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【この人、実はドラゴンじゃない?なぜそう思った?】

俺達は医療機関である魔法力風呂を復旧させた。

そして次の目的地であるザイムカン領の領主、つまりユーキィの父のところに向かっていた。


ザイムカン領の主たる産業は鉱物の採掘である。

この世界には主にパゲを光らせるためにだが食料、酒、あるいは本、CDといった日本から購入したものが沢山ある。

これは召喚術を使って日本語の出来るものが買い付けに行くのだが、当然日本円など保有していない。

そこでザイムカン領で採掘される鉱物から日本で高く売買されているプラチナやルビーなどの貴金属を持って日本に行き、売ったお金で買い付けるということだ。


現在はその採掘用の魔法力を供給する神殿が沈黙していて、そこの復旧を依頼されたというわけだ。

この世界の外貨獲得手段の復旧ということになるな。

これもなかなか重大な任務である。

なお魔法力さえ回復すれば貴金属はコンベアのような装置が自動的に運んでくるので、誰も働く必要はないという。

羨ましい話だ。


ザイムカン領は山間部が多い領地だ。

なので移動手段は魔法力馬車ではなく、トロッコ列車である。

といっても、スリリングなものではなくて遊園地にある小さな子供用の乗り物という感じだ。

二人乗りの椅子が4つ連結されている。

先頭にユーキィとスヮクラ。次に俺、その次にアールァイとカーネモットが座っている。

スピードはそれなりには出ているのだろうが、登りも下りも同じ速度のためずっとエスカレーターに乗っているような感覚。

音もしないし、風も防がれている。

周りは360℃見渡せるが、とにかく岩山である。

楽だ。楽ではあるが、暇であった。


「なぁユーキィ、ユーキィの家族ってどんな人達なんだ?」


俺は当然のごとく、世間話を始めようとした。


「私の家族が気になるのかっ!」


ユーキィはテンションが高いままだなあ。

みんな魔法力風呂に入ったお陰で、やたら元気ではあるんだが。


「まぁこれから会うわけだし。普通気になるだろ」

「普通か。普通に気になるのか。特別気にはならないのか」


俺からは金髪ポニーテールの後頭部しか見えないのでユーキィの表情はわからないが、テンションがダウンしたな。


「うーん、そうだなぁー、ユーキィの姉妹だったらさぞ美人だろうからそこが気になるかな」


俺はわざとからかってみた。


「んなっ!? それはどういう意味だ! やはりロリコンだから私よりも私の妹に興味を!?」


みんなして俺をロリコンにするなよ。

からかったつもりなのに、からかわれている気分。


「ユーキィの妹は可愛いですよお~。 髪の毛ふわっふわでぇ~、ほっぺもぷにぷにでぇ~」


スヮクラはユーキィの妹を知っているらしく説明してくれた。

声からしてスヮクラが溺愛している感がある。

そんなに可愛いのか。

……楽しみじゃないか。


「お姉様~、お帰り~~」


到着した俺たちを早速、ユーキィの妹が出迎えてくれた。

うむ。

確かに可愛い。

可愛いが、思ってたよりもお若いですね。


「オグーラァ~、お久しぶり~」


スヮクラがひょいっと抱っこした。


「いい子にしてたか~」


ユーキィが頭をなでた。


うむ。

微笑ましい風景だ。

ニッコリと見ていると、カーネモットがマントを引っ張った。


「お兄ちゃんは、ああいう若い子が好きなんですね」


いやいや、若すぎるよ。

どう見ても幼女じゃないか。


オグーラァと呼ばれたユーキィの妹はおそらく8,9歳くらいと思われる幼女だった。

フワッフワの金髪を両側にリボンで止めており、まつ毛たっぷりで大きな二重、瞳はブルー。ほっぺがピンク色だ。

領主の娘らしく、フリルがいっぱいの黄色いドレスを着ていた。

まあ、似合うこと。

お嬢様というか、王女様と言われても納得だ。


さすがに俺は、彼女に性的な目を向けることはない。

カーネモットも充分若すぎると思う人もいるだろうが、彼女は男を誘惑するフェロモンを大量に生成する特殊能力の持ち主なんだ。多分。

だから仕方ないんだよ。


「子供も好きだけど、カーネモットみたいなレディも大好きだよ」


俺、こんなクサイこと言える人間だったっけ。

我ながら怖いよ。

カーネモットは男を変えてしまうんだ。

魔性の女だよ。


「そっかー! 私は子供じゃないもんね!」


カーネモットはるんるんと駆けていった。

喜んでくれたみたい。

まぁ子供扱いしないことで喜ぶのは子供だけどな。


「レバ殿、やはりカーネモットを性の対象としてみているようですなぁ~」


右後方からおぞましき声が!

間違いない、アールァイだ。


「なに言ってるんだ、アールァイ。あんな子供だましのセリフ、子供にしか言わないだろ」

「つまり子供に興味があるということじゃな」

「な、い、ん?」


アールァイの方を振り返ったら、アールァイの服がまた変わっていた!

