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【短編】その他の短編

電車ガラガラ

作者: 烏川 ハル

   

 新型ウイルスの流行により、移動自粛が続く夏。お盆休みでも、電車は例年よりいている……どころか、新幹線などはガラガラだという。


「おい、聞いたか? 今SNSのトレンドに『電車ガラガラ』が入ってるらしい」

「あら、それは驚きね」

 夫の言葉に、そう返す妻。

 二人とも学生の頃は、いわゆる『乗り鉄』であり、青春18きっぷを手にして、日本中の電車や気動車を乗りまくったものだった。二人の馴れ初めも、旅行中の出会いだったという。

 今でこそ大人しくなったが……。もしも子供がいなかったら、いているのをこれ幸いと、今年も二人で旅に出ていたに違いない。


「私たちが欲しくて探した時は、なかなか見つからなかったのに……。いつのまに流行したのかしら?」

「ほんの一年前なのになあ。俺たちが買ったのは……」

 と言いながら、二人は赤ん坊を囲む。


 夫の手には、新幹線を模した、布製のガラガラおもちゃ。

 妻の手には、3両編成の汽車パーツが特徴的な、ドイツ製の木製ガラガラ。

 列車柄の布団に包まれた赤ん坊は、まだ両親の勘違いを理解できるはずもなく。

 二人が振るガラガラに反応して、ただキャッキャと喜ぶのだった。




(「電車ガラガラ」完)

   

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