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11,来敵‐カミング‐


 ムートとの試合を終えた俺は、カードショップから出たすぐのところでルカと向かい合って立っていた。


 「何だったんだアレは……」


 いろいろと困惑しているというのが正直なところだ。真っ白のカードがいきなり絵のあるカードになるし。それに、試合終了間近でムートが逃げ出したことも。


 「彼のことは……冷静な思考ができなくなる状態にまで毒されていたのかもしれないわね。本人にしか分からないことだから、それについてはなんとも」


 さすがにこれについてはルカでも把握し切れていないらしい。


 「カードの書き換えについては、クリエイションカードの能力。今解放されているのはその真価のほんの一部でしかないわ。全開まで行けば、さらにすごいことができるはずよ」

「例えば?」

「それは……わからないわ。クリエイションカードの効果は人によるから」


 なるほど、人によるのか。ということは、どうなるかはなってみるまで分からないというわけか。

ん? まてよ、なぜそんなことが言えるんだ? このカードを持ってた前例でもいるのか?


 「人によるってことは、もしかして俺以外にもこのカードを持ってた人がいるのか?」

 「ええ、いるわ」


 初耳だ。別に俺が特別な存在だとは思っちゃいないが……いや、ほんとは少し思った。まわりの連中が見えていないようだったから、ちょっとだけ浮かれていたのだ。ちょっとだけな。


 「あなたにこれからやってもらいたいことは、あなた以外にもクリエイションカードを所持した人物がいるはずだから、その人たちを見つけ出すこと。彼はあなた一人でも大丈夫そうだったけど、カードの偽造を行っているのはもっとたくさんいるはず」

 「待ってくれ、俺はまだ協力するとは一言も……」

 「でも、あなたのお友達はかなり危険な状態だったわよね?」

 「危険な状態……」

 「カードの偽造には、高い中毒性がある。放っておけば、近い将来なんらかの問題を起こしてもおかしくない」

 「そんな……!」

 「助けたいんでしょ?」

 「……あぁ」

 「なら、選択肢は一つね」


 カードの偽造によって性格がねじ曲がり、犯罪に走ってもおかしくない。あのムートがおかしくなってしまったんだ。これは間違いない。

そして、そんな状況にいる人間はもっとたくさんいる。


 「偽造に対抗するのは困難を極める。普通の戦い方しか知らない一般人ならね。でも、クリエイションカードの保有者は違う」


 クリエイションカードもまた、自分にとって有利なカードを生み出せるから、だろうか。

どうであれ、今のムートみたいになっているヤツがいるなら助けてやりたい。


 「クリエイションカードを持ってる奴を探せって言ってたけど、俺はどうすればいいんだ?」

 「手っ取り早いのは人が多く集まる大会に参加することね。そういうのない?」

 「大会……そういえば」

 「あるの?」

 「あぁ、たしか……なんて言ったっけ?」

 「R-ageだ」

 「あ〜そういえばそんな……」


 誰の声? 振り返ると長髪の少女がいた。口元が曲線を描き、余裕の笑みを見せている。声を発したのは彼女のようだ。


 「だ、誰だアンタ?」

 「失礼。私の名は蓮ストンだ。突然だが、君にバトルを申し込む」


 自己紹介もサッと切り上げ、矢継ぎ早に勝負を挑んできた。


 「え? なんで突然……」

 

 俺が困惑していると、ルカが息をのんだのが聞こえた。


 「!? アスカ、この女、()()()()わ!」

 「なんだって!?」


 じゃあこいつが、探してた所有者なのか?


 「君が私に勝てたなら、私は君に協力しよう」


 いきなり交換条件を突きつけてきた。勝てば協力するという、オーソドックスなやつだ。

こういうのは往々にして負けたときの条件がキツい場合が多い。そこもしっかり聞いておく必要があるだろう。


 「俺が負けたらどうする気だ?」

 「別に。どうもしないさ。協力もしない」


 予想外の答えが返ってきた。見返りもなしに戦うとは考えづらい。何か裏があるのだろうか。


 「何か妙な勘ぐりをしている様だが、他意はない。私の目的は君と闘うこと。勝負を受けてくれるのならば、その時点で私の目的は達せられる」


 なるほど、あちらにはそういう意図があるのか。迷わない訳ではないが……。


 「さあ、どうする? 私と闘うかい?」


 こいつが俺と同じようにクリエイションカードを手に入れたならば、ルカのような人物にもらったはずだ。ということは、ある程度人格というか、偽造カードに手を出していないのは担保されている。


 「わかった。断る理由もないしな」

 「よかった。じゃ、始めようか」


 ストンと名乗った人物の笑みがより強くなる。


 「それは良いんだが、どこでやるんだ?」


 やはりさっきのショップに行くのが良いのだろうが、あの試合の後だからな。かなり行きづらい。


 「いや、ここでいい。広い方がいいしな」

 「ああ、じゃあここで」


 向こうが特にこだわらないのなら、こちらもこだわりはない。


 「じゃあ早速始めるか」

 「そうしよう。クリエイション!」

 「!?」


 突然地面が盛り上がり、木の根のようなものがあちこちに現れる。気づくと、あたりは日の光も届かない密林と化していた。


 「これは……!」

 「これが私のクリエイションカードの力……フィールドジェネレイトだ」




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