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異類片想

作者: shouya

先日見た夢の内容を整えて短編小説にしたものです。

俺は、地域猫たちが集まるその場所で、一匹の人間の言葉が話せる雌猫と出会った。


その雌猫は避妊施術済みの印である片耳の切れ込みが入っているにもかかわらず、どこからか突然やって来た雄の野良猫に交尾を強いられ、望まない妊娠をし、二匹の子猫たちを産んだそうだ。


でも彼女は、その二匹の子供たちにどうしても心から愛情を注ぐことができない、この地域猫たちの集まる場所からどこか違う場所へ一人で逃げたい。

と言っていた。


人間の、友達と呼べるほどの相手がいない俺は、その雌猫を自宅にかくまうことにした。

自分の渇愛感を潤したいが為でもあった。


それから俺は、彼女とお互いの体温を分かち合った。


彼女はどうだか知らないけれど、俺はその雌猫を恋愛対象として愛してしまっていた。

もしも向こうが快諾してくれたなら、交わりたいとさえ思った。


しばらくして、その日の夜遅くに二人の知らない男たちが自宅を訪ねて来た。

その男たちは、雌猫をもとの場所へ帰すことを強要した。

男たちが何者なのか分からなかったが、

そうすることが雌猫にもその子供たちにも、そして周りの地域猫たちにとっても最適な判断だと言われた。


俺が決断をする前に、彼女自身がその場所へ帰ることを決断した。

そのかわりに今夜一晩だけ、彼の家で過ごさせて欲しいと言った。

男たちは、その条件をのむかわりに必ず翌日にはもとの場所へ帰るようにと硬く言い放ち去って行った。


その晩、俺と彼女はまた部屋に戻ってひたすらお互いの体を温め合った。

せっかく言葉が通じるのに、会話はほとんどしなかった。


目が覚めて、翌日の昼ごろになっていた。

二人ともそのまま眠ってしまったようだ。


それから支度をして、夕方ごろにもとの場所へ二人で戻った。


二匹の子猫たちが真っ先に雌猫に近づいて来た。

雌猫と同じ目の色をした子猫たち。

彼女は子供たちを連れて、そこで暮らしている地域猫たちの住む廃墟小屋に静かに入って行った。

俺はその様子を陰が見えなくなるまで見届けてから帰路についた。


数日後、俺はその場所を訪れてみた。

そこで二匹の子猫たちを囲うようにたたずんでいる雌猫を見つけた。


話しかけてみたが何も喋らず、俺のことを警戒しているような目をしていた。

もう少し距離を詰めようとした途端、雌猫は子猫たちを連れて廃墟小屋の奥へと消えてしまった。


俺は、帰路についた。

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