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ピクニックに行こう!

 ピクニック当日、フェルに指定された通り、王宮の前庭に集合した。

 白竜を見たルークが鼻を押さえていたけど、王子の前で鼻血を吹く失態は犯さずに済んだようだ。

 護衛はリックの他はフェルが選んだ竜騎士が数名だけ。白竜が魔法攻撃するから事足りるらしい。

 金竜や銀竜も攻撃力の高いブレスは吐くけど魔法は使わない。

 やっぱ伝説の白竜すごい!


「金竜2頭に銀竜2頭、その上白竜って。俺達必要か?」


 と、竜騎士の皆さんが言っていたけど、一応護衛が付いていますという体裁は必要なんだよね。

 希少種の竜の恐ろしさを知らない慮外者が襲って来たら危ないからね。襲った側が。


 調味料の他は現地調達のルールなので、全員ほぼ手ぶら。

 習得したての魔法の実践訓練も兼ねているので、道具も現地調達するか、作業は魔法でやる。

 日没までに帰宅するという目標だけで、あとは自由行動。

 ピクニックというよりサバイバルかな?


 私の銀竜にはユアンが同乗。

 安定性の高いカイルの金竜には調味料を持ったレイが同乗。

 スピード狂のルークの金竜には、それでも平気なハイドが同乗。

 フラウの銀竜にはニールが同乗。いつ仲良くなったのかな。ニールがフラウに従属しているように見えるのは気のせいだよね。

 フェルの白竜に同乗するのは、さすがに皆遠慮した。


 青空高く飛び上がり、王家が所有する山へ向かって風に乗る。


「ユアン、空、近い?」

「うん! すごいね! 雲に届きそう!」

「ユアンの予報だと今日は一日晴れだよね」

「晴れ、ところにより曇り。雨は降らないよ」


 外さない気象予報士が仲間にいると、野外活動の際にとても助かる。


 飛竜の速度だと目的地への時間的距離は短い。

 ユアンは下を見ることなく、ずっと空に目を向けていて、着陸したことにもしばらく気が付かなかった。


 山の中腹の開けた野原に降り立って、私達は役割分担して行動を開始した。


 ルークは木を切ってテーブルセットの作成。手伝うカイルは余った木で食器の作成。

 ニールは釣り竿を作って川に釣りに行く。私はその近くでニールに有毒か判別してもらって木の実や野草の採取。

 レイはハイドを連れて狩りに。

 フェルとフラウとユアンは竈を作って魔法で火をおこす。


 なんか、私の役割がかなり楽ちんなんだけど。


「一応、君の他は男なんだよ?」


 と、フェルに諭されたので、大人しくキイチゴとか良い匂いの草を摘んではニールのところに運んでみた。

 途中からチマチマ運ぶのが面倒になったので、その辺の蔓で籠を編んだらニールに驚かれた。

 貴族令嬢が手ぶらで山に来て立派な籠をさっさと編み上げるのは、大変面白くて爽快だったそうだ。

 釣りの様子を見学していたら、魚影が見切れるようになったので、川に入って魚を手掴みで獲っていたら。


「ニール。スノウが危ない真似をしないように見てろって言ったよね?」


 竈が出来たと呼びに来たフラウにニールが怒られた。

 え、いつそんな指示を出してたの?

 フラウが笑顔ですごい圧を放出してる。


「フラウ。お魚一緒に運んでくれる?」


 私が勝手に川に入ったのにニールが怒られてるのは忍びない。

 庇うと却ってフラウの機嫌が悪くなるから、甘える作戦に出た。

 双子だから、どっちが上という意識もそんなに無いけれど、最近のフラウは私に甘えられたいらしい。

 男の子はそういうものなんだろうか。


「スノウ、魔法で救助できる人間が傍にいない時に川に入っちゃダメだよ?」

「うん。ごめんなさい」

「スノウは籠だけ持って。魚は僕とニールで運ぶから」


 魔法で作ったらしい石の鉢に魚を入れて、フラウはニールと二人で持ち上げた。

 身体強化の魔法もかけてるんだろうけど、細身の美少年が二人で水と魚の入った大きな石の鉢をスタスタと持ち運ぶ図は二度見しそうだ。


「ニール、迷惑かけてごめん」


 運び終わってフラウが竈の方に向かったので、小声でニールに謝った。


「いや。僕も悪い。まだ魔法で救助できる自信も無いのに、魚を獲るスノウに見惚れていて止めなかった」


 え。野生の熊のように魚を手掴みする女の子に見惚れてたの?

 ニールの女の子の趣味って変わってるな。

 ワイルド系が好みなのかな?

 ニールは意外と繊細そうだから、強い女の子が合ってるのかもね。


 野原には着々とダイニングセットが出来上がっていく。

 簡素なテーブルセットを想像していたんだけど。

 普通に貴族の別荘に設置されてそうなダイニングセットだ。ルーク、やり過ぎでは?

 その横では地面に胡座をかいて、せっせと食器を彫るカイル。

 そう言えば、カイルは趣味の陶芸で完成予想形を先に木で彫るんだっけ。


 少し離れた場所では、レイとハイドが狩って来たイノシシをサクサク解体して、魔法も駆使して腸詰めまで作っていた。

 この世界、豚は魔物めいているけど、イノシシは普通なんだね。

 イノシシの方が可愛い家畜に見えるよ。


 私は摘んで来た野草で調味料を作ってレイに渡したり、小さな竈を作って魔法で火をつけて、ユアンに作ってもらった石鍋でキイチゴのジャムを煮たりしていた。

 良い匂いの草には、お茶っぽい物もあったので、野草茶にジャムを添えて出すことにした。


 狩りのついでにレイとハイドが掘って来た山芋みたいな植物で生地を作ってピザを焼いたり。

 摘みたての香草をたっぷり使って川魚やイノシシ肉を焼いたり。

 腸詰めを塩茹でして野草とスープにしたり。

 青空の下、野原で立派なダイニングセットに着席してセンスの良い食器を使い、食後のお茶まで堪能して。

 私は思った。


 このメンツなら、どんな悲劇が起きても無人島で生きていけるよね?

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