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長生き魔法使いは暇を持て余す  作者: 綾瀬 律


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31.パーティー仲間

 自ら孤独になる必要なんてない。やり過ぎという意味ではリオノールも充分やり過ぎだが、それでも1人より2人がいい。その言葉に感動したノワールだった。


「リオは不思議だな」

 何がだ?まぁそもそも人じゃないしな。

「よろしく頼む」

「こちらこそだ」

 ノワールの冷たい手を握る。それからまた歩き始めた。

「リオはどこに泊まってる?」

「剣と柄杓亭だ」

「俺も泊まれるか?」

「ん?どういう意味だ?」

「断られることも多い。最近は野宿ばかりでな」

 それは大変だな。聞いてみるか。

「一緒に宿に行くか?」

「頼む」


 宿に向かった。

「何度も野宿したのか?」

 ノワールは答えない。これはそもそも宿に泊まってないな。

 宿に着いた。ノワールは外に待たせて入る。

「お帰り!」

 女将が迎えてくれる。

「1人泊まらせたいんだが、黒の騎士って呼ばれてる奴なんだ。ダメか?」

「探索者かい?」

「あぁ、俺とパーティー組んでる」

「なら構わないが、あいにくと満室さ」

「そうか…」

 すると厨房から主人が出てきた。

「お前の部屋で良ければ泊まっていいぞ?ベットは一つだが。食事は出せるぞ」

「ならそれで頼む。今晩だけでいいぞ」

「分かった。食事の時に声をかけてくれ」

「部屋に持っていっていいか?」

「構わないぞ」


 俺は宿の外で待っているノワールに声をかける。

「ノワール、俺と同室ならいいってさ。入って来なよ」

「同室なのか?」

「嫌だったか?」

「俺は別に…」

「なら問題ない、入れよ」

 ノワールが入ってくる。女将も主人も特別な反応はしなかった。

「パーティー組んだってな?コイツのこと頼むぞ?兄ちゃんよ」

 宿の主人にかかれば兄ちゃんなんだな。ノワールは驚きながらも頷いた。

 ノワールの手を引いて部屋に行く。狭いがまぁここでは寝るだけだから大丈夫だろう。


「えっと、ベットは?」

「これだけだ」

 座ったベットを叩く。

「俺が床でいいぞ?」

「えっ?いや、ダメだろ。リオが泊まっている宿だ。それなら俺が床で…」

「うぬ…後で考えよう」

 ふーっとベットに転がる。ノワールを見て

「椅子でもベットでも座ってくれよな」

 ノワールはベットの端に座った。俺はベットに上がってきたシルバをもふりながらダラダラする。

 ノワールは所在無さげに座っている。寝転がればいいのにな?


 シルバがノワールに近づいて

『お主は清浄な匂いがする』

 話かけた。ノワールは驚いて

「えっ…」

「グレイウルフ、一応聖獣だぞ」

「グレイウルフ…えっ、えぇー!」

 驚けるんだな。

 俺の方からミーシャが移動してシルバの頭に乗る。

『ほう、確かに清浄な匂いだな。エリーが認めるだけある』

 当たり前だろ?こちとら腐っても聖獣だぞ?欲まみれのニンゲンの近くなんて臭くて堪らない。

「喋った…」

 驚くよな?しかもえらく渋い声なんだよ…

「聖虫の白蜘蛛だな…」

「聖虫…」

「あぁ、(ルシアーノの従魔)仲間だ」

「仲間…リオは何者だ?」

「魔術師だぞ?」

「テイマーじゃないのか?」


(違う、魔術師だよ)


 主、今出てくるのか?声だけだが。

「えっ?誰の声?」

「俺の主だな」

 もう驚き過ぎて目がまん丸だ。

「今はまだ詳しい事は言えないがな。その内に…」


(エリーが気に入ったみたいだし…)


