2 遺言1
「やっと来ましたか。」
馬が走ってくる音が聞こえる。
「って、最近ないと思ったら・・・あんたですか・・・大佐・・・。」
「久々ですね。エイツくん。」
「ちっ!」
「おやおや。」
「せんぱ~いっ!」
「遅えぞっ、ミサっ!」
「すいません、すいません。」
「エイツくん、そちらは?」
「ちっ!
面倒くせえ、ミサ!
自分で自己紹介しろ。」
「はっ、はいっ!
み、ミサですっ!
か、階級はぐ、軍曹ですっ!
よ、よろしくお願いしますっ!」
「おやおや、これはご丁寧に。
私はアルバート・クロイツ。
階級は大佐・・「た、大佐っ!」・・まあ、今は軍と距離を置いているので、
遺言屋とでも覚えていただければ・・・。」
「エイツ大尉、牢から人が見つかりました。」
「わかったっ!」
「おっと・・・見つかりましたか・・・。
それでは私はこれで・・・ミサさん。」
「は、はいっ!
大佐殿っ!」
「エイツ君を頼みますよ。それでは。」
「ちっ!
誰に頼んでんだよっってんだっ!」
「・・・先輩?」
「あいつはいつもああだ!
俺のことを下に見ていやがるっ!」
「いや、そんなことは・・「あるんだよっ!」・ひいっ!」
「コラッ!エイツ!
なに後輩をいじめてるのっ!」
「ちっ!
ラルクっ!」
「へえ~私に舌打ち・・・いい度胸ね、居眠りエイツくん?」
「ちっ!」
エイツは先ほどの兵のところに逃げるように歩いていく。
「ラルク先輩?」
「どうしたの、ミサちゃん?」
「・・・聞いていいのかわからないんですけど?」
「うん。」
「エイツ先輩とアルバート大佐って何かあるんですか?」
「う~ん・・・どう言えばいいかしら・・・。」
ラルクは頬に手を当て、
困ったものね、
といった風に言う。
「・・・まあ、強いて言うなら・・・。」
「言うなら?」
「エイツはアルバート様に嫉妬しているってところ・・・かしら?」
「・・・嫉妬・・・?」
「あいつと私はアルバート様と同期でね。
それでちょっとね・・・。」
「はあ・・・。」
さあ、仕事仕事といった風にラルクは村人を襲った人たちのところへ向かう。
「・・・よくわかりませんね・・・後で聞いてみましょう。」
私は例の依頼書を手に牢に入れられた人のところに向かう。
・・・ここにおそらく・・・。
「クランさんはいらっしゃいますか?」
すると、一人の老婆が手を挙げる。
「ええ、私がそうです。」
少しやつれてはいるが、
優しげな雰囲気をした人だ。
「申し遅れました。
私、遺言屋を営んでいるものです。」
「えっ?
遺言屋?」
「時間がありません。
すぐに旦那さんのところへ。
今から、彼の遺言を開封いたします。」
「は、はいっ!」
私と彼女はそこから離れ、
教会の安置室に向かう。
私はしおりを取り出す。
すると、私の体は光を帯びていく。
「・・・綺麗・・・。」
私は彼の心臓の上に手を置く。
すると、
・・・一冊の本が出てくる。
そうこれが彼の人生の記録。
私は本の上にしおりを置き、
「リーディング・・・。」
・・・なるほど・・・。
これならそのままでも・・・。
「・・・どうか私たちに彼の最後の1ページを見せておくれ・・・。」
瞬間、最後の1ページにしおりを差し込む。
すると、
光がここを包み込む。
そして・・・