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行きますか

ジン(結局(ネオ)の言う通りになったな……まぁこれ以上増えることは無いと思うが…)

ジン「お前ら出かける準備をしろ。街に出るぞ」

アリス・グラン「了解!」




―――――――――――――――


仕度が終わり、二人は意気揚々と歩き始めようとしたところをジンが止める。


アリス「どうかしたのですか?」

グラン「早く行こうぜー。ようやく街を堂々と歩けるようになったんだし。」

ジン(こいつタメ口かよ…まぁいい。)


ジンが二人を止めた理由は自分の能力(スキル)にあった。


ジン(俺の『Go my way』は複数でも使えるのか?この世界に来て、4日目になるが未だに自分の能力を完璧に理解してないんだよなぁ)


そう。ジンはせっかくなら自分の能力について知るついでにもし複数でも使えれば歩くよりも時短になると考えたからである。


ジン「二人とも俺の服の裾を握れ」


一瞬二人は何を言っているか分からないという表情を見せたが、すぐにジンに言われた通り裾を握った。


ジン(目的地はまず()()()か?)


ジンは目を瞑り意識を集中させ、()()()()をイメージする。


3分ほど経ったところでジンは目を見開き、呟いた。


ジン「Go my way」


ジンが能力を使うと目の前には、()が広がっていた。


グラン「すっっっ、、、げえ!!」

アリス「これがジンさんの言っていた能力なんですね!」


二人は初めてのジンの能力に驚きつつもはしゃいでいた。が当の本人は新たな事実に驚いていた。


ジン(俺が想像していたのは、この中だったはず…てことは本当に移動の過程しか消し飛ばせないのか……)


ジンが異世界に来たとき近くに落ちていた謎の本。そこには移動した過程を消し飛ばすと書いてあった。

つまり閉鎖空間の中に入るにはどう頑張ってもドアや、隙間が必要である。

この場合『壁を叩き、ドアを開けてもらう』という動作は消し飛ばすことができないため、その手前の壁の前に移動してしまったのだ。

そのことをジン自身も分かっていた。


ジン(まぁ、時間と金を使わずにタクシーに乗れると考えればいいか。)


ジンは頭の中を整理して、壁を叩く。


ジン「Aだ。今帰還した。(奴の声を真似てみたが…さてどうなる?)」


『真似た』と単に言ってもその再現度は素人の声真似を遥かに凌駕していた。


フーリュー「Aさんは今、この中にいますよ。何しに来たんですか?お兄さん?」


意外にもフーリューは扉を開け、その隙間から顔を覗かせた。


ジン(ま、そうだろうとは思ったが他にできることも無かったんだよなぁ。俺名乗ってないし)


ジン「中に通してもらっても?」

フーリュー「冗談きついですね……と言いたいところですがボスがお呼びなんですよねぇ」


そう言ってフーリューは3人を中に招き入れた。扉は鈍い音を立てゆっくり閉まる。ジンたちは奥へと進んだ。アリスとグランは震えながら未だにジンの裾を握っている。


フーリュー「お連れしました。ボス」

ボス「あぁ。ご苦労……にしておい、あんちゃん。お前さん前に言ったことを忘れたんじゃあるめぇな?」

ジン「あぁ良く覚えている。」

A「だったらなんで!!」


部屋の隅で何やら掃除をしていたAが口をはさむ。


ボス「おいA!おめぇは黙って罰をやりな!」

A「へ、へい!お頭!」


Aはまた黙々と掃除に戻った。


ボス「あいつの言った通りだ。何故またここへ来た?」

ジン「言っている意味がよくわからないな。あんたこそ覚えてるのか?言ったはずだぞ。次またここへ()()で来たらと。」

ボス「な!?」

ジン「だから今日は3人で来た。」


ジンは震える二人をボスの前に出す。


ボス(あの時のガキ共!)


