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fin.魂喰の魔女は少年に微笑む

「――ッ!? ネロッ!!」


「あっ――」




 ぼくは中庭に突如として現れた銃を持つ人影に気づき、すぐさまネロの両肩を掴む。


 次の瞬間、耳元をつんざくような一発の銃声が穏やかだった二人の空間を冷たく切り裂いていった。


 胸に広がる鈍くも熱い痛み……。撃たれた反動で僕の体はネロに押し付けられてしまう。冷たい鉛弾が体の中に入り込み、開いた小さな傷痕から熱い血潮が流れ出していくのを感じる。




「あっ……あぁ――ッ!! ううっ!!」


「くそっ! ぐあぁあああ――ッ!!」




 ネロの瞳に怒りのほむらが揺らぎ、地獄の業火が銃を持った男の体をどこまでも焼き尽す。あれではもう灰すら残らないことだろう。




「うっ……ゲホッ、ゴボッ……!」


「――ッ!? しっかりしてください!!」




 さっきまで殺意に包まれていたネロの表情が一転、血を吐き出す僕の体を急いで抱き寄せる。瞳には焦りと後悔の涙が浮き上がり、必死になって僕のことを呼びかけていた。


 でもネロの期待に応えようと思っても、僕の意思に反して体が言うことを聞いてくれない。目が霞んでいく……。


 胸から血がたぷたぷって溢れ出して、手足にまで血が通わなくなっていく……。


 冷たい……冷たくて仕方がない……。




「このままでは……!! 心臓には当たっていないから大丈夫……。でも血が止まらない……!」


「ごめん……」


「喋らないで……。傷口が広がってしまいます。……今から弾を抜き出します。少し痛みますが、我慢してください……」


「うぅ――ッ!!」




 ネロが僕の胸元に両手をかざしたかと思うと、手元から温かな赤い光が溢れ出す。


 その瞬間、全身に激痛が走る。まるで傷口に手を突っ込まれているかのような激しい痛み。体内を素手でまさぐられているかのような気分に痛みすら通り越して吐き気すら催してしまう。


 それでもネロは魔術を止めようとしない。止めてしまえば僕が死んでしまうと知っていたからだ。だから、いくら僕が苦痛で表情が歪もうとも手を止めようとはしなかった。


 そして、真っ赤な鮮血に染まった弾丸がゆっくりと僕の体内から摘出される。




「あなたをまだ死なせるわけにはいきません……。だから絶対に生き残ってください……!」


「ネロ……」




 ネロの温もりがこんなにも近くに感じられる。温かな光に全身が包まれていき、体がふわふわと浮いているかのようだ。


 ネロの手元から溢れ出す光が僕の胸元に開かれた傷口を少しずつ埋めていく。同時に、僕の中でネロの想いが満ち溢れていく。ネロに埋め尽くされていく。






「……絶対に、許しません……。必ず、必ず――を……」






 そして、ネロの憎悪に満ちた声を最後に僕の意識は遠のいていった……。













『アル……起きなさい。アル、早く起きなさいっ!』


「姉、さん……? あっ、姉さん!?」


 頭の中で響き渡ってきた姉さんの声に僕は目を覚ます。すると、目の前には死んだはずの姉さんの姿があった。


 そうか、僕は死んでしまったのか……。

 だから姉さんが見えて……。




「僕、死んじゃったんだね……」


『何を馬鹿なことを言っているの! あなたはまだ死んでなんかないわ! 男の子ならもっとしっかりしなさい!!』


「えっ……!?」




 姉さんの呼びかけに、僕はようやく我を取り戻す。


 衣服は血だらけに染まっていても、さっきまで開いていた傷痕が綺麗さっぱりに塞がっていた。痛みも全く感じない。僕の体は健康そのものだ。


 姉さんが語りかけてくる幻聴まで聞こえていたし、夢かとも思ったけど……腕をつねって感じる痛みは本物だった。これは……夢なんかじゃない。




「じゃ、じゃあどうして姉さんが……!? ネロに魂を奪われたはずじゃ……」


『どうやら彼女は何を思ってか、あたしの魂を奪わなかったみたい。本当に変わった魔女ね。そのおかげで今もこうしてあなたと話すことができる。それにやっぱり、アルを独り残して先立つにはまだまだ心配が多くてつい化けて出てきてしまったわ!』




