新たな土地へ
「というわけで、ケイくん、ゴブタくん、これからの方針を伝えます。」
「ブ?方針?なんの事か分からないゾ」
「あーゴブタさん、深く考えてたら疲れますが、ハットさんなりに割と真面目に行動してるので悪気はないです。」
いつもの調子のワチャワチャ感にゴブタも雰囲気だけは嫌では無かった。
「方針その1.敵対してくる者は敵なので倒せそうなら倒します。」
(そらそうだナ)
(まーそうでしょね。〕
「方針その2.敵対前なら会話は積極的にこちらから。」
(?〕(?〕
「方針その3.倒した対象はキチンと食べましょう」
(まーそうなのかナ〕(これはキツイ事になりそうっス〕
それぞれの頭の中でグルグル考えてたが、要は生き延びるという事かとケイくん、ゴブタは何とか納得した。
…………《ゴブタ目線》………………
「もう何でオラが見に行くことになってんのかナ」
ゴブタはゴブリン集落の1番下っ端だった。
最近の食料不足で集落の皆は気がたっていた。それは、ハット団の影響で小さな虫達がこぞって移動し、それを補食する小動物、小さな魔獣まで移動してしまったのだ。
その為、その上位補食者であるゴブリンに影響し始めたという事なのだ。
たかだかイモムシの集団が一部外敵対策した事で、森の奥の生態系が変化していた。〈風が吹けば桶屋が儲かる〉状態だ。
「確かに生物がほとんど見当たらないナ。こんな事初めてだゾ」
ゴブタ《今は名無しゴブリン》は虫すらほとんど見かけない異様な雰囲気に戸惑っていた。
そんな繊細でもないがこの気温が10度ぐらい下がっているのではないかという圧がひしひしと感じる。もうすでに集落に帰りたいと感じていた。
鬱蒼と茂る森林に生物がいないのはある意味で恐怖だった。
そんな時、ゴブタは歩いていた先に異様な魔力を持った者が居ると感じた。
何者かはまだ分からない。ただ、普通じゃない何かがいるのは確かだ。
すぐに対応出来るように錆びたナイフを取り出し、恐る恐る近づいていく。
「ギャ、なんだこの生物は?見かけはイモムシのようだが、これは完全に魔物。イモムシっぽいから走れば逃げられるかナ。いや、無理か、踏み潰そう?」
ゴブタは思いっきり踏みつけた。何度も踏みつけ、対象の生物をまじまじと確認した。
このイモムシの何かはジッとこちらを観ている。観察されている。勝てない。恐怖で戦意が喪失した。
正にその時だった。
【ゴブタ/ネームドに進化しました。】
今まで恐怖という暗闇の中に1人ポツンと立っていた様に感じていたゴブタ。それが母親の愛にも似た優しいオーラに包まれて幸せを感じて呆然としまった。
(ゴブぁ!なんだ、オラの利き腕の左手を中心にパワーが漲る。〕
この目の前の生物への恐怖はとっくに消え去っていた。それどころか仲間のような連帯感を感じる。
また少し離れた所に違うイモムシ《ケイくん》が居るのをやっと気づいたゴブタだった。




