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何から話したら、いいだろう…。
うちの、ペットである柴犬のポチ、からにしたい…。
僕は古民家に一人、住んでいるが、
ある日の朝、家のドアを開けると、
子犬のポチが勝手に、そそくさと、
入ってきたのである。
ポチは迷い犬か、捨て犬だったのである。
僕は、その日、ポチを抱いて近所を回った。
飼われていたのが脱走した可能性が、
あったからだ。
近所の皆は、
誰も『ウチのワンコだ!』とは言わなかった。
僕が馬鹿ではないということをアピールしたくて、
しっかり、ここで述べるが、
近所では、ないところから、ポチが逃げてきた可能性がある…。僕が御近所さん、と呼べるより更に遠い所から子犬は迷子になった…。
…そして、更なる遠いところからポチが来た可能性があった……『旅人』である。
この世界には放浪者という人達がいて、
その誰かが、どこからかポチを僕の近所に連れてきて、
放ったのである…。
昔のことである。
僕は、小さきポチが僕に抱かれているのを喜んでいるように見えて、僕がポチを飼うことにした…。