ボス
大変申し訳ございません
1話にイノシシの件、もう1つの仕込み指輪の件を追記しました。
殺し屋「あ、お前ら少し待ってろ」
殺し屋はゆっくり大男たちを地面に組伏せ、もう一度小僧の方に近づいていく。
殺し屋「小僧、ほらよ」
子供「わっ、ちょっ!?何これ?」
殺し屋は子供にライターを投げ渡す。
殺し屋「そこ開いて、そのギザギザのところ回せば火がつく。もうほとんどつけられないから、いじって遊ぶなよ?あと小屋の中では絶対にやるな」
子供「え?え?ちょどういうこと?」
殺し屋「言った通りだ。じゃあな」
殺し屋は駆け足で大男たちを起こして、歩き始めた。
殺し屋「じゃあ、早速案内してもらおうか」
大男B「おいA!お前なんであれで了承したんだよ!!」
大男C「B…諦めろ。俺たちは敗けたんだ。従うしかない。」
大男B「くそっ!」
大男A「すまねぇお前ら…おいあんた、本当に話し合いだけだろうな」
殺し屋「何度も同じことを言わせるな。早く案内しろ。それと話すのはお前だけでいい。確かAと言ったか?」
大男A「わかったよ。まず森を抜けるには~」
大男は渋々、案内を始めた。殺し屋は気を抜かずAの脈拍、話し方から嘘をついていないか注意深く観察した。
大男A「なぁ1つ聞いてもいいか?」
殺し屋「道案内以外のことなら話さなくていいぞ」
大男A「どうせ抵抗も何もできねぇんだ。少しくらい良いだろ?」
殺し屋「はぁ…1つだけだぞ」
大男A「おう、じゃあ聞くがあんた何で殺し屋って仕事をやろうと思ったんだ?」
殺し屋「お前餓死寸前の時に、目の前に嫌いな食べ物が山ほどあったらどうする?」
大男A「そりゃあ食って生き延びようとするな」
殺し屋「それと同じように俺も殺し屋になる以外選択肢がなかった。」
大男A「ふーん、なるほどな」
大男B「それを言ったら俺らも同じだな。3人ともあの人に付いて行くしかなかった。いや付いて行きたかったってほうが正しいか…」
大男C「俺たちはあの人に拾われたからなぁ。だからあんたにアジトを教えるなんて死んでもしたくないんだぜ?」
殺し屋「知るかよ」
大男A「そりゃそうだよな(笑)ハハハハハハ」
自然と雑談が始まり、森を抜ける頃には、お互いに理由があると理解していた。そこには、奇妙な、だが確かに少しは互いの行動に納得していた。辺りはもう薄暗くなっていた。
大男B「あそこの門をくぐると街に入るが、門はくぐらん。こういう非常事態の場合は」
殺し屋「抜け道を使う…ってところか?」
大男A「それよりもっとすげえぞ…この街は門以外の周りは魔物の侵入を防ぐため、壁になってるが………まぁ付いて来ればわかる。」
大男Aは説明を放棄した!
殺し屋は立場がめちゃくちゃになっている気がしたが、面倒くさいし特段問題なかったので何も言わなかった。
殺し屋たちは壁に沿って歩いていき少し歩いたところで大男たちが止まり、壁に向かってノックした。
殺し屋(隠し扉か)
大男A「Aだ!今帰還した。」
???「Aか。周りにBとC以外のやつはいないな?」
大男A「あぁ…いるぜ」
???「責任は?」
大男A「全部俺が受ける」
???「よし。」
話が終わった途端、壁が内側に開き少年が顔を覗かせた。
???「ふぅ…まぁ入りなよ。ボスがお待ちだ」
大男A「あぁすまねぇな。フーリュー」
フーリュー「全くだよ。あ、お客さんもどうぞ。」
殺し屋「あぁ…」
殺し屋は内心驚いていた。数多くのギャングやマフィアを今まで見てきたが、こんな10歳ぐらいの子がやっているとは思わなかったからだ。奥へ進み、部屋に入る。部屋の中は、ソファにテーブルが置いてありその奥に椅子に座る男がいた。壁には男たちがぐるっと一周張り付いている。
ボス「帰ってきたか…お前ら」
大男たち「「「すまねぇ!ボス!!」」」
ボス「おまえらの処分については、また後だ。さて、客人よ。何しにここへ来た?」
ボスと呼ばれていた奥に座る短身の初老の男。手には葉巻をもち、スーツでびっちりキメていた。
殺し屋「あの小僧どもを付け狙うのを金輪際やめてもらうため、話し合いに来たんだ。だから周りの奴等の殺気は抑えるよう言ってくれ。」
ボス「おっとこいつは失礼したな。おめえら止めねぇか!」
ボスが怒鳴ると殺気立っていた男たちは落ち着き、顔を伏せた。
その後、ボスはマジマジと殺し屋の顔を見る。
ボス「ハハッこいつは驚いた。お前たちすまない。相手が悪かったな。、とんでもねぇ奴を殺してこいと命令しちまったもんだ。」
大男たち「と、とんでもねぇ!失敗したのは俺たちがヘボいからだ。ボスは何も悪くねえよ!」
大男「いや、今ここにいるうちの奴等全員で襲いかかっても良くて相討ちってところだな。お前さん、闇の世界で生きてるだろ?」
殺し屋「よくわかったな。」
