タロットカード
今回のお話は実話、つまり私自身の昔話です。
まあ昔、といってもびっくりするほどじゃない……よね?
まあその辺は……ゴニョ……
先日親しくさせてもらっている方の所でお話して思い出しちゃったんだけど、なんか懐かしくなったので随筆的に書いてみました。
あれは高校一年の夏、だったかな?
ふとしたことで占いに興味を持ちだした私は、学校近くの本屋に入り、ぼんやりとも必死にともつかない態度で本棚をずーっと見て回ってて……
個人経営の小さなお店だったから品揃えが少なかったのもあるけど、たった一つだけ見つけた古めかしいハードケース。
それは白い装丁で、確か「タロットカードの秘密」とかいう題名だったかな?
ピンッ! とくるものを感じて手を伸ばそうとしたら、あれ? 全然届かない!?
実はとっても背の低い私は、一番上の棚に置いてあったその本に全く手が届かなかったの。
泣く泣く店番をしていた年かさの奥さんに事情を話し、脚立を使って取ってもらった私。
定価は確か二千円、ちょっとお財布に痛い金額だったけど、素直に出そうとしたら……
「もうずっと前から売れ残ってるものだから、半額の千円でいいよ」
って奥さんが言ってくれて、ほんとにいいのかなあ、なんて思いながら買ったのが私がタロットカードと出会ったきっかけ。
ちなみに、日本では「タロットカード」と一般に言われているけど、正しくは「タロゥ・カード」なのだそう。
私の買ったものは「大アルカナ」のみの二十二枚入りだったんだけど、これがまた時代がかった絵柄のフルカラー! あまりの高級感にちょっとびっくりしちゃって、しばらくはただまじまじと見てたような気がします。
絵柄的には完全に古代エジプトを意識したもので、かなり原色っぽい色付がされていたような記憶があります。まあ記憶がある、というのも今では妹のお友達の手に渡っているせいで確認のしようがないからなんですけど……
あ、そうそう! 「タロットカード」は知らない人もちらほらいるかもしれないけど、「トランプ」はみんなもよく知ってると思う。でもこのトランプの原点が「タロットカード」の「小アルカナ」にあるって知ってる人は多いのかなあ?
なんか説明が続いちゃったのでここでラスト、タロットカードの枚数について。
一般的なタロットカードは、大アルカナ二十二枚と小アルカナ五十六枚からなります。と、ここで「トランプは五十二枚しかないよ?」と気付いた方、あなたは鋭いっ! 実はタロットカードの絵札はトランプと違って各マークに四枚ずつあるのです。
番号の小さい順に「ページ」「ナイト」「クイーン」「キング」なのね。たぷんトランプの「ジャック」は、タロットのページに当たるんじゃないかな? あとトランプの五十二という数字は一年が五十二週からなる、という意味に掛け合わされてるとも聞いたことがあるし……あ、ごめんなさい、なんか脱線しちゃってるです……
で、トランプとタロットカードの最大の違い、というのが、「タロットカードには上下の区別がある!」ということで、上下がひっくり返ると全く別の意味になるのです。特に一枚で大きな意味を持つ大アルカナのカードは不幸を象徴するカードも上下が逆になると「不幸から脱出、または回避できる」幸運を意味するものなんだとか。だからシャッフルの仕方もトランプとはぜんぜん違うのです! トランプみたいに「カードを切る」混ぜ方は絶対しないから要注意ね!
それと、少し話が脱線するけど、パパが「昔の歌謡曲に ~タロット投げて……占ってみる~ という下りがあったな」って言ってたけど、これも間違い。ほんとに占う時は広くて平らな場所にカードを裏向きに広げ、「濃いスープを混ぜる」ようなイメージでグルグルとかき混ぜます。この時、私が大事にしてたのが「まず雑念を捨てて、占いたいことだけを考える」こと。ただ一つのことを考えながら静かにカードをかき混ぜて行くと、不思議と気持ちが落ち着いて、何かが「ピンッ!」とひらめくような、うーん、インスピレーション、って言うのかな? を感じるわけです。多分これが一種の霊感なのかも。
そこで混ぜる手を止め、カードを一つの山に静かにまとめて前もって決めておいた配列にカードを表に返しながら並べます。
この配列にも「ピラミッド法」とか「ホログラム法」とか、他にもあったかな? 色々あるけど、私がよく使ってたのは「ケルト十字法」。占いたい事柄の問題と各時間軸での状況、キーとなる要因などなど、順序立てて理解しやすかったのよね。
高校生といえばまあ、関心があるのはみんなだいたい一緒だと思うのであんまり上げないけど、やっぱり結婚とかは気になるよね。私も一度占ってみて、婚期は確かビッタリ当たってたような。 え? 占いの内容? 歳がバレちゃうからさすがに勘弁してくださいですぅ!
まあこう見えても「中学生と間違われる」外見を持つ主婦なので、まあ実際の歳は適当に想像しちゃって……やっぱ欲しくないなぁ。
あれから最初のタロットカードとお別れして、って、ついでだからその経緯も説明しておこうかな? 決して粗末な扱いでお別れしたわけじゃないからね。
あれは確か卒業後の進路とかで余裕がなくなってた頃に、もうタロットカード使うこともなくなってて本棚の片隅にしまい込んでた私。ちょうどその頃妹のお友達が「タロットカードに興味がある」とかで、妹が気を利かせてお誕生日プレゼントがしたいって。
「それならこれ、あげたらどう?」って使う機会のなくなったタロットカードをまるごと妹に預け、それからお友達の手に渡ったんだからきっとカードも不幸じゃなかったはず。だってそのお友達、「すごく綺麗なカードで大感激!」してたらしいから。
すごく大事に扱ってたものね。
あれから月日がが経ち、少し余裕ができた頃には私は小アルカナも入ったフルセットのものを買ったんだけど、こっちは結婚してもう日の目を見ることもなくなっちゃったかな? 考えようによっては新しいカードのほうが不幸だったかもしれないね。
たまには出して、占いでもしてみようかな? その前にどこにしまいこんだか覚えてるといいけど……
つまらないお話ですけど、読んでいただきありがとうございます。