1.暇だ!
新連載です…
実は1番最初に書き始めた作品でした
ストックが少ないので、更新はゆっくりです
暇だ。
恐ろしく暇だ。
ルシアーノは溜息をつく。
もう何度目だろうか。
ここ10年ほどずっとそう思っている。
長すぎる生は倦む。
夢中で生きた100年
研究に邁進した300年
燃え尽きて自堕落な生活をした100年
それからまた最初に戻り…
最早何年生きたか忘れてしまった。
約1000年くらい(多分)生きたがまだまだ死なない。
寿命が敵前逃亡して身体は若くて健康なままだ。
しかし暇だからと言って死ぬほどでもない。
そんなことをつらつらと考えて。
そろそろ考えることにも飽きて来た。
ルシアーノは大深林と呼ばれる広大な樹海の中にある塔に住んでいる。
大深林は凶悪な魔物が跋扈する場所。
人の国では無謀な自己陶酔した自称実力者と呼ばれる探索者か、頭のネジが飛んだ研究バカ、権力に目がくらんだ輩が挑戦する、世界で一番ヤバい場所と認識されている。
なぜそんなヤバい場所に挑むのか?
それは大深林の魔物は固有種で薬草も鉱物も全てが非常に貴重で価値があるからだ。
そんな場所に塔を建てて住んでいるルシアーノは世界一の魔術師であり錬金術師でもある。
大深林の凶悪な魔物を指パッチンだけで倒せる。
最上級の万能薬を片手間で作れるし、なんなら息を吹きかけるだけで瀕死の重症を治せる。
だからこそ倦んでいる。
さて困った。
このままでは心がやられてしまう。
今日もルシアーノは溜め息をついていた。
ぐだぐだとしながら寝て起きた。
ふと思う。
そうか!大深林にいるから暇なのか…
なら大深林を出ればいいのか!
今さらだがそう思った。
やっとそう思えた。
暇だと言いながらも塔は住み心地が良い。
100年かけて作り上げた自分の城だ。
私物は少ないが魔物の素材や薬草、研究資料などが沢山ある。
ほんの少し散らかっているが安らぎの住居兼研究所だ。
しかしここにいたら兎に角暇なのだ。
だから外に行こう!
そう考えたら途端に楽しくなる。
どこに行く?
どんな姿にする?
装備は?
そして一番大切なのは……
何をする?
考え始めると止まらなくなった。
あー堪らなく楽しい。
色々決めないとな。
部屋の中で鼻歌を歌いながらスキップをするルシアーノだった。
さぁ準備だ。
まず何をするか?
実は決めていた。
塔を出たら迷宮に潜ろうと。
迷宮とはこの世界に出現する不可思議な空間のことだ。
迷宮は人を惑わす。
迷宮は人を潤す。
迷宮は人を迷わす。
迷宮は人を飲み込み。
危険だか迷宮産出の魔物、鉱物、薬草は貴重だ。
生きて帰れれば名声と金が手に入る。
探索者にとって迷宮とは憧れであり実力を試す場所でもあるのだ。
もっともルシアーノは樹海産の貴重な魔物、鉱物、薬草をたくさん持っている。しかも名声もある。
お金は薬草などを売れば、いくらでも手に入る。
だからルシアーノにとっての迷宮は単なる娯楽だ。
長く生きたルシアーノでも迷宮に潜ったことはない。
楽しみだ。
非常に楽しみだ。
全力でいくと迷宮ごと破壊してしまうからな…そこは力を抑えて、でも全力で楽しもう。
ブツブツ独り言を言いながらやることをリスト化していく。
1.自分を作る
2.装備を整える
3.金を稼ぐ(今の貨幣を持っていない)
4.探索者になる
そんなとこか。
まずはどんな自分にするかだな。
むむむ。
ルシアーノは背中の中ほどまである銀の髪に切れ長の青い目をしている。
見た目は20代前半で冷たく見える整った顔立ち、手足の長い細身の体で背が高くまぁまぁ目立つ。
そもそも長生きして聖人となっているので纏う空気も魔力も桁違いだ。
まずは目立たないように地味な色合いに。
そして年はそれなりで…
よし!決めた。
まず年齢は12才くらい。
幼過ぎず、でも若いから多少のことは許されるだろう。
髪と目の色はアッシュグレー。
うん、地味だ。
それだけだとつまらないから髪の毛先は青にする。
ついでにサイドの一房も青にしとくか。
目も虹彩の縁を緑にしよう。
うんうんなかなか良い。
背は標準くらい、12才なら165cmほどかな?で細身。
顔立ちは自分をベースに冷たい印象を和らげるよう目を大きく少し目尻を跳ね上げる。
おぉ〜完璧。
イメージは猫のバーマン。アイラインもバッチリさ!
次は装備だな。
るんるんでニヤけながら準備をするルシアーノ。
服装は麻に白蜘蛛の糸を混ぜた布で作ろう。
白蜘蛛は大深林にだけ住む聖虫だ。
その糸は魔力との親和性が非常に高くそこそこ使える。
麻と合わせると肌触りが良く汗をかいても不快感が少ない。すぐ乾くうえに魔力耐性と耐久性に優れ、ちょっとした魔法や斬撃は弾く。
シャッツとズボンはそれで決まりだ。
下着は白蜘蛛の糸100%で柔らかく最高の肌触りに。
目立ちたくないから顔を隠せるフード付きのローブは必須だ。
何の皮にするか?
あぁ樹海の飛獣が脱皮した時の皮があったな。
風と空間魔法の威力が増大するし、あらゆる魔法を弾き耐候性もある。
後は靴と防具か。
靴はやっぱりハーフブーツだな。
アイアンリザードの表皮で作ろう。
水や泥を透過しないし軽くて丈夫。
防具はアイアンリザードの真皮にしよう。
厚みがあって剣でも魔法でもほとんど傷が付かない。
胸当てと剣帯、脛当てに籠手。
あぁ手袋もいるな。
荷物は少なくしたいから空間拡張カバンにしよう。
リュックも肩掛け鞄もじゃまになるからベルトにつけるポーチだな。
容量は無限にしとこう。
時間停止と時間促進を付けておく。
あぁ、宿代わりにに箱庭もセットにして、と。
後は武器かな。
正直無くても困らないが不自然だしなぁ。
面倒だが魔剣ディスタンシアを持っていくか。
うんうん楽しいことは良きかな。
主であるルシアーノのことを、冷めた目で見ている白いコウモリがいた。
少し散らかっている?
少しの単位間違ってるやろ!
白蜘蛛の糸ってどっかの国の国宝だったような?
そしてなんか嫌な予感がするのは気のせいやんな…
と思う俺は白いコウモリv
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