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金色飛竜のお見合い

 カイルの家で、カイルとルークの金色飛竜をお見合いさせてみた。

 ちゃんと国に登録して許可を得た飛竜なら、日の出から日没までの飛行は自由だ。

 無許可だと魔導師団に撃墜されるし、夜間飛行は有事以外に許可は下りない。

 そんな感じで、ゆるっと気軽にお昼のお見合いなんだけど。


「熱々だね〜」


 フラウもニコニコしてはいるけど、呆れ気味だ。

 私とカイルとルークは何も言えず目を逸らしている。


 飼育しているくらいだから、皆飛竜の繁殖シーンくらい見たことはあるよ?

 でも、これは。

 ちょっと、激しい。


 飛竜は珍しい種ほど知能が高いと言われている。

 金色はかなり珍しい。

 私とフラウが専用にしている銀色も、かなり珍しい種で知能が高い。

 見たことは無いけど、伝説級の白と黒は人間の言葉を話すらしい。


 知能が高いから、繁殖のやり方も単純じゃないのかな。

 うちの銀色達は、まだ繁殖してないから、知能の高い飛竜の繁殖は初めて見たよ。

 ねえ。ソレ、どこのエロゲ?


「ここに居ると、豚に蹴られそうだから行こうぜ」


 気まずげに発せられたカイルの言葉に、「あ」と思う。

 奴のシナリオで試作したゲームは、テストプレイ段階で、音楽も声も入れていないし効果音さえ画面上に文字で表した。

 システムのプログラミングはちゃんと小玉がやったけど、時間短縮のために、小玉がスピードダウンする日本語入力が入る部分は私が担当して捌いた。


 だから、遊んだ。


 どうせ奴が気づくことは無いだろうと思う台詞は、あちこち弄ったのだ。

 例えば、デートの邪魔をする敵に向かってヒーローが言う「馬に蹴られて死ね!」を「豚に蹴られて死ね!」にしてみたり。

 その影響だったのか、この世界で初めて豚を見た時には愕然とした。


 まさか、巨大で脚が八本あって蹄がある牙だらけの獣を『豚』と呼んでいるとは思わなかった。


 アレに蹴られたら、たしかに死ぬだろう。

 と言うか、あれは家畜なの? 山から下りてくる魔物より強そうだよ? あれを食肉目的で飼う人間て、強いよね。

 美味しいけどさ。豚肉。


「裏庭で仔猫が生まれたから見に行こうぜ。毎日モーモー元気なんだ」


 ごめん。カイル。

 君は何も悪くはないのに、なんだか可哀想な子みたいになってるね。

 その原因にも心当たりはあるんだ。

 猫が出て来るスチルで、鳴き声を「モー」で入力したもん。

 この世界の猫は、モーモー鳴くし、黒とか茶色とか白黒斑はいるけれど、トラ柄や三毛がいないのって、多分モーモー鳴く動物の柄に相応しくないんだろうな。

 でも、鳴き声のせいで猫が食用だったり猫乳を飲むような世界じゃなくて良かった。


「そう言えばさ、俺の金色は赤ん坊の頃に怪我してはぐれてるのを保護したんだけど、ルークは何処で金色を手に入れたんだ?」


 裏庭でモーモー鳴く仔猫を頭に乗せてカイルが訊く。

 私も気になっていた。金色は生息地が知られていないほど珍しい。

 うちの銀色も、たまたま故郷の庭に迷い込んだ赤ちゃん飛竜を保護したら珍しい銀色だっただけで、親が何処にいるかも生息地も分かっていない。


「故郷で山に籠もり修行をしていたら、いつの間にか心を通わせ、下山の折について来た」


 何もおかしなことは言ってませんという風に、ごく普通に答えるルーク。

 カイル、若干引いてるね。フラウは肩を震わせて笑ってるし。


「お前、意外とそういうヤツだったんだな」

「多分、褒められてるかな?」

「ああ。気に入った!」


 カイルに肩を組まれて笑っているルーク。真の脳筋属性は君だったんだね。


「卵、すぐ生まれるかもね」

「うん。ピクニックの予定、早くしよう」


 飛竜は卵を生むと孵るまで傍を離れないから。

 明日にでも王子様に話を通そう。

 身分の高い子供が集団で出かけるならば、普通は護衛がゾロゾロ必要だ。

 でも、今回のピクニックは護衛を最小限にして、自由に動いたり話したりできるようにしたい。

 多分、彼なら何とかしてくれる。

 私だけじゃ手に余る問題は、誰かに手を貸してもらえばいいからね。

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