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転生した大魔王、地球に出現したダンジョンを作ったのが前世の自分であることを思い出す。 〜魔王時代の知識と経験で瞬く間に世界最強になって無双します!〜  作者: 八又ナガト
第二章 大魔王、因縁の宿敵たちを相手に無双する

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60 手分け


「――この先に、ダンジョンボスが現れた!」


 息を切らしながら駆けてきた四人の男性探索者のうち、一人がそう叫ぶ。

 その声には明らかな動揺が混じっていた。

 その発言を聞き、雫と琴美が同時に眉をひそめる。


「ダンジョンボス、ですか?」

「それなら今、私たちが倒したはずじゃ……」


 疑問を口にする二人に対し、探索者は汗を拭いながら必死に説明を続ける。


「いや、間違いない……出たんだ! レベル85のダンジョンボス、白虎が!」

「なんとか撒くことはできたけど、追いつかれるのも時間の問題だ! 倒すには俺たちみたいな中級じゃなく、上級探索者が必要だ!」


 探索者の言葉に、雫たちは状況が呑み込めないように顔を見合わせる。

 しかし、その中で俺だけは納得したように頷いていた。


「やっぱり、複数ボスだったか」

「蓮夜、何か知ってるの?」


 尋ねてくるミツキに対して俺は頷き、説明を始める。


 ダンジョンに入った時から感じていた、複数の強力な反応。

 その時点で、俺はもしかしたらこのダンジョンが複数のボスを持つタイプではないかと考えていたこと。

 説明を聞いたミツキは、慌てた様子で声を上げた。


「それが分かってたんなら、初めから教えてくれても……」

「何を言っているんだ?」


 俺は不思議に思いながら、ミツキに向かって堂々と告げる。



「せっかくのイレギュラーダンジョンなのに、初めからネタバレするなんてもったいない! 俺にお前たちの楽しみを奪う趣味はないからな!」



 精一杯の優しさと慈愛を込めての発言。

 しかし、



「「「………………」」」



 三人は衝撃を受けたような、呆れたような、複雑な表情で俺を見つめていた。

 そして、


「そうね、蓮夜はこういう奴だったわ……」

「常識で測ることはできませんから」

「ううっ、トラウマが……」


 ミツキ、雫、琴美が一斉に頭を抱える。

 いきなり片頭痛でも流行り出したのかと疑問に思った矢先、新たな事態が発生した。


「何だって!?」


 突然、探索者の一人が叫び声を上げた。

 その表情には明らかな動揺が浮かんでいる。


「どうしたんだ?」

「い、いや、それが……別ルートを探索している他パーティーから連絡があったんだ。そっちでも強力な魔物が現れて、鷹見っていう上級探索者が戦っているが苦戦しているらしい」

「上級探索者が苦戦するような相手、俺たちじゃどうしようもないぞ」

「……ふむ」


 鷹見の名前を聞いて、俺は腕を組んで考え込む。

 あいつはレベル100越えのパーティーが討伐する中級ダンジョンのボスを単独討伐できるだけの実力を持っているはず。

 そんな奴が苦戦するということは、なかなか厄介なことになっているらしい。


 状況を把握した俺は即座に判断を下した。


「分かった。俺がそっちに向かう」


 その言葉に反応したのは雫だった。

 その表情には明らかな不安が浮かんでいる。


「で、ですが、こちらはどうすれば……レベル85の魔物なんて、蓮夜さんがいないと……」

「いや、その点なら大丈夫だ」

「え?」

「お前たちがいるだろ」


 先ほど三人から聞いたレベルと、その戦いぶりを思い出す。

 琴美が75、ミツキが66、雫が58。

 確かに探索者たちが遭遇した白虎はレベル85と格上ではあるが、この三人なら討伐は不可能ではない。


 そもそもこの三人は並の探索者とは違う。

 二人は俺が直々に指導した弟子であり、もう一人は大魔王の真髄を目の当たりにしているのだ。

 ゆえに、


「お前たちなら勝てる。問題ない」


 俺の断言に、三人はしばらく呆然とした表情を浮かべていた。

 しかし、すぐにその表情は決意に満ちたものへと変わる。


「……わ、分かりました。頑張ります!」

「そうね。蓮夜がそう言うなら」

「私たちがやるしかないよっ!」


 三人が決意を固めたことで、方針は決まる。

 そして別れ際、ふと思い出したことがあった。


「そうだ、雫」

「はい?」


 振り向く雫に、俺はあるアイテムを手渡した。



 ――――――――――――――


魔蓄の指輪(ストック・サークル)

・大魔術師の工房のボス:マスター・メイジから入手した指輪。

・この指輪には魔力を保存することが可能。蓄えられた魔力を使用することで、魔術使用時の魔力消費量を抑えることができる。


 ――――――――――――――



 これは、かつて【大魔術師(だいまじゅつし)工房(こうぼう)】というエリアで入手したアイテムだ。

 魔力の保存ができるため非常に便利なのだが、同様の効果をグラムも有している。

 そのためグラムを入手して以降はあまり使用していなかった。

 それならせっかくだし討伐に利用すべきだろうと思い、この機会に渡すことにしたわけだが……なぜか雫は大袈裟に取り乱していた。


「れ、れれれ、蓮夜さん、これって……」

「見ての通りアイテムだ。中には俺の魔力が蓄えられているから、討伐に使ってくれていい」

「あ、そ、そうですよね! わ、分かりました。任せてください!」


 雫は慌ただしく頷きながら指輪を受け取り、震える手で装着する。

 その様子を見ていた琴美は、


「ちょ、ちょちょちょ! どうして雫ちゃんだけにあげるの!? 私たちの分は!?」

「悪いがこれ一つしかない。雫に渡したのは保存している魔力が火属性のものだからだ……お前たち二人は使えないだろ」

「そ、そうだけど……むぅ」


 納得いかないとばかりに頬を膨らませる琴美。

 その横では、ミツキが何かを諦めたように溜息をついていた。


 二人の反応の意味が分からなかったが、それについて考えている時間はない。

 こうして準備を終えた俺たちは、それぞれの目的地へと向かい始めた。


 魔物との戦いに苦戦する鷹見の元へと向かう俺と、白虎討伐に向かう三人――お互いの背中を見送りながら、別々の道を進んでいくのだった。

【大切なお願い】


先日より新作

『世界最強の<剣神>は、自分を低級剣士だと思い込んだまま無自覚に無双する ~異世界に転生したけど魔力0だったので、1000年間剣技を鍛えたら最強になってた……らしい~』を投稿しました!


大変面白い出来になっていますので、ぜひご一読ください!

それからもし気に入っていただけたなら、『ブックマーク追加』や『ポイント評価』などで応援していただけるとさらに励みになります!

一つの作品の人気が出れば、本作含めて他作品の執筆モチベーションにも繋がりますので、何卒よろしくお願いいたしします!!!


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