入学前日
月日は流れ、私達は共に成長した。
スチルでは儚げな美少年だったフラウは、幼い頃から私と鍛えて来たせいか、すっかり背の高い筋肉質なイケメンになった。
私はスチルの通りに線の細い美少女なんだけど。いくら鍛えてもマッチョにはならなかったんだよね。
腹筋は割れてるからコルセットいらずなんだけど。
ルークは実はとても視力が良い。
眼鏡をかける必要は無いけど、学院に入学したら、少しでも知的に見えるように伊達眼鏡をかけるらしい。
理事長の息子だから、入学してから親に恥をかかせないように勉強は頑張っているけど、暇さえあれば金竜で山へ向かい修行に勤しんでいた。
その成果か、バランスの良い痩せマッチョなイケメンになった。
レイは大柄でガタイの良いイケメンになった。
お姉様達の影響で、口調は女の子からオネエになった。
恋愛対象は女の子だから! と宣言している。
化粧をするようになったけど、それはレイ自身が開発を手掛ける化粧品の実験台に自らなっているだけで、「女の子を綺麗にする方が好きなのよ?」らしい。
強引な毒舌家だけど憎まれることは無い。
皆、胃袋を掴まれてるからかもしれない。
私のドレスは、ほぼレイの作品。
カイルは、そのまんま大きくなった。
成人と同時にフェルの近衛騎士になることが決まっている。
側近候補達と勉強会をしていたので、脳筋とか勉強が苦手ということは無い。
むしろ、陶芸で鍛えた集中力で、学習速度も早く優秀だ。
現在成長期真っ只中で、「毎日服が小さくなる気がする」と皆を笑わせている。
ハイドは私と同じ身長でピタリと成長が止まってしまった。
体も細いし顔も可愛いので、「僕、永遠に女装できるかも?」とホクホクしながら私とお揃いのドレスを着ている。
最近は形態模写や声帯模写も始め、よく私の真似をして遊んでいるようだ。
既に両親や姉と同じく、国家が抱える暗殺者として実務に携わっている。
11歳下に弟がいて、ミニサイズのハイドみたいで大変可愛らしい。
ユアンは、すらりとした物腰柔らかなイケメンになった。
鍛えても筋肉がつかない体質だと嘆いていたが、身体強化魔法で瞬時に超人になるし、えげつない攻撃魔法使いなので、細くて薄い体を揶揄する者はいない。
一応一通りの武器の扱いはマスターしているけど、無尽蔵に近い魔力を持っているので、細い剣を仕込んだステッキしか持ち歩くことは無い。
真面目で優しくて紳士なので、入学後に何故チャラ男スチルが出て来るようになるのか分からない。
ニールは最初に会った時から背が高かったけど、そのまま順調に身長が伸び続け、私やハイドの後ろを歩くと木の枝に顔を打たれている。
いつも穏やかに微笑んでいる落ち着いたイケメンで、たまにフラウを「師匠」と呼んでいるけど、何を習っているかは教えてくれない。
やっぱりバランス型の万能タイプに育ったけど、それが自分の存在価値だと器用さを楽しんでいる。
お祖父様とはすっかり仲良しで、一緒に釣りをしてお祖母様に新鮮な魚を食べてもらうのが嬉しいそうだ。
フェルは、想像以上に正統派王子様のイケメンになった。
スチルよりも大人びた感じなのは、小玉のせいなのか苦労が多いからなのか。
どんなに忙しくても、私や側近候補者達との交流時間は作り出してくれる。
フェルに調査を頼んでいた邪教集団は未だ現れていない。
人身売買組織のアジトは、東側の王都郊外に見つけた。現在は廃屋で空き家。しばらく前は、行商人が仮宿として住んでいたらしいけど、土台がもう寿命らしくて、危ないから立入禁止になっている。誰かしら住み着いたら知らせてもらう。
謎の美女は、外国のスパイにスチルと瓜二つの男性がいるらしい。フタナリというシナリオは、男性スパイが変装術で美女の体を作ったものなのかな。国内に入ったら教えてもらうことにしている。
明日は、フォレスタリア貴族学院の入学式。
私と側近候補者達は、王子と共に全寮制の学院に入学するので、前日から王宮に宿泊している。
明日からのことで話があると、私の宿泊する客間に使いが来たので、フラウに送られてフェルの私室に到着した。