ジン「こうも言ったよな。()()は通すと。これでも何か言うことは?」

ボス「はぁ……困ったお人だ。わかった。どの道闘っても互いに損害を被るだけだ。」

ジン「話が通じてくれて助かる。そういえば名前を言ってなかったな。ロイド・ジーンズだ。よろしく頼む。」

ボス「ワシはエドゥアルド・ルッヂだ。用件を聞こうじゃないか。」

ジン「あぁ。この街で俺やこの小僧達でも稼げる仕事を教えてほしい。」


ジン(不運というべきか幸運というべきか、知り合いがこいつらしかいないんだよな)


ボス「仕事ねぇ。あんちゃんレベルなら裏の世界(こっち)にいくらでも仕事があるだろう?」

ジン「こいつらでもと言ったろう。」

ジン(それにこの世界で俺の常識が通じるとも思わないし。裏となると俺でも死ぬかもしれない。)


ボス「カタギの仕事でこのガキ共もとなると……配達か売り子、冒険者くらいしかねぇだろ。それをやらないのにも理由があるのかい?」

ジン「冒…険者?」

ボス「ハハハ!まさか知らないとは言わんよなぁ?」


ジン(アリスの奴。なんでこういうことは話さなかったんだ…)


ジンはアリスを横目で睨み付ける。察したのかアリスは舌をだしながら『やっちゃった。』というような表情を見せた。さながら「うっかり忘れてました。」と言っているようだ。


ジン「すまない。過去に脳にダメージを受けてな。そういうことは記憶にないんだ。こいつらを助けたのは只の気まぐれだ。」

アリス「え?そうだっt」


ジンは咄嗟にアリスを自分の後ろに隠す。


ボス「あんたほどのお人がねぇ。まぁ聞くより行った方が早いな。お前さんらまずはギルドに行ってこい。この街の中心……まぁ人がたくさん集まる場所があるからすぐにわかる。」

A「お頭ぁ。その前にまず装備を整えさせたらどうです?こいつらのこの格好じゃ舐められますぜ。」


掃除を終えたのかAが話に加わる。


ボス「むぅ確かになぁ。」

A「トールさんのとこはどうです?この街…いやこの世界でもトップクラスに腕が立つでしょ。」

ボス「しかしトールはなぁ。」

ジン「他にないならそこに行きたいんだが、装備の相場はどれくらいなんだ?」

ボス「いや金の問題じゃねぇ…奴がまた鉄を打つかどうかが大事なんだ。」


ジン(なるほど訳ありか……)

ジン「とりあえずそこに行こう。急に押し掛けて悪かったな」

ボス「全くだ。ワシらが全力で潰しにいってたらどうしてたんだ?」

ジン「いやそれはないと確信していた。この世界について粗方アリスから聞いた。奴隷のはずのこいつからだぞ?アリスの本を読ませてもらっていたという発言や部下たちからの信頼も暑く結束力も固い。処罰が掃除だけってのも俺の見てきたマフィアの中でも本当に珍しい部類だ。」

ボス「ほほぅ」

ジン「ここからは俺の完全な妄想になるが……あんたは人身売買と称して、身寄りのないガキ共を育ててたんじゃないか?売られても簡単には殺されないように質の高い奴隷をな?そこのAとかはその中でもマフィアに志願していた奴らってところか?」


ジン(アリスに関しては何故売り買いを繰り返されていたかは分からんが…)


ボス「ブワッハッハッハ!本当に底の知れないお人だ!!面白い!ジンとやらマフィアに入る気はないか?」

ジン「遠慮しておこう。」

ボス「まぁ困ったことがあればまた来い。なぁに金もいらんし恩も売る気はない!」

ジン「いやちゃんとこの借りは返す。それが俺の流儀だからな」

ボス「ハッハッハ!益々気に入ったぞ!まぁとりあえずトールのところに行ってこい。あやつに大槌を振らせるにはそう簡単にはいかんぞ?」

ジン「まぁ頑張ってみるさ…じゃあな優しいマフィアのお頭」

フーリュー「では、僕が外までお見送りしましょう。」

ジン「悪いな」


アリスやグランもジンに続いて外に出ていく。


ボス「あぁそうだ。ガキ共ぉ!精々生き延びろよぉ!!」


そうボスが言い切ったところで扉は閉まった。


ジン「じゃあ…行くか!」

グラン「おおっ!」

アリス「はい!」


彼らは街へと繰り出した。

投稿ペース上げると言っておいてむしろ下がっている。。。


ようやく物語が軌道に乗ってきた。

トールとは一体どんな人なのか。。。


今回もお読みいただきありがとうございました!

よろしければブクマ追加、評価よろしくお願いします!

次回の更新は1月27日を予定しています。

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