第3種『名付け』
締切半日以上遅れてかつ文章短めの3話目更新です。
更新は5日おきを目処にしています。
絶対にエタるもんかっ!
改稿しました。最後のほうでセリフが追加されています。
誤字修正しました。
「そういえば、君、名は言えるかね?」
新婚(?)初夜を終えた直後、ハカセが唐突に聞いてくる。
「言われてみると、これ、出てこない。記憶が欠落してるのか」
俺の反応をを見て「うん、ヨシ」と肯き
「そうか、思い出せないか……では、私が名付けよう」
提案してくる。
「いや、いいよ。しなくて」
ヤった直後という状況も手伝ったのだろうか、俺はこっぱずかしくて思わず拒否してしまった。
「人に名を付けられるなんて、洗礼でもあるまいし」
「まあそういうな」とハカセは俺を制し
「私は名付けが好きでね。まあ研究者としての性分かな。分類が好きってことかもしれん」
勝手に命名式を強行。
「名は体を表す。私の好きなことばさ。だからね」
「君の名は『スライ』とする」
得意気に告げてくる。
「意味くらいあるんだろうな」
そう返すのが精一杯の俺に
「もちろん。まあ、前世では遺伝子の研究者だったものでね」
んっ? 前世? 遺伝子? まさかとはおもうが
「もしかして、ハカセは異世界転生者だったのか?」
「まあね。そしておそらく君と同郷だろう」
カマかけてみたらあっさりとゲロッた。
「いや、そこ確定だろ」
「魂の選定は邪神まかせだったからな」
思わせぶりな情報を流しつつも「まあ、それはさておき」と話しを強引に切り替えられ
「解説しよう。スライとは男性が持つY染色体上で生き残ってきた性決定遺伝子のことを言う。まあ正確にはSRYだけどね」
なんか小難しい説明始めるし……頭が痛くなるぜ。ならばこちらも話題転換かけてやるっ。
「じゃあ、ハカセの名の由来は? やっぱ子作りに関係してんのか?」
答えを渋るかと思えば「そのとおりだ」と首肯し、意気揚々と
「ベラという魚は成長に伴って性転換をするものもいるという。いざとなったら男になってでも子を作ってやるという私の意地の表れだな」
力強く言い放つ。よっぽどこの女は子を欲しているらしいな。
「言うねぇ。あえて意地と言いますか」
「そうだ。お互いに性別を超越してでも子を残すという強い意思を名に込めてある。だから、ね?」
そう言って手招きするハカセ。いやこれどうみても格闘技戦でよくある「こいよっ」的な挑発だわ。
「さぁ、君も意地をみせてくれ。種馬の意地をね」
「言われなくてもっ」
そうして俺は『種付け』を確実なものとするべくまた、ハカセの身体に折り重なっていった。
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子どもたちが出てくるのはもう少し先になります。
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