事くらいだ。小指の先1本で倒せるだろう。


「この短剣2本と腕時計も欲しい」

「革の色が選べるが?」

「紫はないか?」

「作れるが明日になる」

「短剣は剣帯付きで頼む。短剣だけは今日欲しい」

「分かった。少し待て」

 ルイとライは弟子なのか、ならお揃いで雷撃付けとくか。もう片方は追尾にしとくぞ。その場で付与して短剣を渡す。

「短剣の分だけ払うぞ」

「小金貨20枚」

「…」

 固まって俺を見る。

「おい、その付与でそんなに安いのか?」

「ん?オマケだからな!」

 お金を受け取ると

「また明日来る」

「おう、ありがとな!」

「ラウロアだ」

「リオだ」


 よし、また売れたな。


「リオ、あの方は凄い方だぞ」

「俺の主じゃない」


 リオノールに取ってはルシアーノだけが従うべき主で、どんなに偉い人でも関係ないのだ。そもそもコウモリだし。


「単位は覚えたか?」

「多分…」

「しっかり覚えろよ?次は数字な」

 ノアは頷いてまた勉強をしている。ほんと素直だよな、主と違って。

 感心したリオノールだった。


 バタバタと足音がする。

 ん?何だ?

 すると店に女性が2人駆け込んで来た。

「リオ!凄いぞ」

 何だ?


 駆け込んで来たのは昨日ブレスレットを買った客のイメルともう一人だ。ちなみにブレスレットには以下の付与を付けた。


 ブレスレット 

 屋号とマークの近くにラピス

 防汚 魔法反射 ラピス(触れると防御シールドが展開)

 自然治癒 体力強化 魔力循環


 体が弱いのなら大抵は魔力絡みだ。魔力の循環不全とか魔力供給過多とか。

 正しく魔力を流すことで治る事も多い。それを付与したのだ。


「リオ、見てくれ!あのブレスレットを付けたらイリアが起き上がれた…リオ、ありがと…ぐすっ」

 店に駆け込むやいなや大声で話をして泣き出した。

 子守りには慣れてるが人の扱いには離れないリオノールだった。ノアを見ると首を振られた。


 するとシルバがてけてけ歩くとイメルに寄り添った。

 驚きながらも俺が頷くとそのままシルバに抱きついてまた泣いた。

 近くにいた少女?はオロオロしつつイメルの背中を撫でている。


 そこに救世主が登場だ。ヘルフ、助けてくれ!

「リアリス巡査、リオが困ってるだろ」

 その言葉でイメルが顔を上げ

「ランカウイ大隊長…」

 シュダっと立ち上がって敬礼する。おい、鼻水垂れてるぞ?シルバを見ると背中の水分を浄化して魔法で飛ばしてた。だよな?鼻水はな…


「リオ、取り乱して申し訳ない。ずっと寝たきりの妹が。ブレスレットを付けて寝た朝、起き上がったんだ。ご飯もたくさん食べてな、歩いたんだ。自分の足で」


 リオノールの付与は聖獣基準なので人なら即回復するぐらいの物なのだ。もちろんそんな事は本コウモリは知らない。


「リオ、一体何を付与した?いや、言い。ここでは言うな」

 聞いといて何でだ?首を傾げていると

「別の場所で聞く」

 まぁいいが。


 少女が俺に話しかける。

「あの、リオ様…ありがとうございました」

 そう言って頭を下げる。

「治って良かったな」

 イメルが息を切らしてまで駆け込むくらい大切なんだろうからな。


 人じゃないけど人情深いコウモリなのだった。

 リオノールはイリアが目をキラキラさせて見ている事を知らない。知っていても気にもしないが。


「短剣とネックレス後はバングルも2つずつ欲しい」

「おう、短剣は剣帯やベルトはどうする?」

「それも欲しい」

「革の色は」

「赤と白で」

 それぞれの色で用意する。ネックレスとバングルもな。

「短剣のセットが小金貨18枚、バングルとネックレスが銀貨9枚だな」


 俺はノアに小声で

「全部でいくらだ?」

 ノアは18と18、9が4つと書いている。時間はかけたが

「小金貨36枚と銀貨36枚」

「金貨にも換算したら?」

「金貨3枚と小金貨9枚と銀貨6枚」

「銀貨にしたら?」

 ノアは考え込む。金貨を挟んだから分からなくなったから。

「銀貨…36で、えっ?ん…」

「小金貨は銀貨何枚だ?」

「10枚…だから小金貨36が360で銀貨が36で……396?」

 自信なさげに聞く。

 俺はノアを頭を撫でる。

「正解だ!」


「銀貨396枚だ」

 金貨4枚を受け取ってノアに渡す。ノアは考えてから指を折ったりして銀貨4枚を取り出す。

 俺がお釣り用に渡してあったお金からだ。俺はまたノアの頭を撫でると金をイメルに渡す。


「ありがとな!」

 いざ渡してイリアがやっぱり目をキラキラさせて見ているとには全く気がつかないリオノールだった。




 そして頭を撫でられて恥ずかしくて、でも何故かとても嬉しかったノワールだった。




無自覚に色々やってて何気に人気があるリオノールだった



※読んでくださる皆さんにお願い※


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