巫女服からメイド服になったときも唐突だったが、今回も突然すぎる。

バリバリのロリータ・ファッションに着替えていた。

水色と白のドレスで、不思議の国のアリスのイメージに近い。

アールァイは魔法整形でわざと背を低くしているためメチャクチャ似合っている。

巫女服もメイド服も良かったがコレは……かたじけないね。


「レバ殿……やはりこういうのがお好みなのですな」


フゥーとため息をつくアールァイ。


「いやいや、アールァイ、これは仕方ないだろ、似合いすぎだよ」


ホントに。

目が離せないって感じ。


「ふ、ふむ、まぁカーネモットを守ることができそうで何よりじゃ」


カーネモットの愛らしさとは全く違うけど、アールァイも可愛すぎるだろ。

もともと目が大きく目鼻立ちもしっかりしているのでドレスが似合う似合う。

髪は黒髪だがサイドポニーだった髪をほどいて、大きめのカチューシャをつけていた。

茶色のパンプスも白と黒の太めのボーダーのオーバーニーソックスも抜群に似合っている。

メイド服では胸元を開けていたが今回はボタンをきっちりと嵌めて肌の露出は少ない。

どこからどうみても完璧なロリータだが、その状態でも隠しきれない胸の大きさのアンマッチがなんとも素晴らしい。

一見不釣り合いな眼鏡もメイド以上に有効に機能しているように思えた。

この完成度の高さは一体なんなんだ。

うーん、これは見れば見るほど……


「~っ、見すぎじゃぞ! もう!」


そう言うとトテトテと逃げていった。

確かに長いことジロジロ見ていた気がする。

それにしてもめちゃくちゃ照れてんじゃん。

アールァイの新たな一面を見てしまった。


カーネモットとアールァイが行った先を見ると、なんとオグーラァがふわふわと浮いている!

何が起きているのか、確かめようと俺も走って近づいた。


おおう!

これは授業中に噂には聞いていたドラゴンじゃないか。

ベビードラゴンとでもいうのか。

大型犬くらいの大きさのドラゴンにオグーラァがまたがって乗っていた。


すっげー!

マジだよ、ドラゴンだよ。

こんなちっこい翼でどうやって浮いているんだろう?

俺は興奮しつつ近づいていった。


「きゃあ!」


オグーラァがスカートを抑えた。

ん?

なんで?


「レ~バ~丼~」


なんか懐かしい感じ。

ユーキィが激おこのときのセリフに似ているね。


「私の可愛い妹のスカートを覗こうとは、許されないロリコンだな、貴様は」


げえっ!

そういう風にとられましたか!

とりあえず逃げよう。


「違うよ~、俺はドラゴンを近くで見たくてさぁ~」


釈明しながら逃げた。

ユーキィとスヮクラが追っかけてくる。


「お前がドラゴンなんかに興味があるわけないだろう! 貴様が興味津々なのは幼女だろう!」

「賢者様~! 素直に謝れば許してくれますって~!」


ひでえ言われようじゃん!

すたこらさっさと逃げていると大きなドラゴンがいた。

大きなといっても、まぁ馬くらいかな。

俺の知ってるドラゴンってのはもっとずっとデカイ。

興味があるので、近づいていくと、ドラゴンのものと思われる声が聞こえた。

低くて野太い声。


「 Can You Speak English? 」


えっ?

英語じゃん。

大学落ちたからって、さすがにこの程度の英語はわかるぞ。

俺は立ち止まってドラゴンを会話を試みる。


「 Little. 」

「 Okey. 」

「 Nice to meet you. 」

「 Nice to meet you too. 」


なんか話が通じるぞ。

ネイティブの英語教師と初めて会った時みたいな感じだな。


「け、賢者様!? まさかドラゴンと会話できるのですか?」

「な、 なん……だと……」


追いついてきた二人が驚いている。


「うーん、まあね。ある程度はできそうだよ」


だって、英語だもん。

そんな得意ではないが、まぁドラゴン相手に趣味やビジネスの話もしないだろうし。


「ドラゴンと会話って……伝説になるレベルだぞ」

「賢者様、頭悪くなかったんですね……」


褒められているのか、ようやく人並みになったのか。

考えていると紫のベビードラゴンに乗ったオグーラァがふよふよと近づいてきた。


「まあドラゴンテイマー様でしたの! ステキ! 旦那様にしてあげる」ちゅっ


立ったままの俺に高さを合わせてオグーラァがベビードラゴンに乗ったまま、ほっぺにチューしてきた。

可愛らしいことだな。


「んがああああ!」

「ぬおおおおお!」


どうした、ユーキィとスヮクラ。

二人揃って天を仰ぎながら絶叫とは。

特にスヮクラはこんな雄たけびをあげたことはない。


「オグーラァー! レバ丼に何をしてるか―!」

「賢者様! なんという羨ましい事を―!」


絶叫の理由は二人異なるようだ。

よくわからんが俺は悪くないよな?