 青白い光を全身に伴いながら姉さんがいつもの満面の笑みを浮かべる。


 体は半透明になってしまっていても、この笑顔はまさしく僕の知っているメリーヌ姉さんそのものだった。死んでしまったとはいえ、幽霊でも姉さんとまたこうして話せるのがとても嬉しくてうれしくて仕方がない。


 しかし、姉さんは喜ぶ僕を見るなり、すぐさま一喝した。




『こら! あたしとペラペラお喋りをするよりも、まずやることがあるでしょ?』


「やること……そうだ、ネロはっ!?」




 周囲を見回してみても中庭のどこにもネロの姿は見当たらない。


 何か嫌な予感がする……。


 胸騒ぎがする……。


 ネロがどこか遠い場所に行ってしまったような気がして、僕の心に段々と不安が募っていく。


 そんな慌てた様子の僕を見て、姉さんは力強く背中を押した。




『急ぐのよ。今の彼女は怒りに心が支配されてしまっているわ。アル、手遅れになるその前に……行きなさい!』


「うんっ!」




 僕は姉さんに頷くと、急いで中庭から飛び出す。すると、出入口付近に一丁のライフルが置かれているのに気付く。


 おそらく、ネロを撃ち殺そうと忍び込んだ村人が持ち込んだものだろう。念のため、僕はその銃を拾い上げて屋敷を飛び出した。











 殺伐とした林を全力疾走で駆け抜けてリッシェ村に向かう。ファーメルンにいた頃から体力はあまりない方だと思っていたけど、今はどんなに走っても不思議と疲れがやってこない。


 だから僕は走り続けた。屋敷から村までの距離がこんなにも長いなんて思いもしなかった。一秒でも早くネロの元へ。取り返しが付かなくなるその前にネロを止めなければならない。




「――ッ!? あの煙は……!」




 リッシェ村の教会の鐘が見えてきた頃、同時に村の上に向かって真っ直ぐ昇っていく煙がいくつも視界に入り込んできた。


 冬の冷たい風が吹き抜けるたびに、物の焼き焦げる臭いを全身で感じる。この焔……紛れもない、ネロが僕に見せてくれたあの焔と同じ……。






――こうやって見ると小さな可愛らしい炎に見えますが、一歩間違えれば村すら焼き尽くす地獄の業火にもなり得るんですよ。






 そこでネロが言っていたあの言葉を思い出す。


 そして、リッシェ村に広がる光景を目の当たりにし、戦慄が走った。




「うっ……! すごい焔……!」




 リッシェ村を包み込む地獄の業火が全てを等しく焼き尽くしていく。燃え上がる一つ一つの焔に込められたネロの憎悪。それが災厄となって今まさに村を呑み込まんとしていた。


 しかし、村からは悲鳴の一つも聞こえてこない。もしかしたら、既にもう村に住んでいた人々はみんなネロの手によって……。


 もう手遅れだというのだろうか……。


 いや、ここで諦めてはダメだ。僕が止めなくて誰が止める?


 僕は意を決して地獄の業火の中へと足を踏み込んでいく。


 熱い……。

 近づくだけで僕も焼き焦げてしまいそうだ。

 でもなぜか、僕が燃え上がる焔に近づこうとすると、焔が意思を持ってるかのように僕を避けて道を示してくれる。


 直感的にネロが僕を呼んでいる……そう思った。


 ネロが僕のことを導いてくれている……ネロが僕のことを求めている……。


 僕もネロを求めるように村の中央広場へといざなわれていく。


 以前にも見た場所。それがいつだったか、今ではもう思い出すこともできない。


 しかし、そこには探し求めていたネロがいた。




「くっ……! おのれ忌々しき魔女め――ッ!!」




 あの屈強な体付きをした男、ニーチェがネロを睨み付け、ライフルの引き金を引く。燃え上がる地獄の業火が周囲の空気を焼き焦がし、その中を一発の冷たい弾丸がその場で立ち尽くしていたネロに向かって吸い込まれていく。


