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転生チート令嬢は究極に料理が出来ない。  作者: 亜野朱
第1章 転生チート令嬢は普通じゃない。
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新しいお友達って嬉しくない?

 私がジオ様の赤ワインを持って戻ると、その場には少年がもう一人話題に加わっていた。

 白く艶のある髪だけでなく肌も白く美しい。中性で綺麗な顔立ち、切れ長な目、細身で身長も高く、前世の言い方をするならば『モデル体型』ってやつね。


「ジオ様、赤ワインです。どうぞ」

 私はとりあえずジオ様に持ってきたワインを渡す。

 で、この方は誰だろう?

「リノ、こちらは私の親友ワオスの次男、シオン君だ」

 ワオス様もお父様、ジオ様と同じく三大騎士の一人。ワオディレス・ウォースト様もウォースト領を修める領主様だ。

「リノ・レングランドと申します。よろしくお願いします」

「シオン・ウォーストです。リノ様、本日はおめでとうございます」

 シオン様は私の右手を取り、甲に口づけする。

 なんなの、今時の若者たちはこういう挨拶が流行りなの?高貴な挨拶ってこうなの?

 混乱する私を尻目に、ウィードとシオン様がなんか睨み合っているようにも見えるけれど、箱入り娘だった私には頭の中容量オーバーで処理できません!


「シオン君も15歳だったね。君の誕生日会には出席出来ず申し訳なかったね」

「いえ、マーガル様はこちらの領の統治でお忙しいのは存じておりましたから。それより、今回本来であれば父上か兄が挨拶に来れれば良かったですが、こちらの方こそ申し訳ありません」

 お父様と話すシオン様はとても外交慣れした感じ。

 私もお父様の手伝いをするならこのくらい話せるようにならなきゃなあ。


「ウォースト領は大きな街がいくつもある上、商業もかなり発達してるからな。ワオスも忙しいんだろう」

 ジオ様の仰るとおり、ワオス様の治めるウォースト領は国が各領主に与えた領の中でも最も広い面積を持つ領土。そのため、大きな街が複数存在し、商業も近代的に発達していると聞いたことがある。それ故か、国の中心である国王都市に次ぐ規模の街もあると言う。それもこれも知将と呼ばれた三大騎士の一人ワオディレス・ウォースト様の力が成した結果とも言えるだろう。

 商業が発達すれば、うちの領も随分と楽になる部分が出てくるのかしら?

 領の経済面が安定すれば、ガムラキ村のダンジョンの件も今と違った対応が出来るんじゃないのかしら。そうすれば今みたいな警備団も解散して、村の男達若者が自分の村で生活出来るようになるんじゃ……

 そもそも、どんな商業はうちの領に向くのか、受入れられるのか分からないけれど。

 あー、だめだ。領の管理とか統制って15歳になったからといって当然身につくものじゃないわよね。


「レングランド領と違ってかなり賑わっている街も多いから、ウォースト領の街を見たらリノはびっくりすると思うよ」

 お父様は私が話について来てないと思ったのだろう。そう優しく話しかけてくれた。

「いいですね。是非リノ様がいらっしゃる時は私が案内させていただきます」

 間髪入れずにシオン様が申し出てくれる。

 ちょっとジオ様とウィードが面白くなさそうな顔しているけれど、どうしたのかしら?あれ?二人もウォースト領の案内して欲しかったのかしら?


「そういうことなら、是非ガジェーゼ領にも遊びに来て下さい。頻繁にパーティーも開催していますし、リノも楽しんでいただけると思いますよ?」

 ウィードが得意気にそう言って私の左手を取る。

「おお、いいな!ウィードは俺と一緒に国王都市の騎士団に出かけることもあるし、色々な話をしてやれると思うぞ」

 ジオ様の大きな声が広間に響く。

 パーティーは別として、ガジェーゼ領や国王都市の話を聞けるのは面白そう。

「ジオ様もウィードも領主や騎士団の仕事でお忙しいでしょう?それに比べて私は比較的自由の利く身ですから、いつでも相手出来ますよ、リノ」

 シオン様がそう言って私の右手を取る。

 ん?あれ?さっき呼び捨てだったけ?ああ、そうか、みんな同年代15歳だからタメで話そうってとこね。

 フレンドリーって感じがしてなんだか嬉しい。


「ウォースト領もガジェーゼ領も是非お伺いしたいです。その際は色々教えてくださいね」

 私は自分の手に触れたままのシオンとウィードの手を繋ぐように握手させ微笑んだ。

 二人もとても楽しそうに笑顔を見せてる。ちょっとぎこちない感じがするのは高貴な身分でこういう友情になれていないせいね。

 これからゆっくりと友情を育んでいけばいいか。

 もっと同年代3人で楽しくお話したかったけれど、お母様のお友達へも挨拶するよう呼ばれちゃったのでこの辺で。

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