夜会から日常までの数日
私の影武者となったハイドは、『家の都合』の理由で学院を退学した。
キリング家の生業を知る貴族は多いので、外国ヘ潜入でもするのだろうと思われているようだ。
その後、王族専用寮の侍女用の居室に私の侍女が一人入ることになったが、特に注目する人間はいなかった。
夜会の翌朝まで続いた話の後で、ずっと俯いて聞いていたリナに、何か質問があるかと尋ねると、首を横に振り、
「俺、あんたを殺したくて殺したんじゃなくてよかった」
と泣きじゃくった。
自分が既に死んでしまったことも、崇拝する那波との再会にも言及することは無く。
ただ、前世の私を殺したくなかったと泣きじゃくるリナに、キースとヨアヒムとフェルも口を噤んだ。
側近達とリナを帰してから、リナから聞いた、前世のリナと木之内の祖父との関係や人生を三人に話した。
三人とも、リナがおかしな真似をしなければ敵視はしないと約束してくれた。
前世のリナを邪魔者扱いしていた私を「優しい人」と思い込んでいたリナを、今更すぎるけど、今度こそちゃんと優しく扱いたい。
レイ特製の色々忍ばせられる侍女服を着たハイドが私の身の回りの世話をするようになって3日。
初めての夜の社交で二日酔いになっていた令息や、デビュタントの夢から覚めた令嬢が学院に戻って来た。
王宮で「おもてなし」されていたアイリスも戻って来る。
早々に戻ろうとするアイリスを王妃様が引き止めていたらしい。
王妃様から、愚息を見捨てないでほしいという手紙をいただいた。




