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僕は、
野菜を売る商売を生業にしていた。
誰にでも分かることだが、
売る側が利益を出さないと、
純粋な商売は成立しないのである。
僕が野菜を売る、ということは、
決して僕が一人では成立していなかった。
売り手とし、フロントマンとして
僕は店先に立つ。
僕が客から確かに賃金を受け取り、
それで、儲け、が出るから、
僕の野菜売りは成立して、
僕の生活も成り立っていた。
僕が野菜売り、として、
成立するまで、
生半可な道程では無かった…。
それで、僕の生活は現在、
ウハウハ♪かというと決して、
そうでは、ない。
ポチを飼えるだけの、ギリギリの生活を僕は、
していた。
その年、不作で、
野菜を売れない、という年も、あるのである。
僕は自身の生活以上に、
他者を考えられることが、
本当に出来ない生活をしていたのである…。