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夕暮れを分かち合う―「自分は幸せになってはいけない」と信じた司書と、「愛するほど誰かを傷つける」と諦めた男が、雨の喫茶店で出会った。親を介護する二人の、静かな恋物語。

作者:かーすけ
最新エピソード掲載日:2026/05/15
三十七歳の図書館司書・高橋志乃は、認知症の兆候が出始めた父を一人で支えながら、谷中の古い家に暮らしている。
二十代の頃に経験した中絶と別れ。その傷が、今も彼女に「自分は幸せを望む資格がない」と囁き続けていた。
四十歳の物流会社管理職・佐藤哲也は、膝を患った母と二人暮らし。
かつて愛した女性から「お母さんを一生支えていける自信がない」と言われて別れた。以来、誰かに近づくたびに「また誰かを不幸にする」という怯えが先に来る。
雨の夜、根津の路地にある古い喫茶店「昭和堂」で、二人は出会う。
同じメニューを注文した。それだけの縁だった。
でも、コーヒー一杯ぶんの借りが、止まっていた時間を少しだけ動かした。
親の老いと、消えない過去と、それでも誰かの隣を歩きたいという静かな願いを抱えた二人が、谷中の坂道をゆっくりと歩いていく。
大人の、純愛小説。
第1章 春
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