始まりと終わり
私が生まれたのは父と母が愛を育み性交渉をしたから。私が生まれる為に必要な父と母も祖父と祖母が愛を育み性交渉をして生まれたもの。祖父と祖母も同じように曽祖父と曾祖母が愛し合った為だろう。この世界で、この連鎖は永遠に続き、途絶えることはない。私の始まり、父、母の始まり、祖父、祖母の始まり、その全てを辿っていくと、創造論と進化論というものに出会う。ヤハウェによって人間アダムとイヴが作られたとか、猿が進化して人間になったとか、やはり始まりは存在する。創造論では神が7日かけて地球を造ったと書かれている。一般的には宇宙で何処かの星が爆発してその塵やガスが渦を巻き、その中で冷えて固まった粒子が集まって出来た微惑星が次第に周りの微惑星を取り巻き大きくなったのが地球だと言われているが、未だにどうやって生命が誕生したのかは証明されていない。パンスペルミア説とか科学進化説とか色々説は存在するのだが、未だに良く分からない。それでも、どうにかして生命は誕生したと考え、地球の誕生も何となく分かるだろう。それでは、宇宙はどうやって生まれたのだろうか。これは誰でもご存知であろう。頭の弱い私ですら知っている、ビックバンと呼ばれる現象が元で宇宙は誕生したらしい。それでは、その現象はどのようにして起こったのだろうか。何か原因があるとすれば、その原因は何処で生まれて、どのように育ってきたのだろうか。
全てに「始まり」があるというこの理論、私は大好きである。私が今までの人生で見てきたもので、始まりが無いものは無かった。畑で作っている野菜にしても、花壇の花にしても、飼っている犬や猫にしても、種があり、球根があり、親があり、それによって、その「始まり」によって生まれてきているものなのだから。
最初に、この連鎖は永遠に続き、途絶えることはないと私は書いたが、これは間違いである。「始まり」が存在すれば「終わり」も存在する。私を生んだ父や母、父や母を生んだ祖父や祖母、祖父や祖母を生んだ曽祖父や曾祖母。その誰もが今も生きているわけでは無い。生まれる始めが在れば死ぬ終わりもあるのだ。この地球だってそうだろう。生命が生まれ、生命が死ぬ。この連鎖が続くのは後、何年なのだろうか。
「あと何年かって聞かれれば、それは答えれない。だって、今を生きている私に未来なんてわからないでしょう?ドラ●もんのドコ●モ●アが使えるっていうのなら話は別だけど……ただ、私たちはその結果を見ることは出来ないでしょうね。地球が終わるということは、この世の生命は全て終わるという意味で、生命が終わるということは私たちも勿論死ぬことになる。生まれることも無ければ、そのまま生きれるわけではないわ。地球が終わってから生命が終わることは不可能に等しいと思うから」
少女はそう言うと溜息をついた。
全くである。
私も出来るものなら地球の最後というものを拝んでみたいのである。地球が終わる前に、生命が終わるという理論。正直、私は悩んだのだ。最初は本当に意味が分からなかったのだ。それでも、よく考えれば何となく分かってくると思う。車や何かで派手な交通事故を起こしてしまった人なら簡単に分かるのかもしれない。