6話 自己紹介②
「如月沙由です!趣味はゲームで好きな食べ物はパスタです。1年間よろしくお願いします!」
いつも通りの明るいテンションで自己紹介をパパッと終わらせていた。人の前で話すのが苦手な自分としては人前で堂々と話せるのはかなり羨ましい。
「如月翔です。趣味はゲームで好きな食べ物はつけ麺です。…1年間よろしくお願いします」
かなり低めのテンションで自己紹介を終わらせる。やっぱり人前だとあまり素を出せないのだと実感した。
「…もうちょい大きな声で話しなよ」
「…うるさい、人前は苦手なんだ」
「それ以外は優秀なのになぁ、勿体無い」
「…うるさいうるさい」
そう言って強引に話を終わらせて自己紹介に耳を傾けるのだった。
「ふぅ、今日はこれで終わりか」
「やっぱり最初の方は授業ないし帰るの早いから楽だよね」
「間違いない、帰ったら稽古といくか」
「いいけど何するの?」
「エイム練習ということでどうでしょう?」
「よし決定!早く帰ってやろう!」
「ちょ?置いてくなよ!早いって〜!」
「急げ急げー!私は早く勝負がしたいのよ!」
いつも通り赤黒い穴に入って家までワープする。便利ではあるのだけど便利すぎて悪いやつに狙われている時もあるので出来るだけ使わずに隠してて欲しいと言うのが弟としての願いだ。
「姉ちゃん…、そんなばんばん能力使っちゃって大丈夫なの?」
「ん?大丈夫大丈夫!いざとなったらあんたが助けてくれるでしょ?」
「わかってるしちゃんと助けるけどさ…」
「けどさ?」
「出来れば危険の種は取り除きたいんだよ」
「そうだね…、ちゃんと肝に銘じとくよ」
「よろしくお願いしますよ?」
「わかったって!」
そういうとフグみたいにほっぺをぷくーってさせている。これ以上言うと多分夜ご飯の品が1つ減るので引き下がっておいた。
〜???????視点〜
「あいつ、新入生か?」
教室の窓越しに外にいる学生を見ていた。すると1人の生徒が消えて、続くようにもう1人の生徒が消えるのが見えた。
「どういうことだ?あれ」
となりのやつも疑問に満ちた声で問い返してきた。
「空間転移ができる能力持ちとかじゃないか?」
「それが妥当な考えだな」
「もう少し様子見か?それとももうやるか?」
「もう少し待つべきだな、まだどんなやつが入学したのか把握しきれてないからな」
「了解」
荷物を手に教室を出ていく。
薄暗い廊下を1人歩いて行ったのだった。