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転生した大魔王、地球に出現したダンジョンを作ったのが前世の自分であることを思い出す。 〜魔王時代の知識と経験で瞬く間に世界最強になって無双します!〜  作者: 八又ナガト
第二章 大魔王、因縁の宿敵たちを相手に無双する

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67 ボスの存在

 上級探索者が入場してからしばらく経った後、続いて俺たち中級探索者組もダンジョンに入って行く。

 中は複数の通路が存在していたが、先に入って簡単に調査した上級組の情報によると、そのうちの一つだけ奥に続き、それ以外の通路は中広間(行き止まり)に繋がっているらしい。

 そしてそれぞれの中広間は魔物の発生地点となっているようで、俺たちは10人前後のパーティーを組み、中広間にて対処に当たることとなった。

 狭い入り口付近に大量の魔物が押し寄せるのを待つよりは、直接その場で、上級組がボスを討伐するまで魔物の殲滅に務めた方が効率的というわけだ。


 一応、魔物が抜け出してきた時のことを警戒し数十名が入口付近と入口外に待機することになり、どちらを担当するか決めることとなったが――


「中広間で殲滅一択だな」

「あはは……蓮夜さんなら、そう言うと思いました。」


 俺の呟きに、雫が苦笑いしながらそう反応する。

 ボスと戦えない以上、せめてこれくらいの役得があってもいいじゃないかと考えたのだ。

 せっかくだし、一人で中広間を担当してやろうと思ったのだが、残念ながら昨日と同様にそれは許可できないとのこと。

 そのため最終的には連携面を重視して知り合い同士の方がいいとのことで、俺、雫のパーティー3人、ミツキのパーティー5人、琴美の計10人ピッタリで当たることとなった。


 すると、そう決まった途端になぜかがっくりと肩を落とす存在がいた。

 琴美だ。


「また蓮夜くんと一緒だなんて……」

「なんだ、まるで不満があるみたいに」

「自分の胸に手を当てて考えてよ! 蓮夜くんがいる時のトラブル発生率を! 結局昨日だって複数体のボスが出ちゃったし!」

「ひどい言い草だな」


 そう思って呟いたのだが、雫、優斗、緋村とミツキがコクコクと頷いている。

 全く、失礼な奴らだ。


 そんなやり取りをしつつ、俺たちは魔物を倒しながら担当する通路を進み、中広間に到着して本格的な駆除を始めた。

 出現する魔物は60~80レベルが中心とかなり強力だが、俺はもちろん、雫やミツキ、琴美を中心にして順調に倒すことができていた。


 その光景に、昨日いなかったメンバーは驚いたように目を見開く。

 特に顕著だったのは、ミツキが所属するリーダーを務める柊で――


「たった一日見ないだけで、まさかこれほど成長しているとは……以前に似たことがあったが、それも神蔵くんが関わっていたな。もっとも、今日に限っては()()に感化されたというのもあるかもしれないが……」

「彼女?」

「ああ。以前、君に話した通りだ」

「???」


 そんなやり取りがありつつ、そこからは彼女たちも参戦し魔物を倒していく。

 少なくともこの場においてはこちらの戦力が上回っており、一匹とて逃がすことなく優位に戦況が進む。

 ただ……


(やっぱり、まだ……)


 昨日のイレギュラーダンジョンで感じた違和感。

 それは今回のダンジョンでも同じように――否、比較にならないほど膨れ上がっているように思えるのだった。



 ◇◆◇



 一方。

 上級探索者組は最大限の警戒をしながらダンジョン内を進んでいた。

 とはいえ、入り口付近では何度も遭遇した魔物だが、奥に行くほどその数は減っていき既に数十分は戦闘を行っていない。


(ボス部屋はまだなのか……?)


 他の上級探索者と初めてパーティーを組み活動する鷹見は、ピリピリと張り詰めた空気を発する。

 対し、経験のある上級組は緊張を紛らわすように彼へと声をかける。


「今からそんなに気を張っていると、集中が持たないぞ」


 しかし、それを聞いた鷹見はフフンと鼻を鳴らした。


「問題ない。なにせ僕は一人で中級のボスを倒したくらいだからね。他の誰かに任せて休息しなくちゃいけない軟弱者とは違うんだ」

「上がりたてでクソ生意気な……それに同じソロ攻略でも、上には上がいるってことを分かってるのか?」


 男性は鷹見の頭を軽くはたくと、先頭に立つ逢坂陽向に視線を向ける。

 彼女のことは当然、鷹見も良く知っていた。いや、鷹見どころか日本に暮らす全ての探索者にとっての目標だ。


(今はまだ僕が劣っているかもしれないが、いずれ必ず――)


 決意を固めていた直後、


「着いた」


 陽向の声が響く。

 奥にはダンジョンだというのに、天井が見えない大きな広間が存在している――が、内装など最早どうでもよかった。

 それ以上に目を引く存在が、上空そこにいたから。


「「「………………」」」


 そこに浮かび上がるは白銀の長髪を靡かせ、二枚一対の翼をはためかせる少女。

 しばらく場を無言がした後、おもむろに誰かが呟いた。


「天使……?」


 そう。まさにその言葉がピッタリ似合う見た目。

 人型の魔物は他にも数多く存在するが、そのどれとも異なっている。

 確かな知恵と意志の結晶がそこにはあった。


(アレが、ボスなのか……)


 誰もが呆然とする中、真っ先に動いたのは陽向。


「鑑定不能……だけど、魔力と圧からして敵であることには間違いない」


 そう呟きながら剣を抜き構える。

 遅れて鷹見たちも鑑定を使用するも、確かに情報が現れることはなかった。

 見た目だけでなく、通常の魔物と何かが違うのは間違いない。

 それに、


「対象補足――目標欠如。否、仔細なし。排除へと移行。同時に捜索を――」


 まるで決められた言葉を繰り返す機械のように言葉を発した後 纏う魔力が膨れ上がる。


(――来る!)


 かくして、上級探索者組とイレギュラーダンジョンのボス――通称『天使』との戦いが幕を開けた。

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蓮夜君バーロー&キンダニ扱いで草
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