「エリー?」

「そこは気にするな!俺は俺だ」

 真っ直ぐに俺を見て頷く。

「そうだな、リオはリオだ」

 何故だか嬉しそうに笑う。少し緊張がほぐれたのか、ベットに仰向けに転がった。そこにシルバが寄り添い、ミーシャが肩に止まる。

 気に入ったのは俺だけじゃ無さそうだな。



「なぁ、ノワールって長いから何か愛称とかないか?」

「…ない」

「ならノアって呼んでいいか?」

「ノア…いいが?」

 ノアは聖なる箱舟の名前だ。自分の黒さと比較して驚いたようだ。黒いのは服や装備でノアはむしろ真っ白だ。おかしくないだろうに。

「白いからな…ピッタリだ」

 少し頬を染める。

「ノアは何ランクだ?」

「B」

 1人でB?それはかなり…頑張ったのか?いや違うか。


 俺はノアにのしかかりそのシャツをまくる。白いその体には傷がたくさんあった。古いものから新しいものまで。相当無理をしたのだろう。

 俺はその傷に軽く手をかざす。もちろん治った。俺は新しい傷なら超音波探傷で服の上からでも分かる。

 しかし古くて肌に同化していると分からない。

 治してやりたいが、裸にする訳にもいかない。その内、風呂でも入りながら治してやろう。

 聖獣だからリオノールも治癒はそれなりに出来るのだ。


 そもそも傷を手を翳しただけで治せることが聖獣としてもチートだがもちろん、リオノールは知らない。


 ノアのシャツを戻す。

「これからはパーティー仲間だからな、1人で無理するなよ。魔法ならそこそこ使えるぞ?」

「リオには敵わないな…そうするさ」

 ふっと笑った。笑えるようになったな、良かった。無表情の自分を棚に上げてリオノールはそう思った。


 下から飯の用意が出来たぞ!と声がかかる。

「取ってくる!」

 部屋を出て階段を駆け降りた。トレーごと受け取ってまた階段を駆け上がる。魔法で浮かせてな。

 部屋に入ると浮いているトレーにノアが驚いていた。

 座って食べ始める。シルバとミーシャもやってきて分けて食べる。

「俺のもいるか?」

「育ち盛りだろ?大丈夫だから」


 育ち盛りの年齢のリオノールに言われて複雑な顔をするノワールだった。

 実際のリオノールはそもそも食事がいらないから全く問題ないのだが。


 リオノールは悩んでいた。風呂どうしよう。箱庭に行けばあるが、ノアがいるからな。

 出掛けてくるって言って外から箱庭に入るか?うーん…。

「リオ、先にシャワー浴びて来たらどうだ?」

 ん?そうか、その手があるな。

「あぁ、お先に!」

 宿の共同シャワー室に入ると鍵をかけて、そこから箱庭に入った。よっしゃ、風呂だ風呂。調子に乗って長風呂してシャワー室を出るとノアがいた。

「リオ、大丈夫か?」

 ん?

「なかなか帰って来ないから心配して…」

 あ…ついいつものクセで長風呂を。


「あぁ、大丈夫だ。俺はきれい好きでな。時間がかかるんだ」

「ならいいが…」

「交代でどうぞ」

「あ、あぁ…」

 悪いことしたな、と思ったリオノールだった。




 リオがシャワーに行ってからかれこれ1時間だ。長すぎないか?倒れてたりしたら…。シャワー室の前まで行って悩んだ。鍵が掛けてあるし、壊して入ったらリオが驚くか?でも、倒れてたら…と考えていたら扉が開いた。

「リオ、大丈夫か?」

 キョトンとした顔で見る。少し色付いた頬でこちらを見上げる。ツヤツヤとした肌は血色も良く、倒れたりしてはいなさそうだ。

 交代でシャワーを浴びる。そして自分の体を見た。たくさんあった胸から腹にかけての傷はリオが簡単に治してくれた。当たり前みたいに、なんて事なく。


 レベルを上げるためにかなり無茶をしていたし、他にも色々とあって。見透かされていたようだ。敵わない、な。

 治癒の魔法は使える人がごく限られる。それをいとも容易く、金も取らずにリオは俺にしてくれた。

 突然シャツをまくられた時は焦ったが、ケガに気が付いていたようだ。

 何故かほんわかした気持ちになった。




なんだかんだでみんな真っ直ぐなノワールがお気に入りだぞ!とドヤ顔のエリー



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