暁の動
宵に、会いたい。
唯人に「関わるな」と言ってから、無性に会いたくなってきた。
どうしても、会いたい。
大好きな妹の姿を、一目見たい。
もう何年会っていないだろう。三年目を数えたあたりから、悲しくなって辞めたのだ。
宵と離れ離れの年月を数えるなんて、悲しすぎる。双子らしくない双子のあり得ない時間を数えたって、空虚な時しか流れない。
そのころまだ幼かったはずのわたしは、もうそこまで悟っていた。
わたしは今、宵会うために何ができるのだろう。
探す?でもそれは、不可能だ。
どこの女子高に入っているのか、わたしには見当もつかない。あの親父なら、県外と言うことだってありうる。
下手に捜索しているのがバレて、親父に見つかっても何も言い返せなくなるし。
となると、やっぱり頼み込むのか?親父に「宵に会わせてくれ」と。
それなら、土下座覚悟だ。あの人は、どうやってもわたし達を許してくれそうにない。だって、わたしたちが、
母親を殺したと思っているのだから。
思いだしたら、また辛くなってきた。今日はもう、そろそろ寝るか。
嫌なことは、心にふたをしてしまうのが一番だ。辛いことは、見ない振りをするのが一番だ。
そうやってわたしは、長い間自分を守ってきた。