表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/30

宵の灯


「暁ちゃんがいる高校、分かるかな?」

 想太さんが聞く。手元のミルクティーはもうすでに冷めきっている。

「わかんないです」

 ポツンと呟くと、

「そうか」

 と想太さんは苦笑いした。

「そんなに困った顔しないで」

 どこまでも優しい想太さんに、ちょっと泣きそう。こんなに優しい人と一緒に居れて、自分は幸せ者だ。

 だから。

 だから、と強く思う。


 自分は幸せだからこそ、暁を放っておいちゃいけないんだ。

 この幸せに浸って、立ち止まってはいけないんだ。


「多分、ですけど」

 あたしと同じくらい幸せに想太さんの気持ちにこたえたくて、

「暁がいるところ、並木町だと思われます」

 自信は無いけれど、あの日父さんが『並木町に』どーたらこーたらと言っていた気がする。そのときあたしは『暁と離れ離れになっちゃう』ってことで頭がいっぱいで、よく聞いていなかったけれど。

「男子校で、武道が強いところ…しか分かんないです」

 自分の頼りなさに、ちょっと眉を下げる。

「ううん、並木町ね。俺の出身校があるところだから、いろいろツテを探ってみるよ。情報ありがとう」

 並木町に想太さんの出身校があるなんて、初めて知った。ツテがあるなら、暁探しもはかどるかもしれない。

「こちらこそ、ありがとうございます」

 感謝してもしきれなくて、あたしはテーブル越しに深く頭をさげた。


 頼りがいのある想太さんの協力のおかげで、光が見えてきた。


 ここからは、あたしがしっかりしないと。全力で暁に会いに行かないと。


 待っててね、暁。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