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幼年期は能力チートで基礎を育てましょう

 掴まり立ちで歩けるようになると、私は公爵家の図書室ヘ向かった。

 この世界の言語は日本語なはずだから。

 急ピッチで仕上げるために、普段は手伝わないところまで那波の補佐を私がしたから、人物以外は私が描いた。

 全力で遊んでいいと許可も出ていたし、奴が注目するのは那波が描く人物だけだったから、遊んだのが全然バレてない。

 スチルの背景や小物の表記、全部日本語で書いたんだよね。

 本のタイトルとかタペストリーのテーマとか。絵画の題名も。

 あれ? 巨匠の作品と言われる高価な絵画って私が描いたんだな。画家としても稼げそうじゃない?


 図書室に来てみると、やっぱり日本語だらけだった。

 手が届いて持ち上げられる本を片っ端から読んで行く生活が始まった。

 この世界の知識を得て分かったのは、神は存在しないけど、信仰はあるということ。

 信仰の対象は妖精。

 設定でもストーリーでも、人間以外の不可思議な存在って妖精しか出て来なかったもんね。

 王子の婚約者としてスノウが出て来るスチルで、「最も美しい雪の妖精のような方」と言う台詞が出て来ただけなんだけど。


 低い棚の本は読み尽くし、3歳頃には自由に歩いたり走ったり出来るようになったので、フラウを誘って体を鍛えることにした。

 フラウも能力チート設定だから、鍛えれば暴漢ごときは撃退出来るはず。

 二人で楽しく柔軟やったり走ったり木登りしたり筋トレしたりで、5歳までに木から木ヘ飛び移ったり足音を立てずに全力疾走出来る程度にはなった。

 フラウも可愛らしい顔でキャッキャと大喜びだった。


 剣術と護身術を習いたいと姉弟二人でお強請りすると、デレデレになったお父様がディアマンテ公爵家の騎士団長を先生として付けてくれた。

 私達より3歳年上の団長の長男も一緒に習うことになった。

 さすが能力チート。私とフラウはメキメキと上達した。


「ご令嬢ご令息と言うよりは暗殺者の動きですな」


 と、すぐに団長に褒められるようになった。

 3つ年下の可愛子ちゃん達に敵わない団長の息子リックは、同年代で一番強いことを鼻にかけていたそうだけど、心を入れ替えて努力するようになった。


 手が届いて持ち上げられる本も増えたので、図書室通いも再開した。

 魔法がある世界だけど、体が小さ過ぎると魔力を制御することが負担になると本に書いてあったので、魔法の習得開始にオススメの10歳までは、フラウと集中力を養うために瞑想を日課に取り入れた。

 集中力次第で魔法の発動時間はどこまでも減らせるらしい。

 それに、精神が無の状態の時に魔力量は増やせるそうだ。


 可愛い弟との修行の日々は、とても楽しい。

 教えたことをすぐに習得する私達を面白がって、団長はあらゆる武器や暗器の使い方や様々な動物の乗りこなし方を教えてくれた。

 リックも泣きそうになりながら必死でついて来た。


 スノウは美しい公爵令嬢という設定なので、ゴリラを超える戦闘力だけではなく、淑女のアレコレをお母様に習ったり、侍女達に教わって美容にも力を注いだ。

 7歳からはフラウと机を並べて家庭教師を付けてもらって勉強し、次の年には家庭教師では教えられることが無いと、お父様が王宮から偉い学者さん達を連れて来た。


 フラウとリックと一緒に「もっと強くなろうぜ!」と切磋琢磨し、所作や心持ちも含めて美しさに磨きをかけ、図書室の本を全て読破し、学者さん達に「もう教えられることはございません」と言われ、お茶会デビューと魔法習得ができる10歳になる頃には。


「ディアマンテ公爵家の天才双子」


「ディアマンテ公爵家の双子は妖精に溺愛されている」


 などと王侯貴族の間では有名になった。

 前世では器用貧乏で、何でも出来るくせに血反吐を吐くほど努力を重ねても天才にはなれなかった。

 能力チート万歳!

 努力が報われるって素敵!


 達成感にテンション上がりまくりで、私はフラウと共に10歳になった。

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