第4種『スキル解説、そしてお役御免』
遅ればせながら4話目更新。
更新は5日おきを目処にしています。
改稿しました。スキル名称変更と最後のほうのセリフの順番入れ替えています。
実は初夜はまだ続いていた。
「私としたことが、初めて君と出会ったことに歓喜して、うっかりしていたよ」
俺と繋がっている最中、思い出したかのように話し始めるハカセ。
「君に対する君自身のスキルの確認方法と卵子の寿命ないし受精可能期間とそれに対する君のスキルの効能の合致、および発動条件、範囲、消費エネルギー、まあこれは主にマジックポイント、もしかしたら生命エネルギーかもしれないが……を検証するのをすっかり忘れていたのさ」
俺に馬乗りになりながら一気に小難しいこと喋られると、少しだが恐怖を感じる。まぁ、アレだ。マッドサイエンティスト的な目の光というか、あるだろ。
「いきなり何言い出してんだ?」
すかさず、ツッコミを入れざるをえない。
「いや、すまん。要は君のスキル確認を忘れていたのさ」
「それって、ヤってる最中に言うことなのか?」
「当然だ」ハカセは自信満々に
「君とのセックスはただのセックスではないからな。あくまでデータを基にした検証であるべきなのさ」
自論を展開。
「まぁ、先にスキルの確認からだな。とりあえず『オープンスキル』と叫んでみたまえ」
「分かった。『オープンスキル』って、うわっ、顔の前になんか透明の画面がっ」
「落ち着け。それでスキルを確認するんだ」
「ちなみに」と付け足して、ハカセは
「その画面は当然、君にしか見えない。まあ、私は先程発動させた『スキャン』で閲覧しているところだが……慣れれば言葉を発さずともその画面が出せるようになる」
「2つしかないぞ。『絶対妊娠』と『次世代能力ブースト』だけだ」
「より深く知りたいと念じてみろ」
念じるって言ってもなぁ、とりあえず視線で操作するスマホのイメージでスキル名に注目してみると。
【『絶対妊娠』:女性を確実に孕ませることができる】
【『次世代能力ブースト』:自らの子供が持つであろう能力を劇的に上げる】
思わず読み上げるとハカセは難しい顔になり。
「『絶対妊娠』が気になるな。妊娠は受精と着床のプロセスに分かれているから、君のそのスキルがどこまで作用するか見極める必要がありそうだ」
「ちなみに、私のは若干説明が詳しいな」
「例えば?」
「ブーストに関しては【数倍から数十倍※誤差があります】と出ている」
「なんでだ?」
「スキルを観る者の知識量を反映しているみたいだな。興味深い」
「なんか腑におちない」
「なら、君も知識量を上げたまえ。とりあえずスキルについて解説してあげよう」
「まあスキルというのは、生まれながらに持っている先天性のものと後々発現してゆく後天性のものに分けられ、その中でも意思を込めて発動させるアクティブスキルや、特定の条件などで勝手に発動するパッシブスキルなどもある」
「また、先天性のスキルはその名の通り、生まれたときに持っている。だから権力のある者の子は誕生時に聖職者、つまりスキルをスキャンできる者を呼んで親が確認するのさ」
「なぜなら、先天性のスキルは殊更、成長率ないし熟練による到達上限も高い。だからチェックされるというわけだね」
「だが」とハカセは溜め息を吐き
「今、そこに表示されたスキルは君が転生したときに持っていたものか私との性交渉によって発現したものかは分からない。まさにっ、痛恨の、きわみいいいいいいいいーーーーー!」
「おいおい、そこまで悔しがるところか?」
「検証にはデータがっ、正確なデータっがっ! 必要なんだぁ! 私ぃーはそれをっ! とりこぼしたああああーーーー!」
ヤってる最中に取り乱されても対応に困る。
「とりあえずハカセ落ち着けよ、な?」
とりあえず俺はハカセを黙らすべく、性交渉行為を加速させていった。
初夜以降、ハカセとの性交渉、もとい『検証』が何日か続いたが。最初はノリノリだったハカセも首をかしげて考え込むようになっていった。そしてついに
「残念な知らせがある」
ついに
「君はもう、お役御免だ」
最後通告キターーーーー!
「なかなか私を妊娠させられないのではな」
おっしゃるとおりです。ヘコむ。
「安心しろ」と前置きしハカセは
「新しいタスクを用意してある」
しれっと告げる。
「君には種付け外交をしてもらう」
そして
「頑張ってくだされよ。外務大臣殿」
叩かれた肩がどっしりと重くのしかかってきた。
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子どもたちが出てくるのはもう少し先になります。
ぼちぼち見守ってくれれば幸いです。