3話 趣味②
本を閉じて時計を見る。11時すぎ、本を読み出してから約2時間程度経っていた。読み終えた本を棚に戻して、リビングに向かう。
「翔、どしたん?」
「お茶飲みにきただけだよ、そう言う姉ちゃんは寝なくていいのかよ?」
「え?今何時?」
「11:20分くらい」
「やばっ、そろそろ寝ないとじゃん」
そう言って慌ててテレビの電源を切って部屋に駆け上がっていった。動き出すのが早すぎるや。
姉がいなくなったテレビの前のソファーに座って映画を流す。アニメや映画もかなり好きだ。今日見るのは少し前に流行っていた映画で「感動した」と原作が人気の作品だ。原作は俺も読んだが大号泣した、その日は寝れないくらい泣いた。これでも意外と涙脆いのだ。
そうして映画を食い気味に見始めたのだった。
「うぅ、すごい良かった…」
一度原作を見ていたのである程度知ってはいたが、やっぱり泣いてしまったのだった。名作は名作。何度見ても感動を与えてくれるのだ。
テレビの電源を切ってソファにもたれる。泣いた後だから本来すぐには寝れないが、今日は疲れもあるし、時間も遅いのですぐに寝れそうだった。
「(2時前か、もう寝に行くか)」
ソファを立ち上がり、リビングの電気を消してから部屋に戻る。そして電気を消してベッドで眠りについた。
「…っん、…もう朝か」
眠い目を擦りながら体を起こして布団から体を出す。
すこしふらつく足で顔を洗面所で洗って部屋に戻る。
本を手に取って昨日の夜のように本を読む。何もない時はこのようにして過ごすのが日常だ。
今日は姉ちゃんは遊びに出掛けているので今は1人なのでのんびりと本が読める。
そうして本を5冊ほど読み、夜ご飯を食べて映画を見て寝るというとても贅沢な日を送った。
やっぱり、泣いたのだった。
「昨日出来なかった分、今日多めにトレーニングするからね?」
「言われなくてもやるよ、これは楽しいしね」
木刀…ではなく、今日は素手だ。格闘技の練習、いろんなことを学べるからこれは楽しい。
もちろんハンデだらけなのだが…。
当たり前だが、投げ系と固め系はやれないのだ…。
防戦一方になるのはいつものことだが、それはそれで練習になるので俺はよしとしている。
まあ、そう言うのを無視したら一方的になるのは言うまでもない。
「いや〜、格闘技になると途端に弱いね」
「うるせぇな」
「ざーこざーこ!」
すごいニヤつかれながら煽られている。久しぶりに堪忍袋の尾がキレてしまい、そこから約30分間、一方的にボコボコにしたのだった。