殺し屋(正しくは、生きてた…だが……このおっさん良い目をもってやがる…やはり油断ならねぇな)
殺し屋は警戒心を強めた。
ボス「いやいや、この目のおかげでこの組も持ってきたってもんよ。ワシの能力は『仁義|の目』!見た物、見た相手のことが少しわかる。どんなことでも…例え…殺した人数でもな?」
殺し屋「試してみるか?」
ボス「いや、やめておこう!数えるのが大変そうだ!ハッハッハッハッハ」
ボスは豪快に笑う。
ボス「そうだ!あのガキ共の件だったな…了解した。むしろAたちを殺さなかったことに感謝するくらいだ!だが…こっちも商売だ。もし次邪魔するようなことがあれば……容赦はせんぞ?」
殺し屋「ああ、それでいい。こっちも色々と邪魔したな…よかったらお前らで食べてくれ。猪の燻製だ。Aたちとかは恐らく何も食べてないはずだからな…」
ボス「おお、ありがてぇな。この肉は…猪じゃないか!A!お前好物だったろ?お前たちも食え食え!」
殺し屋(ポカブリオというのか、あの猪)
殺し屋「安心しろ毒はない…」
殺し屋は目の前で燻製を食べて証明した。
大男A「じゃ、じゃあ頂くぞ。……………う、うめぇ!燻製になったことで程よく油が落ちていてそれでいて燻された香りが鼻を抜ける!酒がほしくなる味だ!あんた料理人のほうが向いていたんじゃねえのか?」
続いてBとCが我先にと口にする。どちらも満足したようだ。
フーリュー「お酒お持ちしました。」
ボス「お、ありがてぇ。ってフーリュー!お前また能力で顔いじったな!?」
フーリュー「仕方ないですよ。こっちのほうが女受けいいんですから。」
ボス「表向きがバーなのにそれはまずいだろ」
フーリュー「マダムからは人気ですよ」
殺し屋(あいつ能力で顔いじれるのか…というよりここ、本当にマフィアのアジトか?)
あまりのアットホームな感じに殺し屋は拍子抜けする。がすぐに冷静になり、
殺し屋「肉のお代として金貨二枚いただきます」
一同「「いや金とるのかよ!」」
ボス「おいおい、あんた。確かに肉は旨かったがポカブリオに金貨二枚はやりすぎだ。…せめて一枚に負けてくれ」
殺し屋(価値がわからないから適当に言ってみたが、金貨一枚、連中の反応から見てもかなりぼったくれたな)
殺し屋「わかった」
殺し屋がボスから金貨を受けとる。
殺し屋「毎度。それじゃあお暇させてもらう。」
ボス「あぁ…あんた。最後にこれだけは言っとくぞ。あんた次1人でここに乗り込んでみろ。」
殺し屋「あぁ、わかっている…さっきも言った通り商売の邪魔はしない。」
殺し屋(最後に念を押しとくか…Go my way!)
殺し屋「お前らも、な?」
殺し屋はボスの裏に周りこみ、ナイフを当てた。
大男A(俺の時と同じ!)
ボス「あぁ、これでも組のボスだ。仁義は通す。」
殺し屋(冷や汗なし。震えなし。言動に震えあり…か。なかなか肝が据わってるな)
殺し屋「それが聞けて安心した。じゃあな」
フーリュー「あ、お帰りの時は向こうのドアからどうぞ。さすがにあっちの扉から出るの見られたらまずいんですよね」
殺し屋「あぁすまないな」
殺し屋はバーのドアを開きその場を後にした。
辺りはすっかり暗くなっていた。
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フーリュー「とんでもない人でしたね」
ボス「あぁ、常に警戒を怠っていなかった。あいつ後ろから吹き矢で狙ってることにも気づいてたぞ。」
フーリュー「僕の毒入り酒も、口にしませんでしたし。」
大男A「あいつ、急に出たり消えたりするんですよ。」
ボス「まぁ多少驚きはしたが…」
フーリュー「あの、ボス。先ほどここにいる全員でかかっても良くて相討ちと言っていましたが、さすがに『クルーガー』さんなら勝てますよね?」
ボス「どうだろうな。だがクルーガーはワシが知っている中で最も強い。あれが敗ける姿は想像できんな。」
大男A「クルーガーさんは今どこにいるんですかい?」
ボス「どうせまたどっかで、女追いかけ回してるんだろ…それよりA!貴様ァ…今から処分を言い渡す!」
何故か消えていましたがとある方から、2話目で「ここで逃げたら過去のぼ・く・に顔向けできねぇな」とありますが何故一人称が変わっているのですか?という質問を頂きました。
あの場面ですが、殺し屋が過去の自分に話しかけるように表現したかったためこのような文になりました。
自分の力量足らずでわかりずらくなってしまい大変申し訳ございません。まだまだ未熟な自分ですが、これからもっと成長していきたいと思う所存ですのでこれからも読んでいただけるとありがたいです!
さて次回、遂に姉ちゃんとやらと殺し屋のご対面。彼らの名前も明かされます!
そして姉ちゃんの能力とは?
次回の更新は1月23日を予定しています。
長文失礼しました。