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王子様のお茶会

 10歳までは領地から出ずに暮らしていたけど、明るい時間の社交が可能な年齢になったので、社交シーズンは王都の公爵邸で暮らすことになった。

 13歳になったリックは、騎士団の団員達から化け物を見るような目で見られるくらい強くなっていたので、私とフラウの護衛騎士として一緒に来る。

 10歳から父親である団長に魔法を習い、私達と一緒に瞑想を日課にしていたリックは、その辺の大人よりも魔法が使える。

 私が淑女教育や図書室通いに宛てていた時間に、フラウがリックに勉強を教えていたから教養も十分だ。


 王都での生活が落ち着くとすぐに私とフラウのお茶会デビューが決まった。

 私はフェリクス王子の婚約者候補を決めるお茶会に午前中から。

 フラウは王子の側近候補を選ぶ午後のお茶会。


 フェリクス王子は、この国の第一王子で次期国王。攻略対象でメインヒーローだ。

 別にスノウやフラウの敵ではないから不安や恐怖は無い。

 友達になって王宮の図書室とか出入り自由にしてもらえたらいいな、くらいのものだ。

 王妃になってもならなくても全力で人生楽しめそうなので気負いも無い。

 フラウも繊細な質ではないので、緊張していないみたいだ。着て行く服をお揃いの生地で仕立てようね、とはしゃいでいる。


 お揃いの生地の新しい服が仕立て上がり、私達はお茶会のために王宮ヘ向かった。

 フラウは護衛のリックと共に、午後まで控え室で待つ。

 一人、案内係に連れられてお茶会の会場に行くと、私が『全力で遊んだ結果』が目に入り多少気まずい。

 建物や人物の服などは思い切り中世ヨーロッパ風なんだけど、この世界では季節ごとに梅や桜やツツジ、藤に紫陽花に朝顔など日本で馴染み深い花が咲く。

 貴族の邸宅や王宮には立派な松の木が生えているのが定番だ。枝ぶりを競うのが貴族の嗜みである。

 夏には朝顔やヘチマやゴーヤで緑のカーテンを作るのも高貴な者達に許された優雅な遊びだ。


 会場には美少女達がソワソワしながら王子の登場を待っている。

 フェリクス王子は10歳。この世界では姉さん女房は有り得ないようなので、この場にいるご令嬢達は全員10歳だろう。

 婚約者候補は今年だけで決めず、来年以降も年下の候補を探すお茶会を開催するんだろうな。


 女の子達の歓声が上がり、フェリクス王子が登場した。

 メインヒーローは王道らしく金髪碧眼の美少年だ。さすが那波。非の打ち所の無い王道の王子様だ。

 王子様は身分の高い家の令嬢から順に声をかけることになっている。

 つまり、筆頭公爵であるディアマンテ公爵令嬢の私が最初に声をかけられるわけだが。


「君がスノウ・ディアマンテかい? 僕はフェリクス。本当に妖精みたいに可愛らしいね。おいで。僕の妖精に秘密の庭を案内してあげる」


 フェリクス王子は私の手を取り、お茶会の会場を抜け出した。

 いや、他のご令嬢に一言もかけてないですよね。

 ご令嬢方も見守る大人達も皆さんポカンとしてましたよ。

 王子登場から一分で終了になったらしい婚約者候補を決めるお茶会をどうするつもりなのかな。

 そして、王子の秘密の庭ってアレだよね。かなり悪ノリして背景描いた記憶があるよ!

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