 しかし、ネロは避けることすらせずにクスッと口元を吊り上げた。その瞬間、ニーチェの放った弾丸はネロの胸元を貫く前に塵に帰したのだ。


 感じる……ネロの鼓動が……。


 感じる……ネロの悲痛な叫びと怒りが……。


 女神とも呼ばれ、後に魔女と呼ばれる存在となった小さな少女が狂気に触れて、その胸に秘めていた刃が今、解き放たれた。




「くそっ! 痛――ッ!!」




 ニーチェが再びライフルを構え、引き金を引こうとした瞬間にネロが手をかざす。眼にもとまらぬ速さで飛び出していく見えない風に吹かれ、ニーチェの手元からライフル銃が大地にこぼれ落ちる。


 パーンッ……と暴発して、一発の銃声がパチパチと音を散らしてうねっている業火の中を響き渡った。


 既にニーチェには逃げ場など、どこにもない。見渡す限り、ネロの放った地獄の業火で覆い尽くされている。


 その場から少しでも動こうとするなら最期、ネロの憎悪をたっぷりと含んだ業火が口を開いて待っている。


 しかし、ネロはじっとニーチェのことを見据えていた。熱を帯びた風になびいていく金色がかった銀色の長い髪。よく見れば、全身は血塗れの真っ赤に染め上がっていた。


 今のネロは僕の知っている優しいネロなんかじゃない……。


 怒りと憎悪にその身を焦がし、死んでいった少女の怨念……。


 人々の魂を貪る魂喰の魔女そのものだった。




「……リッシェ村に生まれ出た、忌々しき穢れた血はこの手で完膚なきまでに断絶しなければならない。特にお前……私を魔女と呼んだイーシュバルツ家の血を受け継ぐ、お前だけは決して許さない」


「ひっ……や、やめろ……やめてくれ!!」


「この期に及んでまた命乞いですか? 全く……笑わせてくれますね。あの頃からお前たちは全く変わっていない……。見ているだけで反吐が出ます。私がどんな思いで……どんな思いで必死に叫んだことか、お前たちには分かりなどしない――ッ!!」


