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04

-解決編 04-


「私たちは何時しか付き合うようになった。各々のクラスメイトたちには内緒で。私は公にしても全然構わへんかったんやけど――『学園の美女トップ3を争う人気物の君と付き合ってるなんて知れたら、周囲の男子たちからどんな目で見られるか……』って彼が嫌がったの。彼、目立つことがとても嫌いやったし」


 悲しそうに顔を歪める華子。と同時に、俺の心も切なく歪む。


「だから密会の場所は何時も、百万遍にある彼のマンションやった。そこで何時も私たちは――」


 濃密な愛を育んでいた――などという聞きたくもない台詞を遮るかのように、俺は素早く口を挟んだ。


「推理ゲームを楽しんでいた。解答紳士XエックスとアラシのKoo±(コー)として」


「そうよ。トオルも知っての通り、私の趣味は映画とミステリ小説。そうね、年間百冊は読むかな。あなたの小説家志望の親友くんにも負けてないでしょ?」


 サイトは執筆の合間に自分の書評ブログを年間三百回以上更新している。学校にも出て来ず、バイトもせずに、だ。名探偵のお嬢様とはいえ、時間を持て余した世捨て人には敵うまい。


「そのミステリの知識を活かして、わたしはツイッター上に読者への挑戦状形式の推理ゲームを立ち上げた。でも、私の出題が難解すぎたのか、誰も推理にチャレンジしてくれはらへんかった。そやから私は――」


「河本にパイロットフィッシュの役を――カレシにサクラを頼んだんやな」


「ええ、そこはさっきトオルが披露した推理の通りよ。誰も触れない、二人だけの世界くに。そうやって私たちは、何時も肩を寄り添いながら二人で推理ゲームを楽しんでいた。そう、あの娘が現れるまでは」


「椎名さん――やな?」


 凍て付く真夏の屋上。華子の憂いを帯びた表情が、一瞬にして冷酷な様相に変貌する。まるで般若の面のように。


「そうよ。あの娘の存在が、私たちの歯車を狂わせた」


(つづく)


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