第2種『チューとリアル』
遅ればせながら2話目更新。
更新は5日おきを目処にしています。
それより短いスパンで更新できればよいのですが……がんばります。
誤字修正しました
見知らぬ場所(石畳の牢屋)で起きたら、見知らぬモノ(魔法陣)とエロいおねいさん。
あっこれ、あれかあ。
たまにアニメやドラマであるシチュエーションだ。
エロい状況で女から男へチュートリアルがなされる。まあ、だいたい女の方が圧倒的に主導権を得ていて、男はイヌ状態。なんでも聞きますワン!的な。
まあ、飴と鞭なんだろうけどさ、もしくは渾然一体化か……最高に興奮する、もう何でも命令してくださいワオーーーーンン!
って落ち着け俺ーーーー!
なに、心の声で遠吠えかましちゃってんの?
発情期なの?
まあオス犬は発情期のメスのフェロモンを嗅ぎつけ発情するって言うし、俺もこの女のフェロモンに当てられたってことか。なに、カッコ良くまとめてんだよ。
現実はめちゃカッコわるい、カッコ笑いだよっ!
だが、内心動揺する俺を歯牙にも掛けず、おねいさんは泰然として自己紹介。
「私はここの主のベラだ。研究者もやっていてね、まあベラ博士ないしハカセとでも呼称して構わないよ」
「では、状況を説明してあげよう」
と前置きしておねいさんは
「君は自慰の最中に心臓発作を起こして死に、異世界であるココに転生、もとい邪神の力を借りて私が錬成した。もちろん君の身体は私好みの若い肉体に調整してある……ジュルリ」
舌舐めずりした瞬間、ハカセの雰囲気が変わった。眼光鋭く、俺、蛇に睨まれた蛙状態。
やべぇこの女、マジでアブねえ。命の危機を感じる。でもエロい。あああーーー、板挟み。
「フフフ、とりあえず試してみるか。スキル展開『メスネイル』」
俺の葛藤など無視して、ハカセは言葉を発すると人差し指を立て、指の先にクリアーピンクの光を展開。あれ、これ、ビームの刃なん? しかも静かにこちらへと近づいて来る。
えっ俺、サツガイされんの? たしか、女郎蜘蛛ってヤッた後、オスを喰うんだよなあ。逃げられるオスもいるって話だけどさ。まあ、ヤり殺されるのも……イイな。
ってヤる前に殺されんじゃん!
ああもう、ビーム刃から目が離せない。そのままハカセは俺の後ろにしゃがみ、背後から優しく抱きしめ耳元で囁く。
「大丈夫だ。痛くはしない」
甘い吐息に心をくすぐられ、もうこのまま死んでもいいやと一瞬思った刹那、首元に熱が走った。
ああああーーーーいってえええええーーーー!
「痛くしないって、言ったじゃないッスかあーーー!」
痛みで思わず叫ぶ。でもあれ、喋れてる。血も出てないし首元が光に包まれて。
「ふう、実証終了。おつかれ」
一方、ハカセは一仕事終わったかのように落ち着きを取り戻して
「邪神の言ったことは間違っていなかったということだな。これでひと安心だな」
俺にレクチャーしてくれた。
「説明しよう。今の君はそこにある魔法陣から無尽蔵の生命エネルギーを得ている。致命傷の傷も即再生するほどにね。このエネルギーは邪神由来で錬成の都合上、君だけにきているものになる。まあ、つまり心臓とか脳とかの最大急所を即滅させなければ、君の身体は無限に再生するということだ」
「おっ、じゃあ無敵ってことだな。俺強え展開じゃん。ひゃっほう」
喜ぶ俺にハカセは「残念な知らせだが」と前置きして
「ちなみに君の身体を錬成したといったが、君は生命エネルギーを100パーセントその魔法陣に依存している。加えてエネルギーの供給には距離制限があり、離れる程に再生のスピードないし効果が減衰、10キロメートル程離れれば、君は死ぬことになる」
とんでもない事実をさらりと告げやがった。
「まあ、心配するな。ここにいる限りは安全だからね」
背後から抱きしめたままハカセは俺に口づけして
「これが契約の証だ。君にはモルモットとして協力してもらうことになるが、私の思うとおりに生きる限りにおいて、イイ思いをさせてあげよう」
痛みも絶望も跳び越えてこの口づけが、今まさに、この俺がこの世界にいるというリアルをありありと伝えてきた。
そして感傷にひたる俺を無視して流れるような仕草でに正面にまわって押し倒し、マウントを取るハカセ。
「目下の君のタスクは私を孕ませることだからね。期待しているよ」
転生後一時間経たずして俺はこの世界での童貞を失うことになった。
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子どもたちが出てくるのはもう少し先になります。
ぼちぼち見守ってくれれば幸いです。