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転生した大魔王、地球に出現したダンジョンを作ったのが前世の自分であることを思い出す。 〜魔王時代の知識と経験で瞬く間に世界最強になって無双します!〜  作者: 八又ナガト
第二章 大魔王、因縁の宿敵たちを相手に無双する

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41 暗界の主

 隠しエリアの中を突き進みながら、私――清水(しみず) 琴美(ことみ)は苛立ちを隠せないでいた。

 気が抜くとつい、先ほど遭遇した失礼な青年を思い出してしまうからだ。



『悪いことは言わない。そのレベルでソロなら、この先にはいかない方がいい』



 その言葉が、何度も頭の中で繰り返される。


「あーもう、イライラするわ! 私の気持ちなんて何も知らないくせに!」


 私には夢がある。

 探索者を、そして配信者を続けることで、どうしても成し遂げたいことがあるのだ。

 その夢を叶えるまで、決して立ち止まるわけにはいかない。


「夢のために、私は決してあんな言葉に惑わされてなんかやらない……っと、そうだったわ」


 ここで私は大切なことを忘れていることに気付いた。

 機器を取り出し、慌てて配信のスイッチを入れる。


 するとすぐさま、私を応援してくれるコメントの数々が画面を流れていく。



《おっ、やっと再開された》

《ことみん、大丈夫だった?》

《あの変な男はいないな。無事に追い払えたのか》

《ことみん様~新規エリア攻略がんばって~!》



 そのコメントを読むだけで、体の内側からやる気が漲ってきた。


「みんな、ただいま~! 攻略再開するからよろしくね~!」


 画面の先のみんなにそう告げた後、私はそのまま攻略を続けるのだった。




 道中に出てくるモンスターを倒していくと、1時間も経たないうちに()()()()へたどり着いた。


 通路の先にあったのは、約80メートル四方の大きさを誇る暗い広間。

 床にはカーペットが敷かれ、その先には豪華な椅子が存在する。

 まるでファンタジー小説に出てくる、王城の一室のようだった。


 その雰囲気から、私はここが隠しエリアのボス部屋だと見抜いた。

 今のうちに、カメラに向かって所信表明をしておく。



「みんな~、今からボス戦だよ! 応援してね~」


《うお~、頑張れ~!》

《ことみんなら大丈夫!》

《かっこいいところを見せてください!》

《楽しみ!》



 コメント欄とそんなやり取りをしている中、とうとう(ボス)が現れる。


『ギィィィイイイイイイ』

「っ、上ね!」


 広間の上から、燕尾服に身を包み漆黒の翼を生やした一体の魔物が、ゆっくりと空を飛びながら下降してくる。

 私はすぐに鑑定を使用した。



 ――――――――――――――


暗界の吸血鬼(ナイト・ヴァンパイア)

 ・討伐推奨レベル:65

 ・操血魔術を得意とする暗界の主。魔力を血液へと変換し、それを操作することで攻撃を仕掛けてくる。


 ――――――――――――――



 情報を見た私は小さく頷いた。


(レベルは65。問題なさそうね)


 そう判断する私の前で、暗界の吸血鬼(ナイト・ヴァンパイア)が行動を開始する。


『ギィィイイ!』

「っ、きた!」


 暗界の吸血鬼(ナイト・ヴァンパイア)の叫びと同時に、空中に幾つも血の塊が浮かび上がる。

 それらは刃や槍、矢へと姿を変えると、一斉に私めがけて放たれた。


(数は多い――だけど、決して躱せない速度じゃない!)


 紙一重で攻撃を全て回避した私は、そのまま左手を伸ばす。


「【迸る電撃(ライトニング)】!」

『ギィィィ!?!?』


 空中を走る雷撃はそのまま暗界の吸血鬼(ナイト・ヴァンパイア)に直撃する。

 そのダメージによってか、翼を閉じた暗界の吸血鬼(ナイト・ヴァンパイア)は勢いよく地面へと落下していった。



《よ~し、直撃した!》

《ことみんなら勝てる!》

《かっけ~~~!》



 盛り上がるコメント欄。

 それに応えるように、私は大声で叫ぶ。


「さあ、まだまだいっくよ~!」


 そう宣言しながら剣を抜いた私は、そのまま真っ直ぐ暗界の吸血鬼(ナイト・ヴァンパイア)へと向かっていくのだった。



 ◇◇◇



 戦闘開始から、約10分後。

 戦況は既に私の勝勢に傾きつつあった。


『ギ、ギィィィ』

「動きが鈍くなってるよっ!」


 うめき声を上げる暗界の吸血鬼(ナイト・ヴァンパイア)に対し、私は剣と魔術を駆使してさらに追い詰めていった。



《うおぉ~! ことみん最高!》

《かっこいい! そのまま倒しちゃえ!》

《こっとみん! こっとみん! こっとみんっ!!!》



 戦闘が最高潮(クライマックス)を迎え、コメント欄の流れも加速する。

 そんな中、私は先ほどの青年を思い出していた。


(何が私のレベルじゃソロで挑むのは無理よ。あとでこのアーカイブでも見て、自分が間違っていたことを思い知るといいわ!)


 そんなことを考えながら、私はトドメを浴びせるべく前に踏み込む。


 ――だが、その直後だった。



『ギィィィィィイイイイイイイ!!!』

「っ、何!?」



 突如として暗界の吸血鬼(ナイト・ヴァンパイア)が高らかに叫ぶ。

 何のつもりかと警戒する私の前で、()()()()は現れた。



「シャァァァ!」「キシィィィ!」「シャゥゥゥ!」

「きゃっ! 何こいつら!?」



 上下左右、ありとあらゆる場所から突如として大量のコウモリが出現する。

 それらは一目散に、私めがけて襲ってくるのだった。

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