「ぐあぁああッ!!」




 ネロが放った手刀が巨漢のニーチェなんかもろともせずに、その大きな右腕を切り落とす。


 ニーチェの口から放たれる耳にするのも醜悪な叫び声。


 しかし、村に木霊するには燃え上がる業火が邪魔すぎた。


 切り落とされたニーチェの右肩からはおびただしい量の血が噴き出している。


 でも、あの程度では彼が絶命するにもまだまだ足りない。あえてすぐには殺さず、ネロは恐怖を植え付けているようだ。


 簡単には殺さない……。


 今まで積もりに積もった怒りと憎しみをその手に込めて再び解き放つ。




「あがぁああッ!!」




 再び耳元をつんざくような醜悪な叫びがニーチェの口から放たれる。しかし、それでもこの小さな村に木霊するにはまだまだ足りない。全然足りない。


 左足を失って、その場でのたうち回るニーチェの姿はさぞ滑稽だったことだろう。ネロもそんなニーチェの様子を冷酷な眼で見下ろしている。


 ネロの手が穢れた人間の血で次第に穢れていく……。




「まだです……。まだまだ足りません……。私が受けた痛みと比べたらこの程度では清算し切れない――ッ!!」


「あぁ……ッ!!」


「――待って、ネロッ!!」


「――ッ!? この声は……アルフォード……」




 ネロが再び手をニーチェに振りかざそうとしたそこで、僕はようやく声を上げる。僕の存在に気付いたネロはゆっくりとニーチェから手を引いていき、僕の方へ体を向けた。


 瞳は真っ赤な血の色に染まり、目元も同じように真っ赤に染め上げている。涙をたくさん流している……それなのに口元だけは笑っていた。




「邪魔だけは絶対にしないでください。でないと、あなたも傷つけることになってしまいます」


「ダメ……ッ! それ以上のことをしたら本当にネロは戻れなくなっちゃう!!」


「……今更何を言っても遅いのですよ。あの時、あの場所であの時の私は既に死んでいる。今こうしてこの場にいるのは魂を喰らう悪しき魔女である私なのです」


「違うっ!! ネロは悪しき魔女なんかじゃない!!」




 僕は必死になってネロのしようとしていることを止めようとする。


 もしもこのままネロを本能の赴くがまま殺害を重ねていってしまえば、きっともう戻れなくなってしまう。僕の前からあのネロがいなくなってしまう。


 そんな気がして……すごく怖かった。


 しかし、ネロは僕の必死な訴えにも関わらず、顔を横に振って否定したのだ。




「アルフォード、あなただってこの男が憎いのでしょう? 自分たちと違う、よそ者であるあなたとメリーヌを迫害したこの村に住む人々が憎いのでしょう? 殺してしまいたいくらいに憎いのでしょう……?」


「ぁ――ッ!?」


 ネロの言葉を耳にし、僕は声も出せない。


 ネロの言う通りだ。僕はこの男が憎かった。姉さんを死に追いやり、僕も死に追いやろうとしたこの村に住む人々が憎たらしかった。それこそ、ネロの言うように殺したいほどに……。


 それでも……僕たちには理性があった。殺したいと思っても殺してはならないという理性が……。


 しかし、その理性を目の前で優しげに微笑んでいたネロが解き放とうとしてくる。




「なら、その銃で殺してしまえば良いのです。全てをその手で終わらせてしまえば良い。一発の銃弾で、たったその引き金を引くことで全てが終わる。あなたが今の今まで抱え込んでいた苦しみから解き放たれるのです」


「うっ……」


「さぁ、アルフォード……」


「――ッ! ネロっ!!」




 僕は思わずネロにその銃口を向ける。それにネロは一瞬だけ歩みを止めるも、すぐさまにこやかな笑みを浮かべた。




「ふふっ、私を撃ちますか……? それも良いでしょう。元々は魂喰の魔女である私を殺すために丘に住む私の元を訪れたのですから、それが本来のあなたが背負った役目なのです。そして、魂喰の魔女である私もまた、あなたの魂を喰らうのが本来の役目……」


「……動かないで! 動けば本当に撃つよっ!?」




 ネロは僕に銃口を向けられていながら平然とした表情で微笑み続けている。それが何とも狂気的で、退廃的で……ネロの狂気に触れるたびに手元がガタガタと震え出す。


 それでも僕は銃を大地に落とすことなく、しっかりと構え続けた。


 この銃が、僕の理性を保つ最後の境界線に他ならない。




「本当に、動かないで……」


「……アルフォード、撃ちたければ撃ちなさい。以前にも教えたでしょ? 力んではいけない。しっかりと獲物に狙いを定め、そして解き放つ。それがどんな相手であろうと容赦してはなりません。もしも一発で致命傷を与えられなければ、次にあなたを待ち受けているのは『死』、それだけですよ?」