「こらオグーラァ! あ、あ、あのような男にキ、キ、キスなどとんでもないぞ!」

「そうですそうです! するなら私にしてください!」


ふよふよ浮いているオグーラァに食って掛かる二人。


「あら、お姉様。ご自分でおっしゃったではないですか。伝説になるレベルだと。それをあのような男とは。お姉さまは男を見る目がないのではないかしら。あとスヮクラにはこの子がしてあげます」


ベビードラゴンにキスされるスヮクラ。

がっつりと顔全部がベビードラゴンの舌でねぶられていた。


「っきゃぁあー!」


両手をあげて逃げていくスヮクラ。

南無。

それにしてもこの幼女、とんでもなくしっかりしてるな。

ユーキィとスヮクラが翻弄されている。


「レバ丼はなぁ、え~っと、なんだ、その、ロリコンなんだ。だからやめておけ」

「あら、それならちょうどよろしいではありませんの。正式にお付き合いを申し込ませていただきますわ」

「な、な、な、な」


どうやら姉妹喧嘩が勃発しているようだが、オグーラァが一方的に強いな。

それにしても子供の言うことにいちいち反応しすぎじゃないか?

あの頃の歳なんて、将来の夢がウルトラマンだったりパパのお嫁さんだったり女子便所の便座だったりする年齢だろ?


「レバ刺しどんぶり様、どうか私とお付き合いいただけませんでしょうか」


オグーラァがドラゴンから降りて、ドレスの裾をつまみながら座って頭を下げた。

おそらく最大限の誠意を示しているものだろう。

これは俺もきっちりと返事しなければ。


「これはこれは。麗しいオグーラァにお誘いいただき光栄の至り。ですがまだ私にとっては若すぎるかと存じます。10年後に気持ちが変わっていなければもう一度お誘いくださいますでしょうか」


うやうやしく紳士的にやってみた。


「まあ、やはり私の目に狂いはありませんでしたわ、なんてステキな殿方」ぽっ


目がハートになるオグーラァ。


「なっ、なんだ! そんな態度、私には見せたことないだろレバ丼!」


怒り出すユーキィ。


「それはお姉様が淑女でないから、紳士的になっていただけないのでは?」


ズバッと切り返すオグーラァ。

ぐぬぬとなるユーキィ。


「よくわかったね、その通りだよ。オグーラァは賢いな」


そっと頭を撫でる俺。

目がハートになるオグーラァ。

怒り出すユーキィ。


なんだこれ!

このままだとヤバイ!

別に俺はオグーラァと付き合いたいわけじゃないし、ユーキィを怒らせたいわけでもない。

つまり何一つ得をしない方向に進んでいる。


「すまない、オグーラァ。俺には使命があるんだ」


俺は任務に戻ることで収束を図ろうとした。


「そうでした、神殿にお連れいたしますわ」


ベビードラゴンに乗った幼女に連れられて、俺達はようやく神殿に入った。

スヮクラはドラゴンに顔を舐められた後、どこかに行ってしまっていない。

ユーキィはオグーラァが巻いた。

神殿に入るのはオグーラァとカーネモット、アールァイと俺の4人だ。


【お題】この人、実はドラゴンじゃない?なぜそう思った?


今回のお題はドラゴンに関するものだったか。

ふーむ。

これは日本だと実在しないけど、こちらだと本当にいるからお題の意味が異なるな。


「はいはい! できました!」


カーネモットはいつも積極的である。


【お題】この人、実はドラゴンじゃない?なぜそう思った?

【答え】くしゃみのことをブレスって言った


うんうん、相変わらずカーネモットは優秀可愛いね。


「さすがカーネモット。このお題はドラゴンに関するキーワードをどこかにいれてボケる、で正解だね。日本だったら、ドラゴンっていうとゲームやらアニメやらカンフー映画やらの話にできるからボケやすいけどこっちだと本当にいるからむしろやりにくいな」


アールァイは大喜利に参加せず相変わらずメモメモしているが、ふしぎの国のアリスな格好をしているので非常にメルヘンである。


「お兄ちゃん、お手本頑張ってね」

「旦那様、お手本頑張って」


オグーラァがもう俺のことを旦那様と呼び始めているぞ……。

とりあえず、気にせずボケることにする。


【お題】この人、実はドラゴンじゃない?なぜそう思った?

【答え】ドラゴンキラーで首を掻っ切ったら死んだ。


そんなもん誰でも死ぬわ!っていうね。


「お兄ちゃん、ステキ―」

「旦那様、最高ですわー」


俺はスポーツ選手か。

褒めてないで笑え!

……もう一回ボケよう。


【お題】この人、実はドラゴンじゃない?なぜそう思った?

【答え】好きな女性のタイプのところにヨルムンガンドって書いている


こりゃもう言葉の面白さだよね。


「さすが、お兄ちゃん!」

「よくわかんないけど凄いよ旦那様!」


こんな嬉しくない賞賛があるだろうか。

ええい、所詮子供にはわからんのだよ。

パゲ光ってるもん。

これで俺の任務は完了だもん。


「じゃ、お兄ちゃんご飯食べに行こー」

「旦那様、我が家でお風呂を沸かせておりますわ」

「そうじゃそうじゃ、休もうぞ」


俺は流されるまま、やたら居心地のいいロリハーレム(見た目のみを含む)とユーキィのお屋敷へ向かった。

ユーキィいないけど。





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