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転生した大魔王、地球に出現したダンジョンを作ったのが前世の自分であることを思い出す。 〜魔王時代の知識と経験で瞬く間に世界最強になって無双します!〜  作者: 八又ナガト
第二章 大魔王、因縁の宿敵たちを相手に無双する

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37 新たな武器



 ――【ガレリス中級ダンジョン中層】――



 ミツキと分かれた後、俺はさっそく中級ダンジョンにやってきていた。

 中層を歩きながら、改めて今の状況を整理する。


「俺の最終目標は探索者(シーカー)たちの最前線にたどり着き、最深部まで攻略するということ。そのためには、次に中級ダンジョンのボスを倒す必要があるわけだが……」


 事前に調べてみたところ、中級ダンジョンのボスを倒すにはパーティーメンバー全員が100レベル以上であることが必須らしい。

 地球にダンジョンが出現してから10年が経とうとしているが、そこまでたどり着けた探索者はかなり少ないようだ

 日本全体でも、まだ500人程度とのこと。


 そんな優秀な彼らであっても、上級にたどり着くまでにだいたい5~6年を必要としているとあった。

 一応、最短記録は1年を切ってるみたいだが、それは例外中の例外と言えるだろう。


 そんな中、まだ探索者歴が一か月にも満たない俺が上級ダンジョン挑戦を目標としているわけだが――


「今のレベルでは少々難しいだろうし、もう何日かはレベルアップに費やす必要がありそうだ」


 具体的には、今の52レベルから70レベル辺りまでは上げておきたい。

 それでもまだ攻略推奨レベルには遠く届かないが、その辺りは技術でカバーできるだろう。


「それに何より、まだ中級ダンジョンで回収しておきたいスキルが山ほどあるからな。そう焦る必要はない、計画的にいくとしよう」


 そう結論を出し、俺はひとまずこれから2週間ほどはスキル回収に専念すると決めた。

 そろそろ火属性以外の魔術適性が欲しいということもあり、今はガレリスダンジョンの深層に向かっているところだ。


 すると、さっそく俺の前に何体もモンスターが出現する。


「ガァァァアアア!」

「シャァァアアア!」


 1体は鋭い牙を持つ狼で、1体は頑丈な鱗を持つトカゲだった。



 ――――――――――――――


【シャーピング・ウルフ】

 ・討伐推奨レベル:52


【グラウンド・リザード】

 ・討伐推奨レベル:55


 ――――――――――――――



「ふむ。深層に近づいた影響で、雑魚敵のレベルも上がってきたようだな」


 もっとも、この程度なら相手にすらならない。

 俺がいつものように【纏炎(てんえん)】を発動して一蹴しようかと思った、その直後だった。


主様(あるじさま)、お待ちを!』

「――む」


 まるで体の内側から話しかけられたかのように、その声が脳内に響く。

 それもそのはず。なにせその声の発信源は、俺の中にいるのだから。


 説明も不要だろうが、声の正体は魔剣グラムだ。

 グラムは自分を魔力に変換し、所有者の体に身を隠すことができる。

 まあ言ってしまえば、わざわざ剣の姿で持ち運ばずとも出し入れが可能というわけだ。


 自室にグラムを放置するわけにもいかなかったためこうして連れてきたわけだが、グラムはこの待遇に少し文句があるようだった。


「いきなり何だ、グラム」

『言わずともお分かりでしょう!? モンスターと戦うなら、ぜひ私をお使いください!』

「……ふむ」


 ここまでグラムを戦力として勘定に入れてなかったため思いつかなかったが、確かにコイツは魔剣の中でも優秀な部類に入る。

 少なくとも成長途中の今の俺にとっては、かなり有効な武器になりえるかもしれない。


 グラムの意見を聞き入れるのが少し(しゃく)だという気持ちはあるものの、俺はその提案に乗ってグラムを召喚した。


「来い、グラム」

『はっ!』


 直後、手にズシンと重みが加わる。

 思えば地球(こちら)では探索者になった初日に【進呈の間】で短剣を使って以来、武器を使用することはなかったなと思い出す。


 しかし何を隠そう。

 大魔王たる俺は魔術だけでなく、剣術も超優秀なのだ。


「ハアッ!」


 身体強化を終えた俺は迫りくるシャーピング・ウルフとグラウンド・リザード目掛け、グラムを横に一閃する。


「ギャウン!?」

「シャァァ!?」


 するとたった一振りで2体を両断することに成功し、一瞬で決着がついた。


 ほう、これは。



「久々に使ったが想像以上の切れ味だ。魔力も温存できるし、なかなか悪くないな」

『当然でしょう!? 私を超える魔剣など、元の世界にもほとんどございません! それを不要と考えるような分からず屋は主様ぐらいです!』

「ええいうるさい、折るぞ」

『そんな、ご無体な!?』



 グラムには黙ってもらったが、実力だけ確かなのは分かった。

 これは思ったより早く上級ダンジョンに行けるかもしれないなと思いつつ、俺は深層に足を踏み入れるのだった。

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