正にこれが運、命
新作です宜しくお願いします!
昔むかし、ある世界では人々が普通に暮らしていた
争いも少なく、狩猟やら農耕をして平和に暮らしとった
しかし、ある時に、異世界からの扉、ダンジョンが現れ、そこからモンスターと呼ばれる凶暴な魔物が溢れ出した‥
争いのなかった世界で暮らしていた人々に抗う術はなく、人々は怯え逃げ惑うばかりだった。
追い詰められた人々は神の山と言われる
ロックハンマー山へと避難し、神に祈った
可哀想に思った神は人々に12の武器の作り方を教えた
それを手にした一部の者
その者達は冒険者【アドベンチャー】と呼ばれ
12種の武器を使いモンスターと戦う事で人間の生存域
を広げる事に成功した。
そして、神は冒険者に励みとなる様に武器種ランキングなる者を自ら作り定め、上位者には特別な贈り物【ギフト】を与える事にした‥それらは戦う為の技能【スキル】であり、恵みをもたらす超常なる能力【ちから】でもあったそうな。
それらを
人々に冒険者教会を作らせ、世界に広めていた‥
そんな世界で林の中から物語は始まる
人々が安全に通行する為に整備された道から少し外れた、分け入った林の奥から声がする
「ふぅ~危なかったわ‥」
鮮やかな赤髪のツインテールの女が手で汗を拭う
立ち上がると、脇に置いていた
同じく燃える様な赤いデザインのハンマーを手に取る
そうして、立ち上がり誰かに見られていないかと
念の為に後ろを振り返る‥そういきなりの便意で辺りを確認する余裕がなかったのだ‥
すると
青い髪をした背の高い、ガリガリに痩せた男が
大剣を大きく振りかぶり構えていたのだ
「へ、変態!?なんなの?」
困惑しながらも、女は咄嗟に持っていたハンマーを構えて臨戦体制に入る
その切り替えの速度は常人なら見逃してしまうかも知れない、かなり上のランクの冒険者であると思えた
女の年ごろは二十歳前後といったところ
まだ、幼さと恥じらいの残る年齢と言えた
そのランクはともかくとして
現代社会で「今日だけは男やで〜」と言って高速道路の男子便所に入っていく関西系の熟女の様な堂々した人間としての余裕?は持ち合わせていなかった
しかし、困惑していたのは女だけでは無かった。
「イー!いや、それはこちらのセリふなのだが‥」
細い体に似合わない低音のなかなかにエエ声で男が言った
「私の方が先にここにいた所、慌てて駆けて来たのはそちらなのだが‥」
と困惑した様に言った。
「あっ」
女は思い出した‥いくら武術の達人と言えど状況が状況だったので冷静に周りを確認する事が出来なかったのだ
「わ、わるい!?そこの茶屋にトイレが無かったんだから仕方なかったんじゃない!それに、なんだかんだとオバチャンやら茶屋の主人が団子を薦めてくるから‥」
そう、女は善意に対しては割と良い人で返す者の様だ
「あ、ああ」
文字通りヤケクソになって開きなおった女の剣幕に押されて返事をする男だった
「それより、あ、貴方こそ、そんなところで大剣を振りかぶって何のつもり?」
たしかに、周りを確認せずに見ず知らずの男の前でお花を摘んでしまった女にも大いに問題はあるのだが、それを目の当たりにして何も反応しない男にも問題はありそうだった。
「これは溜め斬りだ」
溜め斬り、形は色々とあれど基本的には武器を振り被り集中して気【オーラ】を溜めて、一気に解き放ち普通に攻撃するよりも強力な攻撃を放つ技である。
うん◯をしていた女も高ランクの冒険者だったので
男の構えが見事で隙がないことは分かった
しかし、見たところ周りには敵になりそうな動物や、この世界特有の化け物は見当たらない
おそらくは練習だろうと思った女は
「あなた大剣使いよね?」
と聞いた
見れば男は見窄らしい格好ではあったが、中々に立派な大剣を振りかぶっていた
銀色に輝く無骨な大剣ではあるが作りは良い物だ
「うむ」
男は武器の構えを解くことなく答えた
「それならば!貴方、大剣王をしらない?この辺りにいると聞いたのだけど」
すると、男は少し目を閉じて考える様な顔をしたあと
「ふむ、因みにどういった用件なのか?」
と聞いた、それに対して女はにぃっと笑うと
「決まってるじゃない!私が勝負を申し込むのよ!」
と言った
「なぜだ?」
男は聞き返した
「ふん、私は武器ランク、ハンマー部門で朱雀クラスの朱里!異種武器闘技【バーリトゥード】を申し込むのよ!そして私が大剣王を倒してハンマーこそ最強と知らしめるの!」
そう言ってハンマーを構えて叫ぶ女、見れば赤い髪に隠れていたケモミミがピコンと立った
武器ランキングで朱雀クラスとは鎚聖、鎚王に次ぐ四天王の最上位ランク、つまりはハンマーを使う者の中でも三番目に強い猛者と言う事になる。
「‥‥‥しらん」
大きく間を空けた後で男は答えた
「ふん、まあいいわ大剣四天王の居場所なら茶屋で聞き込んだもの!今回はそこで我慢する」
大剣王、師匠にこの町にいるって言われたのに‥と思った女が大剣王の所在を知るのは三日後だった。