異世界放浪旅
先ずはかるーい自己紹介から入ろうか。
WEOにてランカー呪術師として活躍するプレイヤーの1人。
黒炎鎧のカガリと呼ばれた異質なプレイヤーのお話だ。
ある日のこと、よくあるVRダイブ型のゲームでも圧倒的な自由度で有名だったWEOを会社帰りいつもの習慣で起動した際、全て真っ暗になって気付いた時には全く違うマップに降りたっていたんだ。
最初はバグかなんかで開発中のマップにでも飛ばされたかと思ってたんだが、風が匂った瞬間に全ての違和感を感じ取った。
まさかと思ったんだが現実は非情だ。ゲームのはずなのだが風を鎧越しに感じるのもあり得ないし土や草の香りもする。試しに土を拾い上げ口に含めば味がある。全てあり得ないのだ。ことWEOが如何に自由と言えど五感の再現などは出来ていなかった。何よりもコンソールを開けば、設定関係が全て消えている。勿論ログアウトも出来ない。コンソールで確認出来たのはアイテムボックスのインベントリとステータスのみだ。
夢なら覚めて欲しいが死んで確かめるわけにもいかない。これからどうするか…
と言ったところで現在に至る。
「まーじでどうしよ…飯は当分問題なさそうだが、寝床はどうにもならんなぁ」
スキルや魔法も問題なく使えるのを確認したカガリはアイテムボックスからケーキを取り出し食べてみる。
「やっぱり味するな…結構甘ったるいし…食い終わったら探索するか」
愛用武器の手斧を装備して周囲の探索を始めるカガリの探知に何かが引っ掛かる。
「多分だけど魔物か?ソナーの反応じゃ人間のデカさじゃないし森に住んでるってなるとウルフ種かボア種だとは思うんだがなぁ…ここがWEO基準なら。レイドクラスじゃなきゃ1人でも大丈夫だけど、いつになっても未知の開拓は緊張感沸くなぁ…」
ソナーを追ってカガリの前に姿を見せたのはどす黒い赤の毛皮を逆立てて猛進する魔物ブラッドボアだった。ゆうに全長は3mを越える巨体とそれを支える筋肉の塊。全身武器みたいなスペックだがボア種を象徴する牙も搭載積みだ。
「初生戦闘だが肩慣らしには丁度良いかもしれんな、ついでにお肉ゲットだ。ゲームの時からお前旨そうだと思ってたんだ。ほーらこっちこいこい♪」
軽くカガリが挑発すればブラッドボアが本能のまま猪突猛進してくる。現実にいたあのサイズの猪ですら危険いっぱいなのに心に余裕があるのは圧倒的な強さと経験があるから。それとゲームの時の感覚が抜けきってないからかもしれない。
うらぁっ!とブラッドボアの突進を正面から受け止める。掴んだ牙を横に薙ぎ倒し首に手斧をぶちこむ。恐ろしい程に軽くズブリと筋肉、骨を貫通しブラッドボアが絶命する。貫通した手斧を手元に戻すように念じれば、いつの間にか血の痕もない手斧が右手に握り込まれていた。
「これ思ってた以上に武器性能ヤバいかも…いつものでこれじゃあ他数本は緊急時以外封印だな。ゲームだといつの間にか手元に戻る武器のもこういう感じかぁ…」
ぶつぶつ呟き洩らしてブラッドボアをインベントリに突っ込んでいると、不意に女の悲鳴が聞こえた。
趣味投稿になりますので圧倒的不定期更新でございます。初投稿でもありますので至らない部分多々ありますがよろしくお願いいたします。