 重々しく僕に降りかかるネロの言葉の数々。あまりにも辛い重圧に僕の心は蝕まれていく。


 もしも僕がここでネロに向けて引き金を引けば、確実にネロの心臓を撃ち抜くことができる。今のネロは完全に僕に対して無防備な状態だった。最初から避ける気などない。


 だから僕の中で躊躇が生まれた。


 しかし、ネロは僕のそんな気持ちを知ってもなお、真っ直ぐこちらに向かって歩み寄る足を止めようとしない。




「どうしたのですか? 引き金を引きなさい……引け、アルフォード――ッ!!」


「く――ッ!!」




 ネロが僕に向けて飛び掛かろうとした瞬間、僕はついにその重たい引き金を引いた。


 村中を木霊していく一発の銃声。曇り切っていた分厚い雲を突き破っていく銃声は天までも超える。


 気が付けば、さっきまで耳元に付いて離れなかった全てを焼き尽くす地獄の業火の声も既に消え去っていた。


 再びリッシェ村全体を包み込む異様な静寂……。それはたった一つの命を奪うことで訪れた静寂に他ならない。


 そう……僕が奪い去った一人の命を代償にして……。






『アル……。あなたはそっちの道を選んだのね……』






 姉さんの声にボクは静かに頷く。全身を駆け抜けていく冷たい風……。ボクが人間でありながら人間でなくなった瞬間、銃口の先にいた人物が最期の声を漏らした。




「魂まで……魔女に喰われたか……愚かな奴……めぇ」




 最期の最後でそう捨て台詞を残して、ニーチェは絶命した。ボクの放った一発の銃弾によって……。




「アルフォード……あなたという子は……」




 目の前で半ば放心状態でいたボクを見つめて、ネロが小さくボクの名を呼ぶ。


 そこにはもう、先ほどまでの怒りに心を奪われていたネロの姿はどこにもない。ボクと最初に出逢った時にネロが見せたあの表情で、小さくため息をついていた。






「ちゃんと終わらせたよ……。この手でちゃんと……」






 ボクはその場でへたり込み、そっとライフルを手元から大地に下ろす。


 もうこれでボクも後戻りはできない。同じ人間の命を奪ったその時点で、ボクもネロと同じ存在だ。


 でも不思議と嫌な感じはしなかった。むしろ長年抱え込んできた胸のしこりが取れて非常に良い気分だ。冬の寒々しい朝の空気も今に至っては何とも清々しい心地の良い空気だった。吹き抜ける風がボクの背中を力強く押してくれている、そんな気がする。


 そして、ネロはボクの傍まで歩み寄り、そっと震えていたボクの体を正面から包み込んだ。




「はい、確かに見届けましたよ。だからもう良いのです。独りで震えなくて良いのです……」


「ネロ……うん」




 ネロの言葉を聞いて安心したのか、ボクは緊張の糸が切れてお人形のようにネロへと体を預ける。ネロの温かな温もりを感じられる。全身で感じられる……。


 これでもう、ボクは独りなんかじゃない……。




『これでもう、あたしもアルも人間としては生きていけないわね?』


「うん……。そうだね、姉さん……」




 ボクの背後に現れた姉さんが焼き尽くされたリッシェ村を見渡して、クスッと笑う。その表情には一切未練を感じさせない。


 姉さんは既に死んで亡霊となっていた。だから人間に戻ることなんてできやしない。


 ボクもそうだ。同じ人間である存在を殺めてしまった以上、ボクも普通の人間として生きてなどいけやしない。


 しかし、そんなボクたち姉弟に手を差し伸べてくれる人がここにいた。




「でしたら、三人で一緒に暮らしましょう? 永遠の時間が流れ続ける、今度こそ誰にも邪魔をされない、あの丘のお屋敷で……」


『そうね……。それもありかしら』


「うん、ボクもそうしたい……」


「ふふっ、決まりですね。では参りましょうか、私たち新たな家族が暮らすあのお屋敷へ……」




 魂喰の魔女であるネロはボクたち姉弟に向かって優しく微笑む。


 そして、月が沈み行く西の方角に位置する丘のお屋敷へ向かって、ボクたちは歩き出した……。

これでこの物語はおしまいです。ここまでお読みいただきありがとうございました。


※物語の設定に関しては別作品『運命を紡ぐ双子と想いのキセキ』のパラレルワールド、運命に抗うことができなかった終わりゆく世界にあたります。本筋である双子の方でも設定や立場に変更はありますが、今作に登場したアルフォードやメリーヌ、魂喰の魔女のネロソフィーなども登場する予定です。

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